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山口県長門に移住する(19): リノベ断念

F氏から譲り受けた土地に
アパートが建っていたことは、以前書いた。
関西人が文化住宅と呼ぶ、洋風長屋の建物。

1階と2階に4部屋ずつ。
ドアの色が、青と黄に交互に塗られ、
55年前に建った当時は、
さぞかし洒落たアパートに見えただろう。

立地もいい。
開けた南面には、大寧寺川が流れている。
大小の岩の形に風情があって、
岩の間を流れる水は透明。
暑い日には、子供達が川遊びをする
はしゃいだ声が聞こえてくる。

土地は、不整形の三角形。
奥に行くほどに狭くなって、景観が良くなる。
川向こうには、青々とした山があって、
春には、椿や桜が咲く。
夏は、サルスベリのピンクの花が咲く。

このアパートをリノベーションするつもりだった。
が、結局断念した。

単なるリノベではなくて、
築55年の、安普請の木造2階建てを、
パッシブハウス並の高気密高断熱の建物に
リノベーションしたかった。

「止めといた方が良い」、
と、多くの方に言われた。
でも、やりたかった。

「できないことはない」
と、リノベの専門家は仰ったので、
その言葉を力に、自分でも色々調べてみたが、
「開けてみないと分からない」
リノベの未知の部分の大きさに、音を上げた。

どれくらい時間がかかって、
どれほどの費用がかかるのか、予想がつかない。
あまりにも、ハードルが高すぎる。

結局、解体、新築を選んだ。

家を崩す、ということは、
その土地と家が刻んできた歴史に、
ピリオドを打つ、ということだ。

そんなことを、私がしても良いのだろうか?
解体が始まるまで、ずっと考えていた。

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