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13. 山口県長門湯本に移住する(7):車の騒音がない暮らし

夏至が近づいて、朝、4時半頃には、
もう、外が明るくなってくる。

朝の掃除を済ましたら、
珈琲を持って、内庭のテーブルで作業する。
ジュリアーノも一緒。

Juliano

6時前になると、
丘の上にある住吉神社から、
太鼓と鐘を打つ音が聞こえてくる。
住職さんの朝の日課だ。

「木村さん、おはようございます。今日もお元気で何より」
と、丘に向かってご挨拶するのが、私の日課。

庭で書き物をしたり、本を読んだりしていると、
聞こえてくるのは、鳥のさえずりと、風の音、
かすかな音信川(おとずれがわ)のせせらぎ。
車は、時たま、通るだけ。

車の騒音がない暮らしは、心が安まる。
湯本暮らしが、好きな大きな理由だ。

長く暮らしたジュネーブは、
レマン湖がすぐそばで、
大きな公園もたくさんあって、
素晴らしい環境だったけど、
どこにいても、車の音が聞こえた。

ヌシャテルの田舎に引っ越して、
車の騒音のない生活になった。
窓から見えるのは、草原と、馬と、ポニーだけ。
時たま、犬を連れて散歩する人はいても、
車は通らない。唯一の例外は家主さんの車。

その後暮らした、イギリスのブリストルは、
車であふれるまちだった。
公害も酷くて、自転車で大学に通うことを
諦めざるをえない程だった。
自宅は、閑静な住宅街にあったけど、
一歩外に出れば、路上駐車の車であふれていた。

湯本は静かだ。
自然の音が、良く聞こえる。

春先には、ウグイスが鳴き始める。
最初は、ホントに、下手くそだ。
鳴き声に聞き惚れる、というより、
笑いこける。

春爛漫になる頃には、
随分上手になって、
「ブラボー!」と、つい、拍手する。

梅雨に入りつつあるこの頃は、
ウグイスもベテラン歌手になり、
完璧なメロディーでさえずってる。
彼らの舞台も、もうすぐ幕を引く。

近頃は、夕方になると、
音信川で、カジカガエルが歌ってる。
カエルなのに(失礼!)、ナンテ美しい鳴き声。
毎年、感動する。

夏は、セミさん達の大合唱、
ミンミンゼミは、喉、大丈夫?
と、気の毒になるくらいシャウトする。

晩夏には、ヒグラシが登壇。
切ない鳴き声が、空間を埋めて、
ああ、夏もおわりだなぁ、と思う。

(冒頭の写真は、朝ご飯のフルーツポリッジ)

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