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山口県長門に移住する(21):太陽に素直な設計

スイスに30年近く住んで、大嫌いだった冬が、
嫌いじゃなくなった。

スキーができるから、でも、
フォンデューがおいしいから、
でもない。

寒くないから。

もちろん、外は寒い。

長く暮らしたジュネーブは、
標高450メートルほどだったけど、
冬の気温が、零下になることはしょっちゅうだったし、
零下20度以下なんて日もしばしばあった。

でも、家の中は暖かい。
どこにいても暖かい。
お風呂場もトイレも。

高気密高断熱の建物に、
セントラルヒーティングが入っているから。

私が特別お金持ちで、
高級アパートに住んでいたからではない、
普通のアパートでも、高気密高断熱は当たり前で、
窓は最低ペアガラスだった。

日本に戻って、
「ヒートショック」などという
言葉が有ることを知って驚いた。

私が今住んでいるシェアハウスは、
古民家をリノベーションした、洒落た建物だけど、
冬はとても寒い。
しかも、一階にあるキッチンやリビング等の
共用部分の日当たりが悪くて、
冬は氷室のように冷たい(夏は快適)。

シェアハウスのオーナーさんが、
キッチンの床や私の部屋の床に
断熱材を入れて下さったので、
寒さは多少和らいだ。

が、元々が日本の古い家なので、
断熱性も気密性も低く、
冬はエアコン、ヒーター、電気カーペットが
総出で大活躍する。

日本の典型的な家の骨柱は木。
家を長く保つためには、まず木を守ること。
湿気は大敵。だから、大工さん達は、
吉田兼好の「家づくりは夏をもって旨とすべし」
という格言を地道に実践してきたそうだ。

木の家が長持ちするように、
工夫が重ねられてきた結果、
ヒートショックで人間が死ぬ。

家と、人と、どっちをとるか?
ソレガ、モンダイダ。
と、悩んでいたら、
素晴らしい答えが見つかった。

パッシブデザイン。

太陽の季節ごとの軌道と、
太陽から届く光の性質を理解して、
太陽の恩恵を最大限に活かす家づくりの方法。
機械に頼らず、冬暖かくて、夏涼しい家を造る方法。
 
「太陽に素直な設計」。
建築家で、断熱の鬼、と呼ばれる
松尾和也さんの言葉。
松尾さんのYouTube動画を見て、ワクワクした。

パッシブデザインの家を建てたい、
と思った。


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