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その資格は必要なのか

就職相談の際によく「何か資格を取っておいた方がいいですか」という質問を受けます。その度に「どうしてそう思いますか?」と聞いています。
・就職に有利だと思うから
・箔がつく気がするから
・何となくあった方が安心だから
・履歴書に書けるから
答えに正解はないですし、ご本人がそう思うならそれが正解かもしれません。一つ言えるのは、資格の必要性は自分で判断しないといけない、ということです。

以前の職場で、部署全員毎年何かしらの資格取得が個人目標の一つになっていて、その進捗について部内会議で報告するのが定例となっていた会社がありました。
私はそれがどうも違和感に感じ、苦手でした。
もちろん資格に向けての向学心は素晴らしいですし、皆で共有することでお互いの励ましにもなります。忙しい業務と並行してコツコツ取得する同僚にも感心していました。
一方で、「もう取りたい資格は特にないんだよなー」「これ簡単だからとったら?」「〇〇さんはもう資格が5個もあるよ!」等というやりとりを聞いていて、本当にそれは必要な資格なのか?資格が多いことは偉いことなのか?と疑問に思うことも多々ありました。
資格を取るのって非常にパワーがいりますよね。勉強時間を捻出しないといけないですし、資格によっては講座に通うお金も含めると何十万とかかるものだってあります。
果たして、とらなきゃいけない、という外部要因をモチベーションに頑張れるものでしょうか?

私は資格は主体的に取るものでないと意味がないと思っていますし、逆に言うと、主体的に取ろうと思える資格であれば、何歳からでも学ぶことは可能だと思います。
最近世の中でよく言われている「リスキリング」。先日リスキリングについてのセミナーを受講したのですが、そこで面白い話がありました。


「50歳を過ぎて記憶力も落ちていて、今更何か学ぶなんて無理。資格なんて取れない。」という方がいますが、本当にそうでしょうか?
大好きな韓流スターの名前やその人が出演しているドラマについてはスラスラ記憶していませんか?


そう。興味があることであれば人はいつだって学んでいけるし、記憶を蓄えることができるのです。
ちなみに私は、キャリア関連の資格や講座であればどんどんインプットされてきます。が、、、数字周りは苦手でFPの勉強に苦戦しています(笑)
そういう意味で、人から言われるのではなく、自分に必要だと思う、学びたいと思える資格であればどんどん取ってみたらいいと思います。

一方で、果たしてそれが自分にとって必要な資格なのかどうかは立ち止まって考えることをお勧めします。
どういうことかというと、資格取得にあたっては、先に挙げたように「時間」「お金」が少なからずかかるからです。何となく、資格が多い方が安心、資格があった方が認められる気がしてつい流されがちですが、自分にとって、時間とお金をかけて取るべき資格なのかどうかは見極めが必要です。
私が意識している見極め観点は次の通りです。

資格取得することで対応できることが変わるか否か

士業がわかりやすいかと思いますが、資格を取ることで初めてできる仕事があります。言い換えるとその資格がないとできない仕事です。
そういう場合には資格取得は必須ですよね。
これは、転職においての基準にもなりえます。
例えば、国家資格キャリアコンサルタントは名称独占資格であって、この資格がないとカウンセリングをしてはいけない、というわけではありません。そういう意味で取得は必須ではないのですが、転職活動の際に応募したい企業の必須条件に「国家資格キャリアコンサルタント有資格者」と書いてあったとしたら、国家資格キャリアコンサルタントを取得していないと受けられません。
自分がやりたい仕事を考えた際にその資格が求められており、その資格を取得しないとやりたいことができないようであれば取得を考えた方がいいでしょう。

資格取得にかかるお金とメリットの関係性

その資格取得にかかるお金(受講費用・受験費用・入会金・年会費)とその資格取得によって得られるメリットを天秤にかけて判断します。
例えば、年会費7,000円かかる資格の場合、おそらく年会費がかかるからには何かしらのメリットがあるはずです。研修を一般価格よりも5,000円安い会員価格で受けられるのがメリットの一つだとしたら、年2回研修を受けるだけで単純に3,000円お得なわけです。
また、その資格を取得することで仕事依頼が確実に増える、ネットワークが広がる、という見込みがあるのであれば、資格取得にかかったお金は資格取得後の仕事の収入で賄えるかもしれません。
資格取得によって得られるメリットが、お金をかけるだけの価値があるかどうか、お金をかけた以上のものであるかを見極めます。

資格取得は他で代替できないか

資格取得に向けた勉強をすることで体系的に学べるので、必ずしも資格取得は目的ではありません。そういう意味では、有益な書籍を読んだり関連セミナーを受講することで自分の身になってアウトプットとして出せるのであれば、もしかすると何十万円もかけて講座を受講して資格取得をする必要はないかもしれません。
あえて、資格を取得しない道を選んだ際に、それでも資格取得と同等の状態でいられそうであれば、無理して資格取得をする必要はないのです。

世の中のリスキリングの風潮からいろいろな資格や講座の情報があふれかえっています。それは良い面もありますが、自分に本当に必要かどうかが見極められないとお金と時間を無駄に浪費してしまう可能性もあります。
自分のキャリア戦略にあたって、情報を取捨選択し、時間をどう使っていくのか、今まで以上に一人一人が主体的に考えていく必要がありそうです。

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