安楽死について


 安楽死の定義は、完治する見込みがなく、身体的に極度の苦痛を抱えたままの状態にある患者に対して、医師 が患者の要望に従って患者を死亡させることである。
中でも積極的安楽死は、患者に致死性の薬物を投与して死に至らしめることを指す。積極的安楽死を行う場合に、肉体的苦痛が大きく病状改善の見込みがないこと、本人と医師の同意があること、患者に対して病状の適切な情報開示をすることを条件とする。以上を踏まえた上で、私は日本が積極的安楽死を法的に認めることに賛成である。

 第一のメリットとして、患者の自己決定権を確立することができる。周囲と意思疎通ができるうちに、条件が揃っている場合において自らの死を選択することは、患者自身の意思を尊重されることになる。また、人間は生きる権利と同様に死ぬ権利があり、これは憲法第十三条でも保証されている。

 第二のメリットとして、患者の肉体的苦痛、精神的苦痛を取り除くことができる。例にがん患者を挙げると、治療には大きな痛みを伴う。安楽死が認められないと、患者はその苦しみを死ぬまで味わい続けることになる。苦痛の中で死ぬより、自分で自分の死に方を選択できる方が幸せと言える。加えて、患者は死に対する恐怖感や家族の経済的負担に対する罪悪感といった苦痛に悩まされがちである。そういった人たちにとっては、死を望んでも叶えられないことは屈辱的と言えるだろう。

 一方、安楽死が法的に認められることで、家族からの圧力で不本意な死の選択をしてしまうのではないかという意見もある。しかし、患者がもう助からない状態になるまで献身的に面倒を見てきた家族が患者に対して安楽死を選ぶように圧力をかけるというのは考えにくい。また、『リビング・ウィル』のように自分の意思をまだ元気なうちに文書に残しておくことで防ぐことが可能だと思う。

 したがって、私は日本が積極的安楽死を法的に認めることに賛成である。

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