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02_小学校受験の市場分析

市場分析の重要性

まずはコンサルらしく小学校受験の市場分析をしていきたいと思います。ビジネスでもそうだと思いますが、戦う市場を決めたらまずはどのような市場かを分析することがファーストステップとしては最も重要です。
小学校受験の概況、競争環境、トレンド等を理解した上で、戦いに挑むのか、挑むとしたらどのような戦略を立てるのか、ということを考えていきましょう。

私立・国立の小学校の生徒数は全体の約1.9%

まずはこちらの表をご覧ください。

Source: 文部科学省「令和5年度学校基本調査(速報値)」のデータを筆者が加工

文部科学省が毎年公表している学校基本調査によると、入学に入試がある私立と国立に通う小学生は115,778人で全体の約1.9%ということでした。人数にすると50人に約1人ということで、幼稚園の2クラスに1人が私立または国立の小学校に入学するイメージかと思います。
このデータだけを見ると小学校受験は1.9%の限られた子供のみが挑戦するものに見えますが、実際に小学校受験をするのは都市部に住んでいる子供だけだと思いますので、東京に住んでいる私の肌感覚では都市部においては10人に1人ぐらいは小学校受験をしているのではないかと推察します。ただ都市部に住んでいても小学校受験に挑戦するのはまだまだ現時点では少数派ということになります。

少子化の中で増え続ける私立小学校の生徒数

Source: 文部科学省「学校基本調査」のデータを筆者が加工

今度は10年間の小学校種類別の生徒数の推移を見てみることにしました。改めてデータを見ると少子化がすごい勢いで進んでいることが分かりますね。少し字が小さくて見えにくいかもしれませんが、小学校の生徒数合計は2014年に約660万人だったのが、2023年は約605万人まで減少しています。それに伴って公立と国立の小学校の生徒数は減少傾向にありますが、唯一私立小学校の生徒数のみ増加し続けており、2014年に約7.7万人だったのが、2023年には約8万人まで増加しています。
年々私立小学校に入学する生徒が増加しているということは、それだけ小学校受験への関心が年々高まっているということだと考えられます。
更に東洋経済ONLINEのこちらの記事によると男の子よりも女の子の方が受験者数が多いようです。

難関小学校の倍率は10倍超え

「お受験じょうほう」がまとめている2023年度 首都圏私立小学校【志願者倍率】ランキング!(男女合計編)を見てみましょう。

志望校選びについては別途記事を書こうと考えていますが、早慶附属を中心に人気の小学校は倍率が10倍を超えています。学校によっては女子の人数の枠が男子よりも少ない場合もありますので、女子の倍率は更に高くなる傾向にあるようです。
小学校受験をするご家庭は教育への関心が高く、経済的にも余裕がある場合が多いと思いますが、その限られたご家庭しか受験しない中で倍率10倍を勝ち抜くのは至難の業です。人気の私立小学校に入学させることは簡単ではないことを理解した上で、小学校受験をするかどうかを決めることをおすすめします。小学校受験は一度足を踏み入れるとなかなか途中で辞めることが難しいものだと感じています。(途中で辞めにくくなってしまう心理状況についても別途記事を書きたいと思ってます)
ただし、当たり前ですが念のために補足すると、倍率が高いから必ず良い学校というわけではないと思いますので、お子さんに合った志望校選びをすることが最も大事だと思っています。

小学校受験への関心が高まっている背景

小学校受験への関心の高まりは理解して頂いたと思いますが、その背景には何があるのでしょうか。理由は1つではないですが、いくつか考えられる要因を書き出してみたいと思います。

  • 教育を重視する志向が高い世代が親になった

    • 大学進学世代の女性が母親になった

    • 仕事などでグローバル化やIT化の進展に対峙する世代が親になった

    • 私立は英語や探究教育を積極的に取り入れている

  • 経済的な余裕がある家庭が増えた

    • 共働きの増加で経済的に私立に通わせることができる家庭が増えた

    • 少子化で子供1人当たりにかける教育費が増加した

  • コロナ時に私立学校の対応がよかった

    • 公立が総じてフリーズ状態だったが、私立学校の対応は早かった

    • ICT(情報通信技術)も積極的に取り入れた

  • 中学受験の過熱

    • 中学受験をしなくても済む一貫校に入学させたいと願う家庭が増えた

今回は小学校受験の市場に関してまとめてみました。今後も小学校受験ブームはまだまだ続きそうな気がしています。