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Backyard Ultra - World Team Championships 2022 参戦記

準備編

 9月4日AM5:30、厚木大学の仲間のマサシさんと一緒に活動している、高松山グルグルクラブに参加するために起床する。スマホにはFacebookの通知がきていた。どうやらあのトモさんからだとわかり一気に覚醒する。10月15日に開催されるBackyard Ultra - World Team Championships 2022の日本代表としての参戦権が回ってきたので、参加/不参加の意思表明をして欲しいとの事。朝イチから大きな選択を突き付けられたが、まずは高松山グルグルクラブの準備に取り掛かる。心の中では、”遂に回ってきたか”、”自分はどうしたいのだろうか”と思いながら。

この時の高松山グルグルクラブ、月初でクリーンナップDayだった

 8月16日、バックヤード兄さんこと上野暁生さんの訃報を受ける。しばらく頭で消化することができず、誤報だと勝手に解釈するほど困惑していた。たまたま富士山のふもとでキャンプをしていたタイミングだった。上野さんはよく富士山で練習していたので、明朝は富士山を見ながら水ヶ塚まで走りに行き心を落ち着かせようとしていたが、最後まで心は静まらなかった。

富士山山頂は見えなかった @水ヶ塚公園

 上野さんとはチーム100マイルで知り合った。チーム練や大会などでの集中力が半端なく、お聞きした練習内容もただ圧倒されるしかない位のレベルの高さだった。そこまで追い込めている事に憧れと畏怖が混ざった感情を抱き、自分とは異次元の世界の人だと認識していた。それなのに、会えば気さくに笑顔で話してくれる、とても優しくて大きな人だった。練習内容について話をした際に、足りていない部分をアドバイスしてくれ、それを意識して補うようにしたら走力が格段に伸びたこともあり、本当に感謝していた。ただ、突然、その感謝を直接伝える事ができなくなってしまった。

 その上野さんが参戦するはずだったBackyard Ultra - World Team Championships 2022への参戦権が自分に回ってきたという訳だ。自分はウェイティング1番だったため、上野さんの訃報の時点で自分に回ってくる事はわかっていた。でも実感がわかないため、すでにエントリーしていた10月7日スタートのLAKE BIWA100に向けた練習を続けていた。ただ、6日、7日と重要な会議が入り、休みが取れる見込みが無くなってきたというタイミングだった。高松山をいつものみんなで走りながら、
”憧れていた上野さんからのチケットならば受け取らない訳にはいかない”
”そんなチケットを他の人に簡単に渡したくない”
”何かの日本代表になれる機会は2度と来ないかもしれない”
という気持ちが膨らみ、参加したいと決意し帰って妻へ相談する。妻からは”生半可な気持ちで出るならブッ飛ばす!”というありがたい檄付き承認を頂き、早速参戦表明をした。

 Backyard Ultraとは、1時間に1回約6.7km(24時間でちょうど100mileになる)のコースを走り、残った時間を休憩に充てられる。必ず1時間ごとにスタートしなければならず、最後の1人になるまでスタートし続けるという、決まった時間や距離のゴールがない耐久レースである。自分は2020年11月に1度参戦していて、最後は脚の痛みに耐え切れず心が折れてしまい、37周 (248km) でDNFという結果だった。この時に、自分の心の脆さを痛感させられ、いつか強くなってリベンジしたいと思っていた。

250km弱走って貰えた”ドンマイ”ストラップ、頑張った甲斐があったw

 今回のWorld Team Championshipsは、世界38か国の代表15名が、各国のコースにてバックヤードスタイルで周回を重ね、15人の周回数の合計で順位を競う国別対抗戦である。また、各国で最後まで走った人が、2023年にアメリカで開催されるバックヤード世界大会の個人戦への参加権を得られる。

チームJapanのメンバー、とんでもない実績をお持ちの方々に混ぜて貰った

 参加を決めてからは、練習メニューをバックヤードに合わせて変えて準備を進めていった。具体的にはポイント練は続けつつ、トレイルに行く量を減らし、その分ロード練を少し長めにしたり、6~6.5分/kmで走ったりした。LAKE BIWAに向けて、耐久力向上を目的に意図的に毎日走るようにしていたのもあり、7-9月の3か月間は、ディズニーランドで歩き回った日以外全て走る事ができた。心配性で自己肯定感が低くいため、つい弱気になってしまうのを少しでも補うべく、過去の成功体験であるTDT200のゴールシーン動画を毎日観て、自信をつけさせるような事もやっていた。そして、スタート3週間前からカフェイン接種量を減らし、昼食を糧に狂暴化した睡魔との激闘を続けていった。睡魔をおさえるように、早く寝るようにしたが、なぜがその分早く起きてしまい結局寝だめはできなかった。

自信のなさを補うが如く、日々積み重ねができた気がする(10月14日時点)
走るだけでなく歩きも取り入れてます(10月14日時点)

 今回のバックヤードはなんとエイドつきで、しかも選手がリクエストしたものを揃えてくれるという厚遇っぷり。自分は100マイルレースでも結構リアルフードで通すので、基本エイドの食べ物飲み物で通すことに決める。そのため、万が一リアルフードがだめになった時用にジェルなどをメインに持っていく事にする。

ジェルやら、自分が好きなお菓子をチョイス!ヤノケンから貰ったジェルは3倍効くはず!

 スタートの10日前に、ウェブでのブリーフィングがあり、競技説明、会場&エイドの案内を受け気分も高まり始める。久しぶりに緊張、不安、楽しみなどの色々な感情が入り混じったロングレース前の独特な心の状態が訪れてきた。この競技は、休憩時間をどう使うかがキーポイントであり、走力が劣る自分としてはサポートを付け、なるべくラクをさせて貰う事が必須となる。ただ、メインサポートの妻は日曜の夕方に一旦帰らなければならない。そのため、厚木大学の仲間にお願いしてサポートに加わって貰う事になった。自分がサポートにして欲しい事や、自分がなぜ参加するかなどを共有してる最中に、みんなの笑顔を見る事ができ、より楽しみになった。
 あと、本番2日前に厚木大学のグルランに参加し、いつもの仲間からの激励や、LAKE BIWA、ハセツネ、KOUMI、えちごくびき野100kmで頑張ったみんなからの気持ちのバトンを受け取りコンディションは整った!

ここに写るパイセン、聖子ちゃんに加え、ゆみちゃんも協力してくれるとの事。本当に心強い!

 そしてついに本番当日を迎える。少しゆっくり寝ようと思ってはいたが、緊張感のせいか、やはり長くは寝れず5時半には目が覚める。ただ、焦らず会場について準備が終わったら昼寝すればイイと自分に言い聞かせる。朝イチでレンタカーを借り、荷物を詰め込み出発。
 会場に着いてテントを張ったりしてマイエイドを準備したり、他の参加者や関係者と談笑しながら和やかに過ごしたり、応援メッセージに応えたり、昼寝を1時間したりした。今回、自分ではあり得ないくらい色んな方から応援を頂き、走る前から相当励みになった。本当にありがとうございます!

会場にはのぼりも出ていた!
しばらくお世話になるであろうマイエイド
チームJapanのメンバーと、みんな強そう!

こんな感じで準備が終わり、いよいよスタート。とにかく最後まで楽しんでこようと思っているが、何が起き何を感じどんな事を書けるかも楽しみである。
 では行ってきます!! レース編へ続く


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