Captain Beefheart「Doc at the Radar Station」


はじめに

 本作は、キャプテンビーフハート率いるバンド「キャプテン・ビーフハート・アンド・ザ・マジック・バンド」が1980年に出した11枚目のアルバムです。邦題は「美は乱調にあり」で、キャプテンビーフハートに似合った言葉だと思っているので個人的に結構気に入っています!
 キャプテンビーフハートといえば、あの実験的で難解な怪盤のTrout Mask Replicaが有名ですが、本作はそこまで難解ではない上に実験性も垣間見える非常にバランスのいいアルバムだと思うので是非聴いて欲しいと思いレビューすることにしました。(もちろん、Trout Mask Replicaも好きです!)

全曲レビュー

※:☆の数は自分の好みの程度 

1.Hot Head

 本作のオープニング曲は、いきなりイントロから軽快なリズムのギターが響き、聴いてて思わず体が動きそうになってしまうほどに楽しいです!
 "Hot Head"×3のボーカルもキャッチーで聴きやすい。
 

2Ashtray Heart

 トラウトのたまにかっこいい瞬間を凝縮したような一曲。
 曲の展開は独特で実験性を感じますが、疾走感のあるリフがカッコよく、そのリフにのせて歌うビーフハートのボーカルも最高にイカしています!

3.A Carrot Is as Close as a Rabbit Gets to a Diamond

 綺麗な曲調の短いインスト曲。意外な繊細さを感じられます。

4.Run Paint Run Run

 個人的な本作のベストトラック。
 もうこの曲は#1以上にノリノリで"Run Paint Run Run"の掛け声が本当に楽しいです!どこか知らない謎の民族の祭りに参加しているような感じ。
 また、オーネットコールマンのDancing in Your Headを彷彿とさせます。
 色々書いてますが、結局この曲は聴いててとにかく楽しいんで取り敢えず聴いてみてください!

5.Sue Egypt

 最初は噛み合っているのに徐々に噛み合わなくなっているような曲。
 曲の前半はシンプルなギターのフレーズがかっこいいんですけど、謎の笛パートからよく分からないです…笑。この曲の展開は流石に読めないってほどに突拍子もなくかなり実験性が高いです(トラウト濃度高め。)。攻める姿勢は好きです…!!

6.Brickbats

 ビーフハートの縦笛が来た!って感じの一曲でA面最後の曲。
 この曲は正直#7よりもさらにレベルが高いかもしれない…笑
 リズムがかなり複雑で、さらにドラムがビートを刻んでないパートもあったりして音楽に対する攻めの姿勢を感じます…!!
 トラウト〜に入っていても違和感がなく自然に馴染んでそう。

7.Dirty Blue Gene

 この曲からB面に入ります。
 ビーフハートにはめずらしいストロークの早いカッティングギターが印象的で、演奏がかっこいいです!

8.Best Batch Ye

 少し個性的で独特なリズムが印象的な一曲。
 しかし、聴きにくい感じは特にない上に、序盤〜中盤あたりからのギターのフレーズが結構ツボなので割と気に入っている曲です!
 2本のギターが絡み合っていて聴いてて気持ちいい…!!

9.Telephone

 ビーフハートのボーカル力が詰まっている一曲。
 個人的には、タゴマゴ期のダモ鈴木を彷彿とさせます!
 好きな曲だけど短いのが悲しい…
 英語が聞き取れたらもっと楽しそう。

10.Flavor Bud Living

 #3みたいな雰囲気の、綺麗で感傷的なインストナンバー。
 ジャズギターっぽい感じもします。

11.Sheriff of Hong Kong

 序盤からマラカスやドラっぽい音が入っていて題名からも東アジアを意識しているように感じる一曲。
 ドラの音がそう思わせるのか分からないですけど、どこか胡散臭さを感じます笑
 また、歌詞の中でHong Kongを連呼していますが、一体香港がどうしたというのか…。和訳が知りたい。
 あと、この曲聴いてからホンコンの語感の良さに今更気付きました。
 色んな意味で大好きな一曲です!!(特に深い意味はありませんが…)

12.Making Love to a Vampire with a Monkey on My Knee

 本作最後は、演奏がボーカルと噛み合っているような噛み合ってないような感じの不思議な一曲です。
 曲の後半には、後ろで木琴みたいなものが鳴っているのも含めて全体的に音が面白いです!

最後に

 キャプテンビーフハートは、トラウト〜は勿論、本作も含めて他では聴けないようなリズムであったり、実験的な展開を体験することができるから個人的に結構好きです!また、ハウリンウルフのようなダミ声もかなりクセになります!
 しかし、トラウト〜の難解な印象が強いからか、そのほかの作品についてあまり語られることが多くないように感じています。
 本作以外にも、あのケイトブッシュが好きなアルバムベスト10に選んだ「Bluejeans & Moonbeams」や、「Safe as Milk」など他にもいいアルバムがあるので是非聴いてみて欲しいです!(そのためにも、サブスク解禁してほしい…)
 


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?