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コラム3:知らないことは恐ろしい

私の友人から聞いた話です。

30年程前、デパートの有料試飲のブースに立ち寄ったそうです。そこにボルドーの5大シャトーの1つ(ラトゥールかムートンか忘れました)が出ていました。なかなか飲めないワインがグラスで飲めるならと、一杯お願いしたところ、バイトらしき若い女性がグラスになみなみと注いだそうです。

友人は、一瞬絶句した後、気を取り直し、ワインの注ぎ方をレクチャーするような野暮なことはせずに、恭しく速やかに頂いたとのことです。ワインに少しでも親しんでいれば、なみなみと注ぐようなことはしません。30年前ですから、ワインの知識は今程広まってはいなかったんですね。

「ワインを知らない話」でしたが、私の経験した知らないふりの話もあります。

初めてのレストランで「モレ-サンドニ」を注文しました。そのワインがとても美味しいのでエチケットを改めて見ると、なんと「クロ-サンドニ」(モレ-サンドニ村のグランクリュ)でした。それを指摘しても開けてしまっているので仕方ありません。連れと、密やかな愉しみを分かち合いつつ速やかに頂きました。帰る時には、店の人にショックを与えてはいけないのでエチケットは裏向きに。
畑や村が違っても作り手が同じならば、エチケットのデザインは基本的に同じなんですよネ。

あの時のレストランの御主人、知らないふりしてゴメンナサイ。美味しく頂きました。

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