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【アークナイツ世界観考察】星芒、極地、秘境と大いなる静謐ーー大洪水の謎を解き明かそう(大陸考察の和訳)

【翻訳転載エビデンス】
リンク:https://zhuanlan.zhihu.com/p/378696953
作者様ID:Agilulfo
公開日:2021‐5‐24(SS潮汐の下公開後)

【他のネタバレの有無】
 この文章は、アークナイツの世界観についての断片的な情報を統合し、既存の設定を考察・分析した上で、作者が再構築した仮説上の世界観を体系的に説明してくれた作品です。
 現時点日本版で公開された内容をすべて読了した状態でしたらネタバレはありません。

【訳者の前書き】
 中国語からの翻訳のため、いくつかの注意事項を書かせていただきます:
 -原作者の注釈と訳した私の注釈を区別するために、私からの注釈は「*」マークを使用します。
 -できるだけ避けたいと思いますが、日本版のイベントストーリーが実装される前に翻訳作業をしていたため、正式版の訳と異なることがあります。
 -原作者の方の観点をなるべく忠実に再現したいと思いますが、術語の使用や表現は間違っている可能性があります。表現の違いについてご指摘いただければ修正します。
 ‐また他に何かあればマシュマロまで→https://marshmallow-qa.com/el_prv

【同じ作者様の前回の考察】

【前書き】

 前回の考察は、既出情報を整理してアークナイツの世界観を自分なりの仮設で解釈しました。今新しいストーリーが出て、一部細かいところに関して予測外れた部分もありますが、大きな流れとして矛盾がなさそうです。
 前回の考察の結論は主に2つ:
 1.可能性として、テラ文明の終焉と起源は、持続時間が7分以上のスーパー皆既日食と極めて強い関連性がある。
 2.テラ大陸は移動大陸であり、リターニアの中心地を次のスーパー皆既日食の中心に合わせるように常に動いている。
 その後、ハイパーグリフは2周年記念生放送でPV3を出しました。
 (*PV3:https://www.bilibili.com/video/BV1Ap4y1b7UC)
 そしてPV3のイースターエッグ*に下記の言葉が入ってました。
 (*詳しく:https://note.com/el_prv/n/n0f6016f557d8)

You said the stars beyond skyveil are arks sailing through the stellar lane…
你説星星和我們脚下的一樣,都是天軌上漂行的舟筏......
あの星々は、私達の足元に広がる大地と同じように、空の軌道を進むであると…

 足元にあるのは大地。大地は星と同じように、「舟筏」であると。舟はつまり小型船のことで、筏は水上を移動する目的で作られた簡単な乗り物です。だから「舟筏」というのは、筏のような大きな平面を持つ船という解釈もあり得るもので、テラ大陸の形はこの条件に一致しています。続いて、この船は「空の軌道」に沿って進んでいます。つまり、テラ大陸は移動大陸として、星の表面に何かしらの天文現象のルートに沿って進んでいます。そしてこの天文現象はこの前の推測を話すとスーパー皆既日食のことに対応しています。
 また、ゲーム内外の他の情報からも皆既日食を示唆するようなヒントがたくさん存在します。今からはまず、これらの情報を紹介した後に、これまでの世界観考察を基に、ゲーム内に登場した天文学的な概念に着目し、ケオベでもわかる言葉で全知全能のケルシーでさえ真実を知らないイベリア史上最大の災難として知られている大いなる静謐の科学的本質を解き明かし、そのついでに文明の起源についての新たな推測を立てます。

一、プロローグ:太陽・月・星とアークナイツ

「残した資料とあれとは完全に一致した……」

 日食はゲーム内で既に登場した概念で、アステシアのコーデイラストで望遠鏡に一部が遮られた図があり、これは日食の図解です。つまり、アステシアのコーデから少なくとも2つ、とても重要な情報が読み取れるはずです:①赤道と黄道が投影した円心と北極星の位置から判断して、テラの黄道傾斜角は地球のより大きい;②日食。

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 また、この考察(https://bbs.nga.cn/read.php?tid=26624243)で、(自称天文学がわからない)作者様はPV3に出てた月のシーンから天文学的な計算を行い、下記の結論を得ました:
 1.このシーンに出ていた、レム・ビリトンである可能性が高い場所は、緯度が高い位置にあり、既に極圏に入ったはずである。
 2.テラの黄道傾斜角は地球のより大きい。(アステシアのコーデから得た結論はこの計算から得た結論に一致しています。)
 3.スクショに写ってる月の月相は非対称のもので、推測として、月の右下にとても大きな穴があるかもしれないと。

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 では、テラの黄道傾斜角は地球のより大きいことはほぼ確定ともいえるでしょう。また、月の右下にある大穴は夕娥が月に昇った時に残した遺跡の可能性があり、前回の考察の推測に一致しています。この大穴ができた時の記録は炎国の神話「夕娥、月に奔る」に残されています:

スズラン:その後のある晩、村人がいつものように過ごしていると、突然、西の高山から一筋の燃えるような軌跡が月に向かって伸びていきました。
スズラン:それはどんどん明るくなり、時には月を凌ぐほどに強く光り輝きました。
スズラン:最後にそれは月につながり、巨大でまばゆい光を放ちました。星も霞むほど夜空は明るくなりました。

 炎国の古い神話はテラの月の異状に一致しており、夕娥が月に昇ったことはテラに実在した話というのもほぼ確定と言えるでしょう。

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 また、海猫が経費で追っかけているバンドSTARSETも天文学に深く関わっています。このバンドの背景紹介として、2013年1月1日、地球は2047年のへびつかい座から発信された「メッセージ」を受け取りました。この「メッセージ」は人類の起源と終末に関わる内容で、急速な科学発展のマイナスな影響について警告を発しました。この「メッセージ」を伝達するために、Starsetというバンドが誕生したという話でした。PV3のために書いた曲「Infected」のMVで(https://www.bilibili.com/video/BV1fU4y1b7TM)、日食に似ているシーンがあります。MV最初の部分は順次にへびつかい座、おとめ座、ヘルクレス座に似ている画像が出てきて、その意味をより深く理解するために、いくつかの予備知識を合わせて紹介します:

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*誤解を招かないように、ここの「言えない理由」は『INFECTED』の歌詞とMVにはアメリカへの政治風刺が入っていることを指しています。

 まとめて、アークナイツの世界観設定において天文学は重要な礎石であり、太陽・月・星の背後に隠されている秘密はアークナイツの核心に迫っています。前文に触れた情報によって、日食の仮説、「夕娥、月に奔る」と神殺しの伝説の信憑性が高まった一方、非合理的な点もあります。今までの経験から見れば、こういった非合理的な部分には基本、世界観設定にぴったりの解釈がついていることが多いと思われます。では、疑問点を下記に並べてみましょう:
 1.アステシアのコーデに登場した日食と星図の要素はそれぞれ意味あるものだが、立ち絵にたくさん出てた、一見装飾に見える八角星にも何かヒントが隠されていないだろうか。
 2.PV3の例のシーンの計算によって得たレム・ビリトンが極圏にある結論だが、エリジウムのモチーフはちょうど極圏を行き来するキョクアジサシで、彼のコードネームに入ってる「極」の字はPV3計算で得た極圏という結論に何かしらの関係性はないだろうか。
 3.『INFECTED』のMVで、日食の近くに来ていないヘルクレス座は、古代中国の天文体系においては天帝が住んでいる紫微垣と庶民が住んでいる天市垣に在りながら、天市垣の中の「帝座」星もヘルクレス座に入っている。では、このヘルクレス座が代表する「天帝」は一体誰なのか、既存の情報から推測できないだろうか。
 この3つの問いかけを念頭に置きながら、次の3章でアークナイツの中にある天文学的な要素と今までの推測を以って構築してきた世界観の大枠を踏まえて考察し、最終的にイベリアのあの絶望的な、そして信じられないほど美しく壮大な災難の科学的原型を検証してみましょう。

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No.66『大いなる静謐』
イベリア史上最大級の災厄を描く絵画。
筆遣いは無意味、色彩は無意味、趣は無意味。
「エーギルは知っている。エーギルは知っている。エーギルは知っている」

ニ、孤独の光:ディンギルと八芒星の輝き

この短命の星が背負った運命を心に刻んだものだった……。

 まず、アステシア昇進2イラストの星を見てみましょう。これらの星は基本八角星になっています。そして、もう1人のオペレーター、ソーンズのデザインにも八角星の要素がたくさんあり、同時に、ソーンズの友人であるエリジウムは天文学に深く関わっています。

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 他に、ソーンズのEPタイトルは「El Brillo Solitario」(リンク:https://www.bilibili.com/video/BV1F64y1c7hd)で、スペイン語では「孤独の光」という意味です。EPのサムネには十字の星芒が描かれており、冒頭の「アークナイツ」というタイトルが出ていたところにも六角形の星芒が一瞬だけ見えていました。これは、このEPでしか見られない特徴の1つです。

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 では、この八角星(あるいは八芒星オクタグラム。場合によって以下使い分けることもあります)が対応している、あるいは象徴しているものは実在している星である可能性があり、しかもこの星は明るく光っている可能性が高いと考えます。
 つい先まで登場したいくつかの要素を整理しましょう:八角の星芒、六角の星芒と十字の星芒。なぜ星芒の本数が異なるでしょうか。まずこのあたりの知識を予習しておきましょう。
 星芒発生の本質は光の回折で、狭義上の光が電磁波であるからこういった現象が起こります。現代において、星芒が映っている星の写真を撮ろうとしたら専門的な設備が必要で、レンズと長時間露光などの手を使えば綺麗な星芒が撮れます。絞り羽根の数によって星芒の数も違っています。光の筋は星に限っている話ではなく、道路照明など比較的に強い点光源にもこういう現象が見られます。また、太陽は面積的に大きいですが、明るさは十分にあるため、同じく光の筋が撮れます。(念のためですが、完璧な用意がない場合、太陽に直視・あるいは撮影しないでくださいね。)同じ原理で条件が揃えば月も同じく撮れます。

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 肉眼で観察された星芒の原理も同じく光の回折で、撮影機材を使用するときと違う点として、肉眼の「数値設定」は比較的に固定されているものなので、星芒現象を観察するために、観察対象が明るく、小さく、まるいほど良いとされています。(繰り返しますが、太陽にも星芒現象が観察されますが、直視しないでください!)また、形が固定されている「アパーチャー」も必要です。例えば目をできる限り細めて光源を見てみると、明らかな回折現象が観察されます。肉眼で光芒が見れる根本的な原因は、人間の水晶体は完全なものではなく、繊維状の接合部に小さな縫合部があり、そこから光が回折され、これが私たち生まれつきの「レンズ」です。光芒の出来具合を見れば、一番はっきり見えるのが十字で、次にX状の光も視認でき、残りの細かいところはもっと小さく、より不規則だとわかります。縫合部は人それぞれですが、同じ種の生物は基本構造的に似ていると思われます。目視する点光源が強くなればなるほど、4本、6本、8本乃至もっと光の筋の数が多い「星」が見えてきます。

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 故に、普通の目を持つ古代人が肉眼で八芒星が観察できた前提は、その星が非常に明るいというのが必須条件です。

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 星芒についての基礎知識を覚えてから現実世界の八角星シンボルを見てみましょう。アブラハム諸教では共に八角星のシンボルが見られますが(ヘブライ語聖書『תנ״ך』の古写本で六芒星の外側に八角星が微かに見えます)、3つの宗教における八角星の意味はそれぞれ異なりますし、同じ宗教内部の解釈も分かれています。だから、3つの宗教における八角星要素は借り入れたもののはずで、借用の際に当時の人々はその意味についてはっきりとした認識を持っていないと考えられます。3つの宗教はいずれもセム族が起源であることを考えて、セム族は神話を創るときに自分たちが取って代わったシュメール文明を参考にしたため、八角星シンボルの意味のルーツを考察するには、シュメール文明に目を向けてみると良いでしょう。では、よく知られている八角星シンボルはシュメール文明にあったのでしょうか。

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 もちろんあります。イナンナの星、その形は比較的に統一された八角星の様式です。ここから推測して、歴史上八角星シンボルの起源は女神イナンナである可能性が高いと考えられます。まずこの女神のことを紹介しましょう。

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 イナンナはシュメール神話における「聖女」であり、「天の女主人」です。セム族神話のアスタルテ、ローマ神話のヴィーナスとかなり類似しており、三者とも愛、美と豊穣の女神で、同じく金星を代表する神です。また、特に注目すべき点は、イナンナもアスタルテも戦争を司っており、ヴィーナス(アフロディーテ)まで来たらこの権能はアテネに取って代わられ、3者は本質的に同じ女神であるという観点もあります。よって、八角星の正体の疑いがあるのは、まずは金星です。

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 金星とソーンズの八角星との関連性は、ソーンズの基地スキルである錬金術にあります。錬金術のシステムでは、金星に対応する金属は銅であり、対応する精製プロセスは「腐食」で、これはソーンズの素質である「神経腐食(*日本版の訳は「神経猛毒」)」に類似しています。
 しかしこの推測には大きな問題があります。金星は目視の際に明るさは最大‐4.9等級で、確かに太陽と月以外一番明るい星ですが、肉眼で観測する場合、特定の状況を除いて金星の八角星芒を観測することはほぼ不可能で、生まれつきの神通力がない限り、基本8本ではなく、4本しか見えないはずです。今8本の光が見えている金星の写真はありますが、多くはレンズのような設備を使って特殊の方法で撮影したものです。金星を八角星の正体として認定するには一番大きな問題は肉眼からしては明るさが足りないことです。
 この疑問を一旦置いといて、話を女神イナンナに戻し、イナンナの星が八角星である理由を探ってみましょう。イナンナの楔形文字の書き方を見つけたら、女神の名前の冒頭は明らかに八角星に似ている記号であることがわかります。

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 イナンナの星が八角星の理由はこの記号に関係している可能性があると考えられます。この記号は楔形文字のディンギル“Dingir”で (一般的に「diĝir」と音訳されていますが、実際の発音は/diŋir/)、「神」を指すときによくみられます。限定詞として、上付き文字の「D」として訳されることが多く、一般的に「ディンギル」は「神」、「女神」に訳されることが多いです。

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 つまり、楔形文字の中で、ディンギルという記号はイナンナの専属マークではありません。この記号自身にも意味があり、ディンギルは神を、あるいは「至高の存在たる神々の父」を代表しているシュメールの天空の神、アン(An)に由来しており、アンは早期のシュメール地区乃至メソポタミアの崇拝において最高位の神でした。しかし、後に歴史が進むことにつれて、彼の最高位の権能は他の神々によって奪われました。

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 シュメール文明が衰退した後に、天空の神アンを始め、ほとんどの神が崇拝者を失いましたが、エロが人類一番の生産力というわけで、イナンナと彼女由来の女神たちに対する崇拝は地中海地区で衰えることなく盛んできました。故に、イナンナの星が八角星の原因は、他の文明は楔形文字の正確な意味が分からないまま、彼女の名前の冒頭の記号をこの女神の専属マークだと認識したのではないでしょうか。

 このような情報伝達の誤差は実際に起きた例もあり、最も有名なのは今の『旧約聖書』で言われている女は男の「肋骨」からつくられたという言葉で、ここの「肋骨」はへブライ語の「tzela(隅っこの部分という意味で、離れたところの部分のとある骨を指している可能性がある)」に対する誤訳である可能性が高いです。取られた部分は、人類の男性が多くの哺乳類の雄に比べて欠けているBaculumの部分を指しているのではないかと考える学者もいます。
 そこで、八角星の本当の原型とその起源を探るためには、天空の神アンを特に注目する必要があります。肉眼で観察可能な八角星は非常に明るい星だったはずなので、太陽だった可能性はないでしょうか。 楔形文字の主要な記号の変遷を見てみましょう。

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 楔形文字の中で、太陽は専用の記号があり、天あるいは神を代表するディンギルと全く違います。それに、シュメール神話で実際に太陽神ウトゥもいて、アンと同一の神ではありません。故に、この明るい星が太陽である可能性はほぼゼロで、月も同じです。ちなみに、本章のテーマとあまり関連性がありませんが、『アークナイツ』において大きな意味を持つシンボルも出てきました。「菱形」です。楔形文字でこのマークは大地、あるいは土地を代表しています。

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 では、この間の考察で魔王が「息壌の血脈」を持っているという仮説はプラトン立体の中で正六面体が土元素に対応している手がかり以外、楔形文字で菱形が土地あるいは大地に対応している手がかりも新たに入手しました。
 この2つの手がかりを手に入れたことで、魔王の血脈が「土」に関係している可能性が大きく高まった一方、楔形文字がアークナイツのコアな設定の礎石である可能性も大きく高まりました。
 故に、下記のように結論付けます:アークナイツで登場した星型多角形要素は、楔形文字「ディンギル」と強く関係している可能性が高い。古の空に存在していたこの太陽でもなく、月でもなく、金星でもない星、人々が無視できないほど鮮やかな光を放っていたこの謎の天体が一体どこから来たのか、このことさえわかることができればアークナイツの世界観の一番本質的な秘密を明かすことができる。そしてこの秘密は、至高の例の神様に関係している可能性があると考えられる。
 幸いなことに、既に道を示してくれている学者がいらっしゃいます。

 シュメール学に造詣が深い専門家George Michanowskyが楔形文字に対する研究で下記のような現象を見つけました。比較的に早い時期の粘土板の記録には同じ星に関する記録が多く見られました。故に彼はシュメール文明の起源がこの星に関係している仮説を立てました。1980年、アメリカ航空宇宙局(NASA)の天文学者<里查德·斯特塞*>が精密な計算を行った結果、この仮説の有効性を検証しました。彼は、Michanowsky氏が取り上げたこの文明の星は、6000年前に爆発したほ座超新星であり、人類史上記録された最大の天文現象だと考えています。この星は、今ではほとんど見えなくなっていますが、6000年前にその輝きは昼間に太陽と競い、夜は月と並んで、2つの川の水辺に長い光の帯を描いていたと思われます。この不思議の自然現象は早期の人間に与えた心理的影響は大きいものに違いありません。星への畏敬の念と崇拝は神話や宗教へと発展し、この星に関する絵は文字の原型になったと考えられます。専門家によれば、楔形文字の中で一番早く、一番多く使われていた文字は「星」と「神」で、この2つの言葉は驚くほど似ています。
*この部分は作者が中国社会科学院考古学研究所ホームぺージ「楔形文字」項目(2009)より引用したものです。英語名がわかりませんので、中国語のままにしておきます。読みは恐らくリチャード・ストッセルだと思います。
http://www.kaogu.cn/html/cn/kaoguyuandi/kaogubaike/2013/1025/34087.html

 「ディンギル」の原型が超新星であったという推測は非常に驚くもので、それにこの推測に大きな問題がありました。この超新星が6000年前に爆発したという説明はシュメールの八角星シンボルが出現する時期に一致していますが、致命的なミスがあります。後世の天文学者はより高度な技術を以て超新星残骸から逆推して計算した結果、ほ座超新星爆発の時期は6000年よりも遥かに早い11400年前であることが判明しました。
 ここまで来て、超新星仮説にはもう死刑宣告が下されたことになったのでしょうか。必ずしもそうとは限らないと思います。歴史上、ケプラーの3つの法則のように、誤った根拠やプロセスに基づいて行われた推測が、正しい結論をもたらした例もありますから、超新星仮説の真偽を判断するには更に多くの資料が必要です。
 暫くシュメールから離れて、より高い視点からこの問題を見てみましょう。歴史的に近い時代、三日月の地から数千キロ離れた場所に、考古学的に発掘されたものにも八角星のシンボルがたくさんついていました。この場所は中国の大地です。このシンボルに「八角星紋」という学術的な呼び方がついています。比較的に有名なのは大汶口文化の八角星紋です。

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 関連資料を調べてみたら、非常に面白い論文を見つけました。偶然なことに、この論文の結論部分に同じ超新星、ほ座超新星が言及されました。以下、この論文の内容を多めに引用しながら説明させていただきます。

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『新石器時代の八角星模様と超新星爆発』
http://www.doc88.com/p-2327080661056.html

 論文によれば、比較的に短い時間の中で、非常に広い地域に同時に大量の八角星紋記号が現れました。これらの文化的遺跡はすべて新石器時代のもので、そのほとんどが成熟した文字が出来上がっておらず、遠く離れたグループ同士の間にコミュニケーションの手段がないにもかかわらず、期せずして同じような八角星紋の模様が見られており、これがただの偶然だという可能性が極めて低いと考えられます。

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図:八角星紋がついている新石器時代に属す発掘物の分布図と模様一覧

 広い地域に生きる多くの人々が同時に見えるものとして、八角星紋が天体である可能性が一番大きいと考えられます。太陽は各地の人々が同時に見えている天体だということを考慮して、八角星紋の記録が太陽である推測も自然に現れました。しかし、同時期の発掘品により太陽に似ている模様が明らかに存在しており、これらの模様は八角星紋と大きく異なっています。故に、八角星紋が記録したものは、太陽ではないもう1つの明るい天体である可能性が出てきました。

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図:新石器時代の発掘物に見つかった太陽に類似する模様

 論文の推測によれば、この明るい天体は超新星の可能性が高いと思われます。今まで見つかった八角星の遺跡で年代が一番早かったのは今より7800年前の湖南省洪江県高庙遺跡のため、超新星の爆発時間はこれより前のはずです。現代の記録を調べれば、既に発見された距離が近い超新星残骸で「非常に明るい」、発見の時間にも明るさ的にも条件を満たしている超新星が2つあります。それぞれほ座超新星(爆発は約11400年前)とCygnus Loop(爆発は約8000~10000年前)です。この2つの超新星で、ほ座超新星のほうがより明るく、SN1054の明るさを参照にして、大雑把に見積もって最大の明るさは‐10.5等級、金星の最大明るさより200倍も明るいです。
 論文の結論として:新石器時代に現れた八角星紋は当時の各文化の言語、文字とコミュニケーション手段の発展具合を考慮して、加えて同じ時代の太陽の模様を比較した後に、暫定的に下記のように推測できます:八角星の模様の出現は偶然ではなく、特に注目されるような、影響が広い天文現象に関係しており、超新星の爆発である可能性が高く、既存の資料に基づいて、ほ座超新星とCygnus Loopのいずれかと判断し、前者である可能性が高いと考えられます。

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図:ほ座超新星残骸の5色X線観測画像(撮影者:Marco Lorenzi)

 数千キロも離れた2つの古代文明の遺物に対する研究はそれぞれの文明において非常に重要なシンボルを、同じ天体、即ちほ座超新星に紐づけることができることがわかります。前文にも触れたように、肉眼で金星を観察する際に8本の光は見えにくいため、金星は除外されました。なら、古代人が超新星を肉眼で観察したときに、八角星状の光が見える直接な証拠はないでしょうか。この観察者はできれば、比較的に独立した文明に属しているほうが望ましいです。こうすればシュメール文明と中華文明がそちらの創作に影響する可能性は避けられますから。
 結論は、あります。アメリカのアリゾナ州、ホワイト・タンク・マウンテン・リージョナル・パークのホホカム(Hohokam)族が岩に残した絵が研究された結果、SN1006の記録だと考えられました。ネイティブ・アメリカンは約15000年前に北米に到着し、コロンブスが新大陸を発見したのが1492年ですから、北米部族の住民は1006年に旧大陸の八角星文化に影響される可能性は0に近いだと考えられます。文化的干渉がない前提で、ホホカム族の住民は自らSN1006という、この人類歴史上明らかな記録が残された最も明るい超新星に対する記録は、八角星でした。故に、肉眼での観察であっても、その超新星が明るければ八角星に見えることができます。

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 シュメール文明の「ディンギル」と中國新石器時代文化における「八角星紋」の資料をまとめてみましょう:
 1、ディンギルと八角星紋は同じ明るい天体
 2、シュメール文明と中国新石器時代における太陽のシンボルはいずれも八角星に異なる
 3、ほ座超新星の概算明るさは約-10.5等級、ホホカム族に八角星として記録されたSN1006の‐7.5等級よりも高く、明るさは約14倍の差があるため、肉眼でも八角の光が見えるとする
 4、シュメール地域と中国地域、歳差運動の要素を計算したら11400年前にいずれもほ座超新星が見える
 上記から2つの文明は八角星マークという外見的な類似点以外、内的共通点もとても多いと思います。
 しかし、1つ大きな疑問点があります。なぜ11400年前に爆発した超新星は、7800年前の時点になって初めて色んな工芸品に現れ始めたでしょうか。この疑問に対して、私は古今東西の各学科の資料をまとめて、正しくないかもしれないが、ロジック的に問題なさそうな推測を立ててみました。この推測は『アークナイツ』というゲームの枠外に行ってしまったかもしれません。一部の基礎知識は第四章で補足させていただきます。
 第五章で重点的にこの推測について述べたいと思います。今はただ、ゲームの設定はここから来たのではないかの推測として、有力な仮説を知っていればいいです:ディンギルと八角星紋が、同じ超新星から来ており、この2つのシンボルとゲーム内の八角星は同じくとある超新星を指していると。

三、イベリア:極地と秘境

「迷子?大丈夫、僕に任せて。」

 第二章で、関連の考察を経て序章自分で立てた一つ目の疑問を答えました。アステシアの立ち絵に出ていた八角星に託された意味は、とある超新星かもしれないと。続いて本章は二問目に入りたいと思いますーーエリジウムの関連設定はPV3の考察、極圏という計算後に得た結論に繋がりがあるでしょうか。
 まずはエリジウムの立ち絵を見てみましょう。天文学関連の要素は多く含まれておりますので、エリジウムは天文学と強い相関関係があるとわかります。ゆえに、彼もテラの重要な設定に強く関係していると推測します。

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 次にエリジウムのモチーフ、キョクアジサシを見てみましょう。キョクアジサシはとても特別な鳥で、最も長距離の渡りをする鳥の一つとして知られており、1年のうちに繫殖地である北極圏と越冬地である南極圏の間を往き来しています。この片道19000キロの旅道を往復することで、この種の鳥は毎年2回も夏を過ごし、地球上すべての動物よりも多い昼間の時間を経験しています。

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 つまり、キョクアジサシは北極だけではなく、南極もその生息地の1つです。同時に、エリジウムのプロファイルは彼のコードネームの意味が「極地と秘境」だと明かしてくれました。前回の考察の結論をそのままに、テラ大陸は移動しています。しかし、ウルサスが北にあり、イベリアは南にあるという大雑把な位置関係は変わらないものです。エリジウムのコードネームの「極地」は北極ではなく、南極だってことにしましょう。イベリアは昔大きな災難があったことを考えて、「秘境」になった可能性もあり得ることです。ここで、イベリアはとあるタイミングで、南極付近に通過したという仮説を立てたいと思います。エリジウムは天文学に関係していて、南極は現実世界の天文学にとっての最も理想な天体観測ポイントです。イベリアに近いリム・ビリトンがPV3の特定シーンの計算を経て極圏にあるとわかったのも、この仮説に可能性をもたらしたと考えます。
 では、イベリアの位置を計算できないでしょうか。この前の考察で、テラ大陸が移動する大陸で、この大陸の中心地帯であるリターニアは常に次のスーパー皆既日食の中心にロックオンしている可能性を言及しました。
 大陸が移動しているため、計算量を減らすには、特別な意義があるタイミングを選んどいたほうが便利でしょうか。潮汐の下のストーリーや既出の資料からわかったように、イベリアには数十年前に大きな災難がありました。この災難は大いなる静謐である可能性が高いです。限定ガチャ深悼の★5オペレーター・アカフユのモチーフはカニです。エーギル人と星はある種の繋がりがあるのなら、アカフユのモチーフがカニだということも、何かしらの考慮があったのではないでしょうか。カニと天文学といえば、かに座かかに星雲のことを思い出すでしょう。アカフユの誕生日3月27日はかに座と無関係なので、かに星雲と関係している可能性が高まってきました。
 かに星雲はちょうど前文で言及したSN1054超新星が爆発した後に出来上がった残骸で、歴史上はじめて確認された超新星爆発に関係する天体でもあります。SN1054の爆発時間は、中国古代の観測にきっちり記録されました。

至和元年五月己丑,出天关東南可数寸,歳余稍没。——『宋史·天文志』
*訳:至和元年五月己丑、(客星*が)天关星(おうし座)の東南方角の数寸から出て、一年もう少し経ってから少し見えなくなった。
*客星は古代中国が歴史上の超新星に対する呼称です。

 至和元年五月己丑というのは1054年7月4日、日付的にちょうどメインストーリーの数十年前、大いなる静謐が起こったかもしれない時間に一致しています。この時間に一番近いスーパー皆既日食が起きた時間と座標はそれぞれ1044年5月29日 11.1°S 56.2°W と 1062年6月9日 5.2°S 170.2°Wです。テラ大陸が球体の表面にほぼ同じ速度で移動すると見て、既出のテラ地図を参考にして、炎国の大きさは中国と相当することを仮定し、イベリアからリターニアまでの概算距離を計算して、また赤道傾斜角の角度が大きくなったことを考慮して位置を修正したら、1054年7月4日イベリア南部地区の概ねの位置を求めることができます。

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 前の世界観考察に基づいた計算を経て、1054年7月4日イベリア南部地区の位置は南極に近いことがわかります。
 こうして、キョクアジサシの習性からも、移動大陸の仮説からも、PV3月が移動する軌道からも、地球の天体観測のベストポイントからも、まったく異なる4本の道は、イベリアが極圏にあり、しかも南極であるという同じ結論にたどり着きました。同様に、地理的にイベリアに近いサルゴンとリム・ビリトンの南部地域の気候も南極圏に類似し、寒くて乾燥しているはずです。アカフラ地域の熱帯雨林気候はこの結論に一致していないようですが、もしも何かしらの強いエネルギー源がこの地域ごとを暖めているのならば、小規模な熱帯雨林気候を作るのも可能でしょう。「決して消えない炎」がアカフラ地域に隠されている可能性があります。
 超新星爆発と南極は大いなる静謐に強くかかわっていますが、この2つの要素を繋ぐために、まずはこの災難の本質を明らかにする必要があります。
 ゲーム内に既にヒントが残されています。もう1人人気が高いオペレーター、ラップランドの背景設定も極圏とつながっています。ラップランドというコードネームの英語Laplandはノルウェー、スイス、フィンランドの北部、北極圏付近の地域を指しています。この地域で一番有名なのは、オーロラです。

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 1054年7月4日とそれ以降の長い時間において、イベリアの南部の位置は、ちょうど南極のオーロラベルトの位置と重なっている可能性が高いです。

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 ここまで来て、超新星爆発、南極とオーロラ、大いなる静謐というパズルの最も重要な3つのピースが揃いました。次の章で、その謎を明かし、この超自然的ともいえる災害の背後にある科学的な本質を詳しく説明していきたいと思います。

四、「大いなる静謐」:エーギルは知っている

「色彩は無意味。」

 大いなる静謐を説明するために、まずオーロラ発生の仕組みについてわからなければなりません。記事はこちらのがおすすめです(*中国語です):

『オーロラの鮮やかな色合いはどこから来たのか 小さな粒子の貢献』
http://www.cas.cn/kx/kpwz/201907/t20190718_4700183.shtml

 読むのが面倒な方のために、ここではオーロラ発生のいくつかの要素を簡単にまとめます:
 1.オーロラの色は様々な形で大気中に存在する窒素と酸素の含有量に相関しており、海抜が高ければ高いほど、酸素原子の量がより多くなる。
 2.高エネルギー放射線は、一部の分子状の大気成分を原子、あるいはイオンの状態に変えることができる。
 3.極地に近いところでは、高エネルギーの荷電粒子が大気中の分子、イオン、原子と相互作用し、エネルギー準位の遷移が発生したことによって違う色の光を放つ。

 オーロラの3つの基本色は次のように作られ、他の色は基本的にこの3つの色の組み合わせです:
 1.海抜が一番高いところは酸素原子がメインで、励起された酸素原子(O)が跳躍する際に波長が630ナノメートルの光を発することが多いため、赤色に見えてオーロラも赤色を帯びる。しかし酸素原子の濃度が低く、人間の目はこの波長の光への感度が低いため、太陽活動が非常に活発な時期ではない限り、赤いオーロラがほとんど見えない。
 2.海抜が比較的に低いところは粒子の衝突が頻繁に起こり、赤色光の形成プロセスが阻害される。励起された窒素分子(N2)が衝突でエネルギーを酸素原子(O)に伝え、この場合微細な粒子が跳躍する際に波長が555.7ナノメートルの光を放つと、オーロラがほとんど緑色に見えるようになる。これはオーロラの色として最も広く認識されている色です。
 3.海抜が更に低くなったところで、微細な粒子の跳躍が比較的に落ち着いている時に放つ波長は428ナノメートルしかなく、青く見える。

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 また、太陽活動が極めて活発な時期には、下記のような色のオーロラが発生します:
 1.赤色光と緑色光が混ざって黄色光になる。
 2.青い光は、赤い光と均等に混ざり合い、紫色の光になる。
 3.赤、緑、青の光を一定の割合で混ぜると、藍色の光になる。
 緑色の光が一番見えますから、通常は完全に隠されることはないでしょう。
 同時に、海抜が高いところで作られた肉眼で視認しにくい赤色光は、海抜が低いところで作られた他の色に完全に塗りつぶされるか、他の色と混ざって見えることが多いと思われます。
 こうして、太陽活動が極めて活発な時期に、黄、紫、藍、緑などの色が混ざったオーロラが形成され、このようなオーロラは非常に珍しいものです。
 そして、黄、紫、藍、緑は『大いなる静謐』の色でもあります。
 故に大いなる静謐の本質は、極めて強烈だったオーロラであった可能性があります。設定の厳密さのために、ゲーム内の絵もリアルなオーロラ写真に基づいて描いたものだと考えます。「オーロラ」、「紫」のキーワードでこの写真を見つけ出すことも難しくありません:

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 写真と絵に多くの共通点があれば、決定的な違いもあります。色の濃さから見れば、『大いなる静謐』の絵に描かれているオーロラの強さは、現実世界の太陽活動のピーク時よりも遥かに強くなっています。前の推測で、このオーロラは一般的なオーロラと異なり、太陽活動が原因ではなく、超新星の爆発が原因だと触れました。では、1054年の例の超新星爆発が放ったエネルギーは6500光年という長い長い距離を経て地球にたどり着いた際に、本当に身近な太陽活動以上に地球に大きな影響を与えることはあり得るのでしょうか。これが本当に強いオーロラだったと、何か決定的な証拠はないでしょうか。
 先に述べたように、南極は地球上で最も天体観測に適した場所です。以下に紹介する資料を以て、この「最も適した場所」に対する認識を深めようと思います。
 オーロラの形成には高エネルギー放射線による窒素分子と酸素分子のイオン化と複合化が必要であり、このプロセスが強い場合には、珍しい紫-藍色のオーロラが発生する傾向があり、同時に窒素酸化物も形成されます。そして、窒素酸化物は南極氷床の表面に硝酸塩の形で残されます。故に、異なる年代の南極氷床の硝酸塩含有量を分析すれば、その時期のオーロラの理論的な最大強度を概算することができます。

「南極氷床 千年前に爆発した超新星の痕跡を発見(*中国語)」
https://news.sciencenet.cn/htmlnews/2009/3/216876.html?id=216876

 2009年、日本国立研究開発法人理化学研究所の望月優子氏と同僚は、南極ドームふじから採ったアイスコアを分析した結果、厚さ50メートルの3つの氷床内で高濃度の硝酸塩が発見された。対応する化学物質と厚さで氷床が形成する時代を確認した後に、研究チームは下記のことを見つけました:硝酸塩含有量のピークの1つは1054年に近い年代で、当時の中国の学者が観測した明るい超新星爆発の時間と一致する。もう1つのピークは1006年、これもまた明るい超新星の年代と一致する。3つ目のピークは1060年付近で、この年に超新星に関する報道はなかった。
 実は、1970年代にバージニア大学の罗伯特·鲁德(*中国語で書かれてる名字はよくわからないので訳さないことにしました)氏は既に1572年と1604年の超新星が南極のアイスコアで残した痕跡を発見したが、グリーンランドのアイスコアで同じような硝酸塩含有量ピークが見られなかったため、彼の研究結果は疑問視された。
 しかし、鲁德氏の研究に協力したカンザス大学の吉塞拉·德里肖夫氏と克劳德·莱尔德氏によると、彼らは既に超新星が地球の氷冠の中に残した明らかな痕跡を見つけたそうだ。そのチームは2004年に3つの地域から採ったアイスコアを分析し、中に2つが南極、1つがグリーンランドからのものだ。極地ら採ったサンプルはすべて1054年と1006年の超新星爆発が残した痕跡である硝酸塩含有量のピークが含まれており、德里肖夫氏は自分の研究結果に大きな自信を持っている。彼女は、日本の科学者が「超新星が極地の氷河に痕跡を残った」という仮説に更なる証拠を提供することを歓迎すると述べた。

 1060年の硝酸塩含有量のピークは、私たちがまだ知らない超新星、あるいは他の天文事件に対応しているかもしれません。これらの科学者が南極氷床に対する研究を通じて、1つだけわかった事実があります。SN1006とSN1054という既に知られている2つの超新星爆発は、地球上に確実な痕跡を残しました。2つのピークの時間差は太陽活動周期よりも遥かに長いです。故に、現実世界の1054年7月4日に戻ることができれば、更に南極と北極付近のオーロラベルトに入れば大いなる静謐という架空の災害が、実際に起きた現実世界での原型を見ることができるかもしれません。
 よって、南極が天体観測の最も適した場所になったのは、その無垢な空だけが原因ではなく、その古い永遠の氷の下に眠っている記録もものを語っています。南極の氷冠を守ることは、何千万年の時空が私たちに残した宇宙の謎を解読するための記録そのものを守ることで、失ってしまったら二度と取り戻せない宝物です。
 これほど壮大なスーパーオーロラがもたらし得る災害は、ゲーム内の情報と一致するかどうかを見てみましょう:
 1.超新星の爆発は間違いなく強い磁気嵐をもたらし、星のすべての電子通信を妨害し、極地エリアの電子機器は基本もうだめになります。
 2.オゾン層の破壊や紫外線の増加は、一般的な藻類の生態系のバランスを崩し、海全体の生物の量の減少につながります。
 3.硝酸塩濃度の上昇によって、渦鞭毛藻類のTamarindus alexandriなどといった有毒藻類の毒性と活性も著しく増加し、紫外線に殺された一般的な藻類がなくなった後の生態ニッチを占領して、魚類の酸素不足による窒息を引き起こす有毒な赤潮が発生します。
 4.超新星の光の中で目に見えない波長のγ線はオゾン層の破壊によって減衰吸収されないため、直接人間に当たり、重篤な放射線病を引き起こす可能性があります。
 上記の状況は、潮汐の下のストーリー及びケルシーのプロファイルで大いなる静謐に対する描写とほぼ一致しています。

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 新オペレーター・インディゴが示唆したのは、間違いなく大いなる静謐だと考えます。イラストを织布机loom先生に任せた理由は、LM7先生の「天体運行*」の4文字かもしれません。
*アークナイツでケオベなどのイラストを担当したLM7先生が织布机loom先生の絵に対して「织布机loom先生の絵は美しさに満ちて、生き生きしてまるで天体運行。今この時生きていること以上めでたいことがないと思います。なぜならば生きていることでこれほど美しく素晴らしいものが見れたから」という素晴らしいコメントを残した後に、「天体運行」が尊い気持ちを表すための表現として一気に大陸のアークナイツ界隈で流行りはじめました。

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 同じ理由で、ソーンズの設定はなぜこうなのかも合理的に解釈することができるようになったと思います。

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 まず、ソーンズの設定で星がありました。同時に、ソーンズの専門である薬剤制作(基地スキルの錬金術)、剣術(デストレッツァの理論は天体運行に類似する部分があります)と神学は、ちょうどエジプトの『エメラルド・タブレット』から発祥したヘルメス主義の錬金術、占星術と神智学である「宇宙3大知恵」に対応しています。ゲームの設定は、この3つの専門を同じ源にする傾向が見られ、ではこの源の最有力候補は、神と星と同時に関わっているほ座超新星で、キャラクターデザインで錬金術に関する内容を超新星の性質にリンクさせたと考えます。
 超新星なので、ソーンズに関係している星の様式は超新星爆発に関係する八角星で、この超新星は爆発によってとっくに暗くなり、だからソーンズは褐色だと考えます。超新星は恒星で、爆発した後に中性子星が残る可能性があり、球形なので、ソーンズのモチーフは、まずは星空に繋がりがあるエーギル、つまり海洋生物で、また丸い生物が望ましいのではないかと思います。だから1.5周年のライブ放送で流された動画で、ソーンズ関係のものは円盤状のヒトデではなく、丸いウニでした。
 同時に、ウニの棘は超新星爆発した際に全宇宙に向けて放たれた強烈な光の象徴としてふさわしいと思います。この光が他の星にたどり着いたときに、元の星はもうとっくに静寂に戻り暗くなってしまったでしょう。だからソーンズの原型として、そのウニはトゲが明るく、本体が暗いほうが望ましいと考えます。また、ソーンズの武器の色を参考して、ソーンズのモチーフとして可能性が一番高いのは下記のハワイ付近に生息するウニで、これもなぜソーンズは、モチーフの一部がハワイであるシエスタのイベントで登場したかの深い理由だと考えます。ソーンズのEP「El Brillo Solitario」の意味は「孤独な光」、古代中国の単語「孤光」に対応していると考えます。その意味は光が遠くから照り輝くことで、そして私たちが見ている一番遠い光は、すべて星の光です。

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 次はソーンズのデストレッツァについて、現実世界でこれは近接型の剣術ですが、ソーンズはこれを使って遠距離攻撃ができ、攻撃が当たった時に目標から一瞬だけ星が点滅します。だからデストレッツァの一振りは超新星が放つ破壊力がある光線を象徴しているのではないかと思います。超新星の光は星系全体を照らすほど明るく、宇宙で最も高いエネルギーを持つ光の部類、γ射線ですから、デストレッツァはソーンズのスキルとして最もふさわしいと思います。γ射線を過剰に浴びたら放射線病になり、神経にもダメージが与えられます。だからソーンズの素質に「神経猛毒」があります。ウニのトゲと叉棘も毒があり、毒性を発揮するのか薬物性を発揮するのかは量と使用法によるものなので、ソーンズの専門に薬剤制作があります。超新星爆発の本質はビッグバンだから、ソーンズの基地スキルに「爆発アート」があります。
 以上は、ソーンズというキャラクターをデザインした際の主な考え方だと推測します。

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No.66『大いなる静謐』
イベリア史上最大級の災厄を描く絵画。
筆遣いは無意味、色彩は無意味、趣は無意味。
「エーギルは知っている。エーギルは知っている。エーギルは知っている」

 続いては『大いなる静謐』のフレーバーテキストで3回繰り返された「エーギルは知っている」について、ケルシーが実装してから、彼女のプロファイルで下記の記述があります:

 島の住民たちが残した資料とあれとは完全に一致した。我々の悲しい推測が現実となったのだ。。

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 ケルシーがこの手紙を書いたとき、今まで苦労して作り上げた全知全能のキャラが見せかけに過ぎないこともどうでもよくなりました。この文章の情報量は非常に多いと思います。ここの「島の住民たちが残した資料」に書かれたことは、恐らく1054年に起きた大いなる静謐のことを指しているでしょう。故に、残された資料は何なのかについて2つの可能性があると考えます:
 1.エーギル(国)はSN1006などの超新星爆発を観測・記録した。
 2.エーギル(国)が1054年に超新星が爆発する情報をどこかから入手した。
 前者の場合、イベリアの民衆がエーギルに敵意を抱いている原因は知ってても行動せず、イベリア人を見殺しにしたことにあるかもしれません。同時に、多くのエーギル人は故郷を離れたのも、SN1006などのような以前に起きた超新星爆発による災難が原因だったかもしれません。
 後者の場合、色々複雑になってくると思います。超新星が爆発する正確な時間は非常に多くの要素に影響されますから、正しく予測することはできません。私たちが知ることができるのは、とある星は爆発の条件を満たしていることだけで、実際に爆発するのは明日なのか、1億年後なのかは神のみぞ知ることです。もしエーギルは本当に1054年7月4日に超新星が爆発する情報を持っているとしたら、この情報は、既にこの超新星爆発を経験した未来の世界線から来たしかありえないはずです。もしこれが事実であれば、「未来を鋳直す 箱舟起航」というゲーム初期の宣伝スローガンの意味はそれほど単純なものではないかもしれません。
 上記の2つの可能性は互いに矛盾しません。エーギル人はSN1006が爆発したときに、その日付資料の意味についてまだ知っておらず、災難を経験してから初めてその重要性を理解し、この災難の性質を記録した後に、イベリアの官公庁に知らせた可能性もあります。イベリアのほうはこの件をまじめに捉えていなく、大いなる静謐が起きてから放射線を浴びたイベリアのとある統治者が死の間際に「エーギルが知っている」と3回繰り返し、己の傲慢による人災への後悔が含まれているかもしれません。
 この事件の真実を推測すると:エーギル(国)は最初から超新星爆発の日付が書かれた古代の資料を持っていますが、その日付は何を意味しているのかが分からず、1006年4月30日の災難を経験してから、ケルシーはとある協同研究プロジェクトに参加し、次の日付である1054年7月4日にも同じ災難が起きると推測しました。だから「悲しい推測が現実となったのだ」という言葉が出てきました。ケルシーのこの言葉は、テラが一歩一歩、定められた運命に向かっていることに対して自分が如何に無力であるかを言っているようなことだと思います。ケルシーの印が懐中時計で、刻まれている4つの日付もこの古代資料の研究からかもしれません。
 以上は科学原理を以て大いなる静謐を解釈する内容でした。まぁでもアークナイツはファンタジーゲームなので、世界観における神は本当に存在するもので象徴的な存在ではないため、大いなる静謐の裏には超自然的な要素、神に関係する要素もあると思います。
 超新星が地球に現れた本質は、超新星爆発する際の光と粒子が千万年の旅を経て地球にたどり着いたことなので、テラが存在する宇宙に、超新星爆発の裏にある超自然的な設定はもしかしたら、真菌類がアポトーシスを行う際に胞子をまき散らすのとタンポポの種が風で飛ばされるのと似ているかもしれません。とある宇宙生物は、自分を光速で動くための情報状態に変化して星間移動を行います。それは新たな居住に適している惑星を求めて新しい生命のサイクルを始めるためであり、自分の文明の存続を果たすことが目的だっていう可能性があります。
 つまり、超新星爆発がテラの世界観での設定は、「神」と呼ばれる神秘的な存在による宇宙レベルの種まきである可能性があります。大いなる静謐はテラにとって新たな「神の種」の降臨という可能性があり、それに付随する災害と苦難は、誰も意図しない偶然かもしれません。
 何せ神は気にしておらず、主もどうでもいいと気にかけていませんから。

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 そしてテラ世界の神は超新星爆発の回数が原因で、複数いると考えます。彼らは1種類だけではない、あるいは複数の陣営に分かれていると考えます。原因は以下の3つ:
 1.洪炉示歳(エンシェントフォージ)のストーリーは、ケルシー、AUSとニェンの一族が同族であることに触れました。
 2.ソーンズがAUSのAyaと話していた時に、Ayaは彼の同類じゃないと述べました。
 3.テレジアからのケルシー宛の手紙に、彼女とケルシーは同族じゃないと述べました。
 これらの人々はみな、神の血筋だっていう可能性があります。ソーンズとテレジアが同じ血筋の情報がないので、神の血筋が3つに分かれていると仮定します。
 矛盾しているのは、テレジアとケルシーの血脈は色んな情報から推測して、プリースティスまで遡ることができます。だから「鯀は帝の息壌を盗み、洪水を塞ごうとした」の本質は、プリースティスが当時統治者である神の土を盗んだのではなく、神の血を盗んで、自分に融合したのではないかと考えます。
 なら、PV-2で下記のアーミヤのシーンが出てくる前に、一瞬だけ閃いた3つの星は、由来が異なる3つの血脈に対応しているのではないかと思います。仮にこの推測が正しければ、アーミヤが異なる3つの神の血を引いているキメラを示唆していて、プリースティスと似ていると考えます。

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 アーミヤ以外のメインキャラクターを考えて、この3つの神の血の源はそれぞれドクター、ケルシーとテレジアの可能性があると考えます。
 この他に、敵としての神がもう1人いる可能性も考えられます。

五、明けの明星:文明のきざし

「神は死んだ!」

星の欠片の数々を集めて、私は世界を創ってやる。
                     ——ニーチェ
*日本語の訳本が見つからなかったので、中国語から訳しましたが、訳者はニーチェの詩集を読んだことがないので、感情的な意味合いは原文と一致しない可能性もあります。ご容赦ください。

 第二章で、ディンギルと八角星紋のモチーフは11400年前に爆発したほ座超新星という仮説を立てました。ロジック的に問題ありませんが、1つ大きな問題が存在しています。なぜ11400年前に爆発した超新星が色んな遺物に出てきたのは爆発したその年ではなく、一番早くでも7800年前でしょうか。
 まず、11400年前に超新星爆発を目撃した人は何を以てこのシーンを記録に残し、遺物として現代まで生き延びることができるのかを考えてみましょう。答えは、このような手段がありませんでした。11400年前は旧石器時代から新石器時代への移行期で、この時期の人類はとっくに言葉が使えるようになりましたが、体系的な文字の開発と道具作りの技術は数千年の発展を経て完成されたものでした。
 成熟した彩文土器 (彩陶)の製造技術は約7800年間に中國で発明され、それとほぼ同時期に、洪江県の高廟遺跡から八角星紋が描かれている彩文土器が出土しました。世界最古の文字の一種である楔形文字は紀元前3200年前後にシュメール人によって発明され、楔形文字の中でもっと早く、そして多く使われていたのは、星と神を表す「ディンギル」です。
 つまり、11400年前の古人はこの星を記録しようとしなかったわけではなく、現代まで残された遺物が文化の媒体として登場した途端に、数千年後の古人はすぐこの星のことを記録しました。この星の名前とシンボルは4、5千年の時の中でずっと部族のシャーマンが代々口伝えで記録してきたと思います。
 ある民族の神は、文字と遺物に頼らずに、こんなにも長い間、口伝えだけで記録を保ってきたのが実際にできることでしょうか。
 実は現代においても、多くの文字がない少数民族の神話も、この形で伝えてきたのです。ある程度の伝達ミスは確かに存在しますが、神話の中の重要なポイントと日常の祭祀行為における儀式は比較的に完全な形で受け継がれ、中国国内においてこのような、民族文化が比較的によく保存されてきたケースが多く存在します。一方で、排他的な宗教がある地域の場合、異教の聖職者に対する迫害によって北欧神話のような貴重な文化遺産が消滅しそうになったケースもあります。神を殺すということは、本質的にその神を祀る聖職者を抹殺することです。加えて信者をその教義や伝統から切り離し、1世代が経てばその民族の文化が消滅し、遺物が残されたとしても誰も解読できなくなります。
 だから、排他的な宗教の影響を受けていない地域ならば、神話と伝統は言葉と儀式だけで受け継がれることができます。明らかなことに、シュメールも中國も、文化が起源の時代から排他的な宗教が出現するまではまた、何千年も経った後のことでしょう。
 よって、何千年も離れた時代の遺物に八角星が現れたのは、出現の時期と発明の時期がほぼ同じであることから、記録を残した人たちにとってこの星がいかに重要であったかを示す証拠だと考えます。

 1つの疑問を解決すれば、また別の疑問が出てきました。なぜこの星はこれほど大事なのか、なぜ数千年の口伝えを経ってからも、その重要性が全く低下しなかったのでしょうか。
 この疑問を解決するには、まずヤンガードリアス期という地質学の概念を紹介したいと思います。

一万年前何が起きた?地球の温暖化がもたらした千年も続く極寒波
https://www.bilibili.com/video/BV16K4y1P7z2(*中国語)

 ヤンガードリアス期(Younger Dryas stadial)の名前は極地に生息する植物チョウノスケソウ(Dryas octopetala)由来で、今から12800年から11500年くらい離れた、1300年ほど続いた氷期のことです。それまでの地球は、気温が徐々に上昇する間氷期にありました。いきなり訪れたヤンガードリアスイベントによって、地球の気温が一気に下がり、北極の氷河が南下した結果、チョウノスケソウの化石が低緯度の地域にも現れるようになり、この出来事の象徴的な目印になりました。
 ヤンガードリアスイベントの起因は氷河融解説や彗星衝突説など、比較的に有力な仮説がありますが、ここで触れないようにしておきましょう。
 始まりの時と同じ、ヤンガードリアス期の終わりも同様に突然のことでした。1世代未満の時間に、グリーンランド地域の平均気温は15℃も上昇しました。グリーンランドの気温の上昇は大きく2段階に分かれ、それぞれ約10年の時間をかけて7~8℃上昇しました。

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 ヤンガードリアス期の極寒は北米のクローヴィス文化の消滅に繋がっている可能性があります。人間を含む多くの寒冷地に適応していない種も影響を受けました。ヤンガードリアスの氷期に、地中海東のレバント地方の気候が乾燥して、高温になったため、動物と植物の数量が減少し、それに連れて環境収容力も低下したせいで、狩りや採集などの生存手段が役に立たなくなり、生存競争で技術が高い部族だけ生存できる理由で生き延びた人類は農業を開発したという観点もあります。
 その後、気候が暖かくなり、頭を使う派の人口が増え、様々な古代部族の文明も栄え始めました。実際、多くの動物と農作物の家畜化が進んだのがヤンガードリアスの氷期前後で、この時期についての紹介も一旦ここまでにしましょう。

 続いていくつかの時期的なポイントを見てみましょう。
 1.ほ座超新星の爆発:約11400年前。(11000から12300年前の間に爆発した説もあります)
 2.ヤンガードリアス期の終わり:約11500年前。
 3.300万年くらい続いた旧石器時代の終わり:約1万年前。
 この3つの事件が起きた時期がこんなに近かったのは、ただの偶然でしょうか。
 今までのヤンガードリアス期についての研究は、起因に着目するものが多く、なぜ終わったかに注目する人はほとんどいません。しかし、この時期が終わった時に起きた気温の急激な上昇は、始まりの時の急激な下降よりも更に幅が大きくなっています。通常であれば、ヤンガードリアス期が始まった時の気温下降の原因が何であれ、新たな特殊な事件がない限り、気温の戻りはヤンガードリアス期の末期に見られる直線的な急上昇ではなく、徐々に上がっていき、傾斜率はその後のいくつかの温暖化時期に近いはずです。
 そう、直線的な急上昇です。中国科学院地質と地球物理研究所が中国の観測データをもとに作成した表からは、より直観的にこの劇的な幅の大きさがわかります。約11560年から11510年前に、おおむね50年前後の時間で平均気温が2℃上がりました。これは12800年前に始まった気温の急降下よりもびっくりする幅です。50年は地質学にとっては1秒のようなものですから。

地質と地球物理研究所が明かした華北地域ヤンガードリアスイベントの期間と構造的特徴:
https://roll.sohu.com/20120611/n345287271.shtml(*中国語)

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 この温暖化の進行のスピードは、決して自然回復ではありません。気温を上昇させた大きな出来事があったはずです。この出来事の影響力が最も強い期間は約50年続いたと考えられます。
 では、既存の地質学の資料と照らし合わせて、この事件は下記のいくつかの特徴を満たしているはずです。
 1、地層に明らかな痕跡が広範囲に残っていないため、破局噴火とマントル・プルーム*の可能性を排除。
(*マントル・プルーム:最下部マントル内または外殻表面から発生する流動化したマントルの大規模な上昇流。地表に表れた所がホット・スポットとされている[地学団体研究会 : 1996]。)
 2、気温は低下するではなく、上昇するため、小惑星の可能性を排除。破局噴火とマントル・プルームの可能性も改めて排除。
 3、時間が短く強度も高いため、ミランコビッチサイクル*の影響を排除。
(*ミランコビッチサイクル:地球の公転軌道の離心率の周期的変化、自転軸の傾きの周期的変化、自転軸の歳差運動という3つの要因により、日射量が変動する周期。引用:Wikipedia)
 明らかな痕跡が残されず、強度が高く、時間も短く、地球の温暖化を引き起こすような大事件は超新星しかないと考えます。超新星のガンマ線と高エネルギー粒子は地球のオゾン層を破壊することができるため、元々遮断されていたはずの紫外線が再び生物圏に大きな影響を及ぼすことになります。
 先ほど述べたように、真っ先に影響されるのが藻類、藍藻のような海洋生物で、彼らが光合成で生成される酸素は季節によって変動し、世界の光合成酸素生成量の13〜48%を占めています。もしこの量が極短い時間で大きく減少すると、元々動的平衡状態にある地球の大気中の酸素濃度が急激に低下することになり、その同時に、二酸化炭素の割合も増加します。地球の歴史上の数回にわたる氷河期は多かれ少なかれ、植物の光合成が生態系の酸素消費量よりも強いことに関連しています。下の表を見るとこの相関関係をより直観的にとらえることができます。

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 また、爆発自体も地球に多くの追加分のエネルギーをもたらし、これまでの気温の動的平衡を崩してしまうことになります。
 つまり、この超新星爆発は特に明るい時期に、地球の平均気温を大幅に上昇させることができた考えます。同時に、リンクの歴史的統計の結果を見ると、地球との距離が近い超新星爆発は確かに地球の温暖化を引き起こすことができます。(https://zenodo.org/record/895414)
 国立天文台の過去の論文では、SN1054を大まかな参考にしてほ座超新星爆発の明るさを計算することができました。同論文は同じ考え方を用いて、ほ座超新星が爆発後、夜に肉眼で見える期間が数十年も続いた可能性があると推定しました。
 SN1054が夜に見える期間は1年10か月で、ほ座超新星の明るさ等級はSN1054の64倍でした。実はこの論文の推定値はかなり保守的なもので、大胆に推測して、夜視認可能な期間は100年も続いた可能性があります。そして前の50年間は地球への影響は他の明るい星よりずっと大きく、徐々に暗くなっていくことにつれて、地球への影響も弱くなっていきました。
 これは50年間前後の間に終わったヤンガードリアス期の大事件と、時期的に非常に一致しています。仮にこれがほ座超新星だとしたら、地質学の資料を参考して、ほ座超新星爆発の正確な時間は11560±40年前のはずです。
 まとめて、ヤンガードリアス期に終止符を打ったのはほ座超新星だと考えます。これは今のところまだ推測に過ぎず、この推測を検証したり、信憑性を高めたりするには下記のようなところから着手することができます:
 1、該当する年に地球で起きた「大いなる静謐」を探し出す、つまり該当する年のオーロラサークルを特定し、その範囲内の氷床に1054年のデータより数十倍も強い硝酸塩のピーク値がないかを探すことです。しかし超新星爆発による高い気温で氷ができにくいことを考えて、該当する年の氷床はすべて痕跡が残されているわけではありません。
 2、更に精度の高い電波望遠鏡を使用し、残骸の状況で超新星爆発の時間を計算し直し、この時間は地質学の資料における気温の急激な上昇の時間と一致しているかどうかを比較してみることです。
 3、該当時期の非常に短い期間の中で、地球の大気中の酸素含有量が急激に低下した現象があったかどうかを調査することです。
 もしこの推測を証明することができれば、ほ座超新星は私たちの文明の起源の星になります。
 文明の本質は、周囲のエネルギーをどれだけ利用できるかにあります。文明の限界は生産力の水準によって決められますが、限界を迎える前に様々な要因がその発展を妨害します。農耕を始めたばかりの古代文明にとって、その天井は漢代や唐代のような万里に及ぶ大きな帝国になりますが、最初の一歩しか踏み出していない時点で、わずかな乱れもその文明の発展にブレーキを掛けることができます。
 ヤンガードリアス期の寒さは、農作物をに手を付け始めたばかりの部族の希望の灯火を消し去ろうとしていた時に、この星が自分の死に間際の光で文明の赤ん坊を優しく包み、新生代第四紀の氷河期最後の寒風を払いました。半世紀もわたって明るく輝いたその姿は、農耕部族の文化に深く刻まれました。その後、この星はまたすべて他の超新星のように、静かに星空から消え去っていきました。
 11400年前、滅んでゆくこの星の最期を見届けた2つの部族の賢者あるいはシャーマンがいたかもしれません。この星が冷たかった大地に再び暖かさをもたらし、枯れ果てた野原にまた恵をもたらしたと、この星が千百年来大地を覆う氷河を溶かし、ちょっとだけ辛かった洪水の後に、一握りの飢えた無力な弱小部族を除いてほとんど人がいない新しい世界を与えてくれたと、彼らの4、5世代にわたる祖先を含めて、皆こう信じてきました。だから彼らは、この星に敬意を払わない他の人間は、星の神様が下した洪水によって滅ぼされたと、彼らだけが神様に選ばれた民族で、神の試練に合格したと思いました。だから自分達にはこの神様への信仰を世界に広める責任があると考えました。
 1つの部族は、神様はただ去っただけで、次の終末が訪れる日に必ず戻ってきて再び彼らを救うと思いました。もう1つの部族は、自分たちは神の子として、その教えを自分達が知る世界の果てまで広めなければならないと信じていました。
 だからこの星はこの2つの農耕部族の最高神となり、星に憧れる部族は天空に特別に注意を払います。そして天文学の発展は農業にも貢献します。そのおかげで、農期はより正確に計画でき、収穫も安定しました。これは早期の部族間の争いで大きな優位性をもたらし、それがまた文字や道具、芸術を発展させる余裕と力となり、それを基に都市や神殿、金属精錬の技術も生まれ、「文化」から「文明」への進歩を遂げました。そうして、まるで運命のように、2つの部族から発展してきた文化は四、五千年の発展を経て、シュメール文明と華夏文明という、それぞれ素晴らしい名前を持つようになりました。
 この2つの文明は記憶を受け継ぐことができる文字や芸術を発明した途端に、すぐ自分の最高神を記録することにしました。シュメールは其れを天の神ディンギルと呼び、中国は其れを上帝と呼ぶことにしました。帝、神、天、この3つの文字は周王朝の金文で同じ存在を指しています。
 中国の帝とシュメールのディンギルを比較してみましょう。

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 中国の帝という字はディンギルに非常に似ていると同時に、異なってもいると見ればわかります。次に、帝の字の起源についていくつかの見解を見てみましょう。
 1、萼説:字の形は萼の形に似ていて、豊穣・多産祈念の古代性器崇拝の1種だと見られます。
 2、束木*説:「束木のお焚き上げで天を祭る」、元々は古代の儀式を意味します。
 *束木:束にした薪
 3、星あるいは太陽説:光を放つときの形を取っています。
 4、バビロニア起源説:ディンギルと同じ。これは中國20世紀の政治家・文学者・考古学者・歴史学者の郭沫若氏が提出した見解です。
 もし帝の字の起源が超新星だというのならば、上記の4つの見解を互いに結び付けて考えることができます。ほ座超新星は早期の農業に豊作の年をもたらしたので、豊穣の意味が含まれるようになり、その後は萼説になりました。爆発から甲骨文字が誕生するまで約7千年の月日が流れ、この7千年間、星の姿は口伝え以外、簡単な祭礼も定着してきたため、帝の字は最初の八角星ではなく、八角星の形で束ねて天の神様を祭る薪を基に作られました。バビロニア起源説で字の形が近いことからバビロニア起源だと思われましたが、実際、この形が似ている本当の起源は、人類肉眼の水晶体は縫合部に入った光の回折によって八角星に近い形が見える仕様で作られており、そしてディンギルと帝の起源が同じで、共に例の超新星に繋がっています。故に、帝の起源がディンギルというわけではなく、なぜならば人類がこの星を見た時にまだ文字すら作られていないからだと考えます。
 その後、文明が発展し、青銅器のような生産道具が現れて完璧に改良された後に、農業の収益が益々高まり、古の災難の記憶はただの神話だと思われるようになりました。人類が生きていくのに直面する主な問題は、人と自然の対立から人々の間の対立になってきました。歴史上に該当するのはシュメールの都市国家間で千年にもわたった絶え間のない戦争でした。こんな背景で、尊敬される神は天の神から段々戦いの神、恋の神のような生存闘争に緊密にかかわる神々に移り変わりました。故に、この数千年が経っても文明の赤ん坊に忘れられることがなかった星はやっと、文明が発展し成熟したときに捨てられました。其のシンボルだけは受け継がれ、別の意味に改竄され、伝わりました。星に対する説明、「太陽と月以外に最も明るい星、大地に豊穣をもたらした」のも後の人間に唯一この条件に満たしている金星だと勘違いされ、豊作の意味も金星の女神に代わって取られました。
 だから、中国の統治者は「天子」から「皇帝」になったその時、この文明は既に神が死んだ現実を受け入れたと思います。神が死んだら自分で作ればいい、あの星のような安定と豊かさをもたらすことができれば、新たな帝となり、天命と共にあると。
 シュメールの最も古い部族がどこにいたのか、恐らくもはや追跡不可能になっていると思いますが、中国のこの部族は、一番早く農作物を栽培した歴史に対応するものだと考えられます。そして人類最も古い水稲栽培の標本は湖南省の道県、玉蟾岩の遺跡から見つけられたもので、今から約12000年前の歴史があります。では、この神は中国で文字が出てから見つかった上帝の名前以外、最初にもう1つの名前がありました。この名前は楚の地の伝説にあった天の最高神、東皇太一かもしれません。
 ある意味、玉蟾岩は中華文明の発祥の地です。
 だから中国古代がいう三皇五帝、皇が先にいて次に帝が来ました。
 秦の始皇帝が帝号を決める時に、大臣たちは「古来天皇、地皇、泰皇がいて、泰皇が最も高貴だ」と、帝号を泰皇にすることを勧めました。この泰皇が東皇太一のことを指しています。嬴政は大臣の意見に納得せず、「泰」の字を除いて「皇」を付け、古代の「帝」の位号を採用することを考案し、帝号「皇帝」となりました。もし仮説が正しければ、同じ神に対する2つの呼び名を組み合わせたことになります。
 シュメール文明が滅んでから、セム族の神話はその中の大洪水の内容を参考にして作られました。その後セム族の一派である航海民族フェニキア人はこの物語を地中海文明圏に持ち込みました。更に『聖書』の登場によって、この物語が永遠に忘れられないものとなりました。
 古代エジプトの農業は主にシリウスの観測を用いて、ナイル川水位の上がり下がりの予測に頼っていました。また、エジプトでは暑さが問題になることはありませんでしたので、エジプトで最も重要な星はシリウスでした。エジプトは同じ歴史が古い古代文明にも関わらず、大量の八角星シンボルが現れなかったのはこれが理由だと考えます。
 しかし、この超新星に対応する神様がいたかもしれません。冥界の神オシリス、彼は生前ファラオでした。エジプトではファラオは神の代理人であり、その化身でもありました。オシリスは自分の弟セトに殺されてからアヌビスによってミイラ化されて復活し、エジプト神話の冥界の神となり、同時に植物、農業、豊穣の神でもありました。冥界の神と豊穣の神が同じ神だというのは一般的にあり得ないことですが、オシリスは大地の神ゲブと天空の神ヌトの子供で、冥界の神といえどエジプト人が信じている死後の栄光を具現です。エジプト人の先祖も恐らく神が死んだとわかっていましたが、復活すると確信しており、そのために神の欠片たちを集めてミイラにして復活するのだと考えていたかもしれません。だから、エジプト人は自分をミイラにする理由は、冥界の神オシリスと同じように復活したいからで、エジプトの死にまつわる文化も、彼らの祖先が超新星の「死」に対する独特の理解に基づいたものだという可能性が考えられます。
 他のヤンガードリアスイベントに影響された地域もこの星を特別に注目していましたが、農耕文明ではない場合、この星も特に尊く扱われることもないでしょう。北欧神話に光の神バルドルがいて、登場してすぐ死んだ短命な神です。彼はヤドリギに殺されました。ヤドリギは常緑の多年生植物で、西洋で生命力の代表であり、寄生の度合いがひどい宿主はすぐに死んでしまいます。では、バルドルはヤドリギに殺されたのは北欧神話が発祥するときに、古代人がその死因に対する推測の1種ではないかと考えられます。短命な光の神、その生命力は植物に吸収されました。北欧神話が文字にされた時期が遅めでしたが、神話が誕生したときにバルドルの原型がほ座超新星だという可能性があり、超新星が暗くなって、温度の上昇により、多くのヤドリギが元々朽ち果てた森に現れ、そのために彼らはヤドリギが木の命を奪ったように星の命を奪ったと考えた可能性があります。だからヤドリギはバルドルを殺しました。そしてバルドルの死はラグナロクを引き起こし、ラグナロクの中にあった1つ大きな災難が大洪水でした。
 故に、中国神話の大洪水、シュメール神話の大洪水、聖書の大洪水と北欧神話の大洪水、その本質はすべてヤンガードリアス期が終わった際に、北半球の氷河が大量に溶けた原因で引き起こされた世界的な大洪水だと考えます。
 また、ギリシア神話で非常に特殊な物語、ヘーリオスの息子パエトーンの死の物語があります。ヘーリオスはギリシア神話最初の太陽神で、アポロンは元々芸術の神だったと思われています。だからへ―リオスが太陽神として登場する物語ならば、ギリシア神話の中で比較的に早い時期にできた物語のはずです。パエトーンはギリシャ語で「明るく燃える」意味で、伝説によれば彼は父の安易な約束で、自分が制御できない4頭の翼ある天馬が引く太陽の馬車を天空で走らせたら、灼熱で大地がひび割れ、農地も砂漠と化しました。ゼウスは稲妻でこの茶番劇を終わらせ、パエトーンは空からぐるっとエーリダノス川に落ちて死にました。彼の母と姉妹たちはこのことで4か月も泣いていました。
 4頭の翼ある天馬が引く太陽の馬車が天空で暴れていることは、太陽と同じように明るい星が天球上を移動していて、そして4本の光が見えると解釈できます。これは中国の八角星紋に似ています。この星は、もたらした熱量が原因で農地を砂漠に変えてしまいました。パエトーンが死後、女神たちは彼のために4か月も泣き、神の涙は洪水と理解してもいいでしょう。ギリシアの所在地は元より氷河の影響が少ない地域で、この洪水の被害はそれほどひどくはありませんでした。後世のギリシア神話に登場するシュメール神話に類似する大洪水はシュメール神話から取り入れていると考えます。パエトーンの神話は、この星が死んだときの物語を語っていたかもしれません。そして神話にあった大地が焼かれた描写は、ほ座超新星が地球温度の上昇を引き起こした間接的な証拠だという可能性があります。

 旧石器時代から新石器時代まで、人類は300万年がかかりました。この300万年の中で、人間が使う道具は停滞しています。しかし新石器時代から現代になるまでは1万年しかかかっていません。人類は石器時代から情報化の時代まで発展してきました。約11400年前、ほ座超新星の最初の光子が、星空を見上げる人たちの瞳孔を通過し、彼らの頭の中にあの八角星が写し出された後に、彼らの道具と知識はあんなにも原始的で、彼らの建築はあんなにも粗末にもかかわらず、この種族の心の中に星空への畏敬と宇宙への探求心が生まれたら、文明の急速な発展はもうとどまることを知らないでしょう。
 だから公平のために、ここで、その権能にとって代わった金星の名前の1つを、このとっくの昔に暗くなった星に返したいと思います。この星こそが明けの明星、偉大な文明の幕を開いた星です。其は死んだときの暖かさが北半球のあらゆる所にあった氷河を溶かし、氷河の雪解け水から、人類文明が芽生えたのです。
 星の残骸は、800光年以外の星空に静かに広がっていき、1万年後、私たちがようやく新しい「目」で星が滅んだ時に残された廃墟を見つけた時に、人類文明への贈り物をもう一度思い出すことになったでしょう。
 これが、宇宙バージョンの「私のこと、忘れちゃだめよ」。

 最後に、テレジアが書いたケルシー宛の手紙に戻りましょう:

You said the stars beyond skyveil are arks sailing through the stellar lane…
你説星星和我們脚下的一樣,都是天軌上漂行的舟筏......
あの星々は、私達の足元に広がる大地と同じように、空の軌道を進むであると…

 星々と大地は筏であると。ならば『アークナイツ』についての解釈も2つに分かれるのではないでしょうか。
 私たちの足元の大地は、日食を迎える日の救いの箱舟で、
 私たちの頭上の星々は、文明が芽生えた日の助けの箱舟だと。

六、古びた羊皮紙の巻物:絡み合う時空の迷宮

「我々の悲しい推測が現実となったのだ。」

 前に触れたアカフユと天文学の関係ですが、アカフユの誕生日が蟹座と無関係のことからかに星雲と関係しているのではないかとポイントを搾りました。面白いことに、彼女の誕生日はかに星雲にもSN1054にもつながりが見つかりません。前回の考察で、今までの5つの限定ガチャとピックアップ対象の2人の★6オペレーターの関係性について触れましたが、同時に実装された★5オペレーターにも何かしらのイースターエッグがあるのではないでしょうか。
 前回の考察で触れたように、ウンの誕生日7月1日は特殊な意味があります。では、アカフユの誕生日も同じ何かしらのヒントがあると推測します。今までの他の考察から、多くのオペレーターの誕生日は有名人の誕生日、あるいはなくなった日に対応しているとわかりますが、この考え方に沿って調べてみたらやっとアカフユの誕生日の本当の意味を見つけました。

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[幻海航行]世界のSF名作『ソラリスの陽のもとに』
https://www.bilibili.com/video/BV17t411a7sg

 『ソラリスの陽のもとに』は、不可思議な海で覆われた惑星ソラリスを舞台にしたストーリーです。あらすじを調べれてみれば、ソラリスの海とテラの海の類似性がわかると思います。だから、限定ガチャの★5オペレーターの誕生日は恐らくすべて、ストーリーの設定と強く関連する作品に対応していると推測します。
 簡単に情報収集して、下記の作品たちを見つけました。

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 『ユリシーズ』の小説は時系列順に、主人公であるダブリン市民、冴えない中年の広告取りレオポルド・ブルームが1904年6月16日に過ごしたダブリンの一日を多種多様な文体を使って詳細に記録し、フィクションで現実を反映しました。小説のタイトルはギリシア神話のオデュッセウスが由来で、『ユリシーズ』の物語の構成も『オデュッセイア』に対応しています。ジョイスはダブリンでブルームのたった一日の出来事を、オデュッセウスの20年にわたる旅路に喩え、一方でホメロスは『オデュッセイア』でオデュッセウスの20年の経歴を倒叙形式で家に着く前の40日ほどの間に詰めました。

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 『百年の孤独』は決められた結末で始まる物語です。「この一族の最初の者は樹につながれ、最後の者は蟻の貪るところとなる。」ストーリーの最後、叔母にして妻である者と豚のしっぽを持つ赤ん坊を失くし、アウレリャノ・ブエンディアは上記の言葉をヒントに、ついに残された老ジプシーのメルキアデスの羊皮紙を解読できましたが、ブエンディア一族の百年の歴史の中で最も些細な日常でさえ予め記録されていたと気づきました。そしてアウレリャノ・ブエンディアは自分が迎えた最後の運命を見た途端に、「マコンド」、この蜃気楼のような町は暴風によってなぎ倒され廃墟となり、人々の記憶から抹消されました。

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 『煌めく命』の中で、劉洋は好きな子雷氷に告白する勇気がなく、卒業前夜、うっかりして実験設備で自分をコピーしてしまいました。このコピーは30分しか生きられない運命です。だから彼はこの30分しかないすべての時間を使って愛する者に告白して、消えてなくなりました。

 コピーが微笑んで、「短くはありませんよ。定めた運命ですから。生まれてくるべきではありませんでしたし、この30分があるだけでありがたいものです。それにね、仮にあなたが100年も生きられたって、それは長いというのですか。」彼は振り返って、「もう行きますね。時間が惜しいですから。」と言って去った。

 上記の作品は恐らくゲームの設定の参考になるものかと考えます。上記の結論とこの5つの作品から、アーミヤのモチーフと結末も推測できてしまうのではないかと思い、私個人の答えを文章のどこかに残しました。

【訳者の後書き】

作者の考察の続き:

アナ、夕娥とサルゴン——プリースティス原型の考察(*リンクは中国語)
現実世界の歴史におけるプリースティスの原型を考察しました。

https://mew.fun/Agilulfo/thoughts/75460615003127808

 リアルの都合により、作者様の続きに関して今のところ翻訳する予定はありません。
 今までアークナイツ大陸版考察の翻訳を読んでいただきまして誠にありがとうございました。
 考察は誰かが示した可能性、人によって合う合わないのもあると思いますが、ほんの少しでも楽しんでいただけたら嬉しいと思います。

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