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【アークナイツ世界観考察】Gの研究日記-テラ地図の掘り下げ解析(大陸考察の和訳)

【翻訳転載許可エビデンス】

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ビリビリ:https://www.bilibili.com/video/BV1T54y1r7ku?from=search&seid=5198501772610341914
作者様ID:GalladeC
所属考察チーム:瓦莱塔学会
公開日:2020-10-29(8章実装前)

【ネタバレの有無】

 ストーリーネタバレはなしですが、マリア・ニアールのイベントストーリーで登場したキャラクターイラスト、ジャングルの夏イベのキャラクターの出身地からの考察があるため、イラストバレはちょっとの方には、マリアニアールのイベントが実装された後に閲覧することを推奨します

【訳者の前書き】

 G様からビデオでご使用の図、イラストや台本まで頂いて手厚いフォロー、誠にありがとうございます。いつも考察チームの皆様の成果を拝見させていただいて、この気持ちを誰かとシェアできればなと、ツイッターで魯迅頭さんと話したら翻訳転載の許可を取って頂きまして、おかげさまで思いが叶えて深謝します...。

 中国語からの翻訳のため、いくつかの注意事項を書かせていただきます:
 -原作者の注釈と訳した私の注釈を区別するために、私からの注釈は「*」マークを使用します。
 -できるだけ避けたいと思いますが、日本版のイベントストーリーが実装される前に翻訳作業をしていたため、正式版の訳と異なることがあります。
 -原作者の方の観点をなるべく忠実に再現する努力を最大限にしましたが、中国史の素人なので、術語の使用や表現は間違っている可能性があります。表現の違いについてご指摘いただければ修正します。
 -もしご感想などいただければ、中国語に訳して原作者の方に伝えたいと思いますので、お手数ですがNoteのコメント、TwitterDM、あるいは私のマシュマロに送って頂ければ幸いです。
 マシュマロ→https://marshmallow-qa.com/el_prv

【ビデオ翻訳】

 Hello皆様こんにちは。Gです。
 ついこの間、公式がテラの世界地図を正式的に公表しましたので、この地図を基に、今までの都市と地域についての考察を少し更新させていただきす。

「概観」

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*出典:https://bbs.nga.cn/read.php?tid=23891600&forder_by=postdatedesc&rand=759

 今回は主に炎、カジミエーシュ、イェラグとサルゴン、この4つの地域、及びその背後に、公式が各地域を作り上げる際の基準と考え方について触れていきたいと思います。では早速始めましょう。

「炎国」

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 まずは中国人の皆様に一番馴染み深い炎から話したいと思います。炎は中華の大地を指していることは言うまでもありませんが、炎の領土の形は、私たちが知っている中国と大きく異なっています。このヒントに従って、炎の領土は中国の歴史上、いずれかの時期の地図を参考にしたと容易に推測できます。

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 地図の北西方角にご注目ください。尖ったところがありますよね。ここが河西回廊*あたりのはずです。

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*河西回廊:チベット高原北西端に接する細長い形の地域・交通路の呼称で、シルクロードの東端だそうです。黄河の西にあるため「河西」、細長い道のため「回廊」というのが名前の由来で、秦、漢の時代から軍事目的で作られ、盛唐時代に商業目的で盛んだと言われています。(上記はWikipedia「河西回廊」を参考に編集しました)

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*.分かりやすくするために地図を入れさせていただきます。
出典:河西回廊の地図(http://home.h00.itscom.net/yohkawa/lansks01.html)

 地図おおよその形と河西回廊というヒントを把握したおかげで、すぐに西漢時代(*BC206年~BC202年)と唐の貞観初年(*AC627年,太宗の治世)の地図に辿り着けました。

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贞观元年地图 (2)

 同時に、漢と唐という2つの時代の地図には、北東方角の領土状況がやや異なっています。西漢の時代に、遼東半島*と朝鮮半島の一部は中国に制御されていますが、貞観初期になると、遼東半島は中国の勢力圏から外されています。
*現遼寧省の南部に位置する中国第二の大きさの半島で、大連などの都市がある。(出典:Wikipedia「遼東半島」)

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 炎の地図の北東方角、国境線の相対位置を比較してみると、貞観時代の領土範囲とより近い、つまり遼東半島が領土になってない場合の形をしています。昔、国家機関とダイバシティの人口構造を切り口にして炎が唐を参考したと既に考察したため、具体的な話はくどくど言いません。興味ある方は下記のビデオをご参照ください*。

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*もちろん中国語です。
第16回:
https://www.bilibili.com/video/BV1m54y1y7z8?from=search&seid=11282534344094924950
第6回:
https://www.bilibili.com/video/BV1q7411P7D4?from=search&seid=12545838286217026043


 これで、領土が一致している時代を貞観初年まで特定することができました。

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 肝心な問題は、なぜ龍門を河西回廊のポジションに置いたのでしょうか。

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 龍門のモチーフについて、いつも香港なのか上海なのかの議論に集中しています。

龙门粗口

 香港が取り上げられた理由は80年代のマフィア映画の基調と似ており、加えてチェンさんたちが喋ってる広東語もそうですから。

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 上海が取り上げられた理由は、ゲーム内のCGは上海の浦東とよく似っているからです。香港、上海、河西回廊を並べてみると、三者間にはとある共通点があります。

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 この三者とも、中国対外貿易の中心的な地域である、あるいはそうであったところです。

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 上海と香港は言うまでもありません。唐が統一した後に、河西回廊とシルクロードを再開させ、おかげさまで河西回廊は当時の対外貿易の中心になりました。行商人による国境を跨るビジネスが盛んでおり、経済も発達して、極めて繁栄していた時期でした。

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 シルクロードの話に触れたので、余談ですが、龍門の位置から西へと続く一本のラインがあります。ポジションとルートから見て、一旦これをテラ世界のシルクロードとしましょう。

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(*シルクロードの地図)

 これまでの情報を踏まえて考えれば、公式が地図の設定を作る時の考え方が分かってきます:地理は古代の領土情報を参考し、文化は何かしらメインとなる特徴と似ていることを基準に、現代都市の要素も入れて融合させる――この点についてはまた後程紹介しますので、炎の続きを話しましょう。

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 炎の地図では、龍門を含めて計9箇所がマークされています。

贞观元年地图

 唐の地図での相対位置を基準に、この9箇所は現実のどのあたりにあるのか、おおよその地理的位置を判断しました:

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 龍門の位置は沙州あたり、政庁は敦煌にあり、中国の皆様がよく知っている玉門関も陽関も沙州の管轄です。

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 ロンメン右側のエリア1、2はそれぞれ粛州と甘州のはずです。この2つの地域は、沙州と共に河西回廊の防衛圏を構成し、北西に向かう途中の軍事上重要な都市でした。同時に、中原(*中華文化の発祥地である黄河中下流域にある平原のこと。出典:Wikipedia「中原」)と遊牧民は政治、経済、軍事の面において最も激しく奪い合った地域でした。

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*長安の別称。複都制において「東方にある都」(東都)である洛陽と並び称される。(出典:Wikipedia「西都」)

 東側のエリア3は西京長安のはずです。長安について皆様も分かるはずで、唐の政治経済文化の中心です。

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 更に東に行くエリア4は、東都洛陽のはずです。洛陽は長安に次ぐ最も重要な都市でした。武則天が政権を握っていた時、都を洛陽に変えた時期もありました。大多数の王朝が複都制、加えて唐の安史の乱*までに、国家の矛盾は大抵東と西の矛盾で、炎のこの地域構造からも東西の矛盾が見えるため、エリア3とエリア4が長安と洛陽と推測します。

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*斉も魯も、古代中国の周、春秋・戦国時代に渡って存在していた諸侯国であった。場所的に言えば現在の山東省あたり。

 最も東側にあるエリア5は、青州のはずです。儒教思想の発祥地で、渤海に近く、漁業と製塩業に恵まれています。鉄鉱石の産地でもあり、製塩と鉄鉱石は国家財政にとっての、非常に重要な収入源です。

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*①中国の漢、唐の時代に、辺境警備・周辺諸民族当地などのために置かれた軍事機関。(出典:Wikipedia「都護府」)
*②現在の京杭大運河。中国の北京から杭州までを結ぶ、総延長2500キロの大運河であり、戦国時代から開削し始め、完成したのは隋王朝の610年。(出典:Wikipedia「京杭大運河」)
*③古代中国において石碑や断崖に刻まれた経典。房山石経は北京市房山区にあり、千年余にわたって写経が継続して行われた。(出典:Wikipedia「石経」の内容を基に編集を加えた。)

 最北端のエリア6は幽州のはずです。北方地域の水路の中心で、高麗征伐にも、奚と契丹の侵略を食い止めるにも幽州の役割は欠かせません。

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 南のエリア7は襄州のはずで、襄州で最も有名なのは襄陽です。襄陽は交通の要衝でありながら軍事上重要な地域でもあり、中華圏で有名な武俠小説『射鵰英雄伝』の登場人物、郭靖が小説で襄陽を死守していたところ、中国の皆様はまだ覚えてますよね。

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 最後、南西方角の益州ですが、成都について皆様はよく知っているはずなので、説明するまでもないと思います。天府の国、孔明先生がもう十分明白に説明してくれたと思います(*図に入ってるスクショは中国のテレビドラマ『三国志演義』で、孔明先生が『隆中策』について説明してるシーンで、中に益州(蜀)の情勢について詳しく説明しました)。

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 最後の最後に、炎の地図の全体を見てマークしてみましょう。沙州、粛州、甘州、青州、幽州、襄州、益州、西京長安、東都洛陽。すべてが軍事上重要な都市か政治経済の中心となる都市です。

扬州

 1つ違和感を覚えたのは、揚州がまだ直接に地図に出てないところです。実際、唐王朝の時代に、揚州は既に相当発達しているはずです。この点について、炎の国章マークのところは揚州の可能性が高く、遮られてしまったのではないかと考えます。勿論、ハイパーグリフ(*アークナイツの製作・運営会社)がまた揚州を他の地域と融合した可能性もあります。

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  炎についての推測は概ね以上です。私の友人、Caveiraさんが理論的根拠を提供してくれて、サポート誠にありがとうございました。

 続いて残りのいくつかの地域について話したいと思います。

「カジミエーシュ」

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 イベントが終わったばかりのカジミエーシュから始めましょう。昔の考察で触れたように、ポーランドがモチーフだと説明しました。

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 カジミエーシュの名前のスペリング「Kazimierz」はポーランドでよく見かける名前で、例えばポーランドの歴史でまあまあ有名なカジミエーシュ三世。

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 しかし、ブレミシャインのイベントで登場した老騎士フォーゲルヴァイデは、髪型も衣装も、身につけている湾刀も、アーチェリーと馬術といったスキルも、すべてのヒントがモンゴルや突厥を代表とする北方馬上民族のことを語っています。
 前文で、公式が各地域のモチーフを考案する際の基本的な考え方について触れましたよね。では、ポーランドとモンゴルなどの遊牧民族との共通点を考えてみましょう。

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 既にお察しの方もいらっしゃると思いますが、共通点は軍隊が基本、騎士と騎兵を主体としているところです。モンゴルは騎兵による馬上戦に長けていることが周知の事実。

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 天の寵児と呼ばれるチンギス・カンは、強大な騎兵隊で広い領土を手に入れました。

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 一方で、ポーランドにも有名な有翼重騎兵――フサリアがあり、歴史上、著しい戦果をあげました。

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 故に、以下のように推測できるでしょう。カジミエーシュが事実上、騎兵という体制が存在している、あるいは馬上文化がある地域をモチーフにして作られました。同時に、彼らには馬上民族特有のプライドと栄誉に対する憧れも抱いてます。

 デザインチームのこの考え方は、他の地域を考察した時にも現れています。例えばイェラグとサルゴン。

「サルゴン」

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 まずはサルゴンについて話しましょう。ビーズワクスとユーネクテスの出身地であることから、少なくともエジプト文明と中南米文明の要素が確認できてます。

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 加えて、「サルゴン」の名前の由来はサルゴン王が代表するメソポタミア文明です。これらの要素から、同じ文化的共通点を見つけることができます。

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 比較的に原始的な未開の地。神秘的、エキゾチック、古き神話がある。

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 よって、サルゴンは、祭司文化とご当地神話の比率が高く占めている古代文明がモチーフのはずです。

「イェラグ」

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 同様に、イェラグはいくつかの雪山と高原地帯の特徴を融合しました。現実のイェラグ山はノルウェーにありますが、マッターホルンが使っている武器、ククリはネパールのものです。

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 同時に、イェラグ山はヨーロッパに近いです。

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 同じ考え方に従って、ゲーム内のイェラグは一部北欧の雪山とヒマラヤ山脈あたりの地域を融合した産物のはずです。

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 最後に、もう一度この地図の全貌を見てみましょう。

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 全体的に、公式が言いたいのは、テラの大陸が大陸漂移前のパンゲア大陸であることのようですが、各大陸プレートの相対位置から見れば、ゲーム内と大きな差が存在してます。

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 個人的な理解ですが、公式は現代地図における大陸プレートを変形させて、それを基に擬似パンゲア大陸を作ったのではないかと考えます。

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 ケーちゃんが世界一周したようにあんなに遠回りして、リターニアでロドスのオペレーターに会ったことも、ある程度説明がつくと思います。

「大陸」

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 地図で示された部分以外には、広い未探索地域があります。これこそがAUSが言っていた本物の海だと、どうしても思ってしまいます。
 ついでに妄想を語らせていただきますと、ハイパーグリフいつものこの地域がっちゃんこの習慣に従って、世界各地の海の妖や怪獣たちが同じように融合された可能性もなくはないと推測していいですよね?

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 クトゥルフと海の怪物セイレーン(*ギリシャ神話)だけではなく、これから北欧の大海蛇クラーケン、聖書由来のリヴァイアサンを目にする機会もあるかもしれません。

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 今回触れてない地域は、基本まだストーリーがない、あるいはプロファイルの中でもあまり出てないためで、昔の考察のままにしておきます。具体的な話は都市編の考察ビデオをご参照ください。

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梵蒂冈

ラテラーノ:バチカン

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ボリバル:一部南米地域(スペインの植民地)

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クルビア:北米

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レム・ビリトン:オーストラリア(イギリス植民地時代)

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シエスタ:ハワイ

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ウルサス:ロシア帝国(末期)

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シラクーザ:イタリア

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ヴィクトリア:大英帝国(フランスが併合された可能性もあります)

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リターニア:ヨーロッパ中部地域(ドイツ、オーストリア、ハンガリー)

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極東:日本

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イベリア:イベリア半島(スペイン、ポルトガルなど)

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ミノス:古代ギリシア都市

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サーミ:北欧サーミ人の活動範囲

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カズデル:聖市エルサレムの疑い

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 ここまで見ていただきました誠にありがとうございました。

ご協力頂いた方に感謝いたします:
Caveira,EDTA

関連ビデオのビリビリコード:
唐の行政、司法機関:BV1q7411P7D4
人口構造:BV1m54y1y7z8
都市考察第一回:BV1yJ411k7qU
都市考察第二回:BV1nJ41187Ns

【訳者の後書き】

 情報量が膨大過ぎて調べながら訳してたら頭がバグって日本語もおかしくなってきていそうなので、誤字脱字や表現の回りくどさなど、ご指摘があれば有難く修正いたします。
 2077年から戻ったら自分でももう一回読み直して修正する予定です...。
 シキネさんが仰ってたように、このような形でアークナイツ考察界隈に、色々新しい切り口と視点をもたらすことができたら嬉しいです。

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