ボードゲーム新作情報いろいろ
海外ボードゲームレビューの大御所、Dice Towerの夏企画の一環として、各社からの新作紹介動画の内容が充実していたので覚書。各社の新作発表も、昔はEssen Spielに集中していたのが、GenCon合わせのアナウンスが増えたり、こうしたYouTube経由での発表が増えたりと、多様になってきたな、という印象です。本編動画はこちら。
1時間半ありますが、各社ごとに区切ってあるので目当てのところだけ見るのも簡単なのでお勧め。デザイナーが直接紹介してくれるのが見れたりするのもちょっと楽しいですね。
Osprey Games
『Undaunted/アンドーンテッド』の新作Battle of Britainが発表。2023年春リリース。1940年夏の英独空戦が舞台。空戦がフィーチャーされるのはシリーズ初?
Arcane Wonders
『Dice Manor』『Leylines』は開発進行中。
設立10周年を記念してロゴが新しくなったのが新情報かな。最近だと『Foundations of Rome』が印象に残りますが、ヨーロッパ圏の良作(『Furnace』とか。『Mortum』も英語版もう出てたんですね)をいくつも北米でリリースしていて、日本からはわかりにくい活躍をしている印象。
Horrible Guild
既に発表されているゲームとして、Hjalmar Hachの『Evergreen』(2022Q4)とHjalmar Hach & Lorenzo Silvaの『The Queen's Dilemma』(年内KickStarterキャンペーン開始)。
『Evergreen』は見た目といいテーマといい同デザイナーの『Photosynthesis』(2017)を思い起こさせますが、内容的にはどうなるか。
https://horribleguild.com/product/evergreen/
『The Queen's Dilemma』はもちろん『The King's Dilemma/キングスジレンマ』(2019)の続編。前作の100年後ということになるのでしょうか?内憂外患に苦しむ王国の地方領主となって国の行く末を動かしていくゲームになりそうです。前作に続いて日本語版出て欲しいなあ……
そして完全新作として発表されたのが同じくHjalmar Hach & Lorenzo Silvaの『The Great Split』。2-7人、45分という軽中量級のドラフト亜種。隣のプレイヤーとの間でI split, you choose(2つに分けて相手にどちらを取るか選ばせる)を連鎖させるというありそうでなかったシステム。宝石や美術品を集めるセットコレクション系でテーマ性は薄そうだが、二重レイヤーのボードと、Weberson Santiagoのアートワークはそれを補って余りある雰囲気を醸し出している。今回のアナウンスの中でも個人的にはかなり期待の一作。4人以上になると7 wondersよりも更に対面のプレイヤーとのインタラクションが無くなりそうなのはちょっと気になるところ。
Pencil First Games
『Herbaceous/ハーベイシャス』のポケット版に続いて『Sunset over Water』のポケット版(プレオーダー受付中)と『Floriferous/フロリフェラス』のポケット版(2023年リリース予定)が発表。元ゲームと基本的にはまったく同じで、箱サイズが半分以下まで小型化しているところが特徴。内容が変わらずコンパクトになるならありがたいですね。Dr. FinnもBibliosの後やや影が薄かった気がしますが、Pencil First Gamesから出しているゲームはなかなか好評のようで良い形で開発が動いているのかな、と思います。
Forbidden Games
昨年KickStarterでキャンペーンを行っていたCiv系ゲーム『Mosaic: A Story of Civilization』がこの夏~秋にリリース。9月には拡張『Mosaic: Wars & Disasters』のKickStarterキャンペーンが開始予定。元ゲームをちゃんとチェックしていないのでなんとも言えないのですが、BGGのレーティングイマイチなのでちょっと心配です。
Unexpected Games
FFGで長年働いていたCorey Konieczkaが2019年に立ち上げたUnexpected Gamesは、『Voice in my head/開廷!脳内裁判』や『Initiative/ザ・イニシアティブ』と独特のゲームを立て続けに出していますが、新作は『3000 Scoudrels』。時間旅行者によって未来の技術が持ち込まれた西部開拓時代を舞台に、特徴と職業の組み合わせで生成される無法者たちを率いて争うという、内容だけでワクワクするゲームです。7か国語でこの秋リリース予定、ということで前2作に続いてホビージャパンから日本語版が出ることを期待しております……個人的には今回の新作情報の中では一番楽しみ!アメコミ調のアートワークも素敵。
Pegasus Spiele
Kramer & Kieslingの『Savannah Park/サバンナパーク』(2021)の続編『Caldera Park』が年内発売。前作が8歳以上で今作が10歳以上なので、ちょっと複雑になっているのでしょうか。
Ulrich Blum & Jens Merklの『Spaceship Unity』が年内発売予定。宇宙船のクルーとして5つのストーリーからなるキャンペーンを遊ぶ……ようなのだけど、ファミリー向けで、家の中にあるものを使って遊ぶみたいな感じ?よくわからないけれどコアゲーマー向けではなさそうな。
Dan and Cora
協力型ダンジョン探索ボードゲーム『CoraQuest』の拡張『CoraQuest: Keep on Questing』が発表……すいません、私よく知らないので興味がある方はご自身で調べていただければ。
Portal Games
バットマンをテーマにしたDetective系の推理ゲーム『Everybody Lies』、活版印刷をテーマにした『Gutenberg』の英語版(北米でのメジャーリリースになるのかな?)、『Brazil/ブラジル帝国』の英語版(GenConで先行発売、北米の一般流通は今秋)、までは既報の確認。
Łukasz M. Pogodaの2人用タイル配置ゲーム『Basilica』(2010, Rebel)の新版がこの秋発売。Portal GamesのIgnacy Trzewiczekが、2010年時点で「このゲームを50回以上プレイテストしてすごく気に入ったけど、Portal Gamesから出すことは止めたんだ」「Poral GamesはポーランドのFFGでアメリトラッシュゲームを出す会社だ。Basilicaはアメリトラッシュではなくてユーロゲームなんだ」「なのでRebelを紹介した。Portal Gamesのスタイルではないけれど、良いゲーム」と書いていて面白かった。12年の時を経て、新版がPortal Gamesから出ることになるとはねえ。感慨深い。Portal Gamesのカラーもだいぶ変わりましたしね。
https://portalgames.pl/en/new-revised-edition-of-basilica-by-portal-games/
Granna
新人デザイナーMichał Gryńの『Space Craft』がエッセンで発売。ガラクタから宇宙船を組み立てるゲーム。コンポーネントが魅力的。
Matagot
Marc Paquienの『Peter Pan』。協力型の推理ゲーム。同作者の『Treasure Island』(2018)の系列のゲームに見える。アートワークもテーマも良いし、『Treasure Island』の発展形だとすると楽しみな作品。
Smirk & Dagger Games
新人デザイナーJames Firnhaberの『Tesseract』が2023年リリース予定。10月にKickStarterキャンペーン開始。Tesseractは正八胞体のことなんですね。協力型3次元パズルといった感じ。見た感じは新鮮で面白そう。
Gale force nine
シャーロック・ホームズの妹エノーラ・ホームズを主役にした(小説の)映像化作品を原作とした『Enola Holmes: Finder of Lost Souls』。ファミリー向け1対多型の推理ゲーム。IPものはどうも警戒してしまうのだけど、ロンドンの地図が出てくるだけで評価が甘くなってしまう……
Plaid Hat Games
ネズミたちがカッコー時計の上を走り回って様々な小物を集める『Hickory Dickory』が2022Q4発売予定。回る時計の分針の上にネズミミープルを配置する“ワーカーローテーションゲーム”という謳い文句はさておき、ネズミミープルもコンポーネントも抜群に可愛くて魅力的。
Grey Fox Games
Hassan Lopezの『Prophet of Doom』は限定的な予言能力を持つ宗教指導者になって世界の終わりに備えるゲーム……?テーマ的に扱いづらい気が。2023Q1リリース予定。
『Reavers of Midgard』(2019)の拡張のクラウドファンディングが年内開始予定。
Nauvoo Games
『Stockpile』(2015)、『The Reckoner』(2018)のBrett Sobol & Seth Van Ordenによるロボット発明ゲーム『Raising Robots』が2023年発売予定。ファミリー向けのアートワークだが14歳以上なので見た目より歯ごたえがあるのかも?
Rebel Studio
『Meadow/メドウ』の拡張『Meadow: Downstream』は水辺の動物に焦点を当てた第一拡張で、これは既に発表されていたもの。第二拡張『Meadow Adventure Book』はレガシー的なキャンペーンモードでシナリオごとにルールが変化するようで、これは今回はじめて発表されたものだと思う。これはすごく楽しみですね!プロトタイプの画像すらでていないので鋭意作成中、というところでしょうか。
『Chronicle of Avel』(2011)の拡張『Chronicles of Avel: New Adventures』も発表されましたが(シナリオ3本収録)、私このゲームよく知らないので……コンポーネントとギミックは楽しそう。同じ世界を舞台にした『Avel the Card Game』も発表されましたが、これもまだ開発中のようですね。
Rock Manor Games
Mike Gnade & Todd Walshの『Set A Watch』(2019)の拡張『Set A Watch: Forsaken Isles』が発表。更にリプレイ可能なキャンペーン『Doomed Run』も出るようですが、こちらも私よく知らないんですよね……
The City of Games
『The Isle of Cats/アイル・オブ・キャッツ』(2019)で助けきれなかったネコたちはどうなったの?という声に応えて、島に取り残されたネコたちを助ける最後のチャンスが『Race to the Raft』(2023)になるようです。デザイナーはThe Isle of Catsと同じくFrank West。1-4人の協力型ソーシャルパズルということで、内容はまだよくわからないのですが、ネコを助けるゲームが悪いわけないですよね。
WizKids
Z-manから2011年にリリースされたIan Cooperの『Ascending Empires』の新版『Ascending Empires: Zenith Edition』がリリース。宇宙を舞台にしたSF-4Xゲーム。宇宙船を指で弾いて移動するのが特徴でした。Z-man版はゲームボードの品質に問題があったようで、新版ではポリプロピレンのマットになるようです。都市などのトークンもプラ製になってコンポーネントは改善。ルール部分もモジュール化して昔のルールでも新しいルールでも遊べるようになるとか。デクスタリティ要素があるところが独特ですが、90分以下で遊べる4Xゲーム、というのもなかなかないですよね。
CMON
Rob Daviauデザインで『Stranger Things』のボードゲームが2023年に登場!協力型、という以上のことは不明。
Direwolf
『Dune: Imperium』の新拡張『Dune: Imperium IMMORTALITY』が登場。研究方面が拡張される模様。2022年末、予価$30。
CGE
『Alchemsits/アルケミスト』(2014)のMatúš Kotryの新作『Deal with the Devil』が登場。中世ヨーロッパ風の世界を舞台にした4人専用の非対称・正体隠匿系のゲーム。プレイヤーの一人はタイトル通りに悪魔になるというのが面白い。プレイヤー間で秘密裏に取引をして資源を集めて建築やイベントを介して名声を獲得していくだが、この際に“魂”を取引の材料にすることができるというのがなんとも面白い。悪魔はいつだって富と名声を約束してくれるのだ。魂と引き換えに……エッセンリリース予定。
感想
個人的な注目は『3000 Scoudrels』と『The Great Split』。次点で『Meadow Adventure Book』(まだリリースは先かな)と『Deal with the Devil』(120分というプレイ時間と4人専用という縛りがネックだが、是非遊んでみたい)。皆さんはどのゲームが気になりますか?
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