ゲームデザイナーインタビュー、と書きましたがゲームデザインについて聞いたわけではありません。ちょっとメールで話す機会があったので、ついでにクラウドファンディングについての意見を聞いてみたのでご紹介します。JameyはStonemaier Gamesの共同設立者でゲームデザイナーです。これまでにKickStarterでViticulture, Euphoria, Tuscany(Viticultureの拡張セット)のプロジェクトを展開し、どれも成功を収めています(これ以外にもボードゲーム用のアクセサリーセットのプロジェクトもありますが、とりあえずここでは触れません)。集まった額はViticultureこそ約$66kですが(それでも十分な成功ですけれど)、Euphoriaは$300k超、Tuscanyでは$450k超の額を集めています。ゲーム自体もスタンダードなユーロゲームで、歴史に残る名作、とまではいかないかもしれませんが、標準的な中量級ユーロゲームの質はクリアしている佳作だと思います。その上でコンポーネントの質にこだわったり、積極的に出資者とコミュニケーションしたり、と精力的に活動を続けています。極めて個人的な見解ですが、Jameyはアナログゲームに限って言えば、KickStarterで現在最も成功したインディーデザイナーの1人であると思います。集めた額面だけで言えばこれ以上のプロジェクトもありますが、そのほとんどがミニチュアに焦点をおいたものですし、いわゆるユーロゲームで考えた場合、Jameyの実績は特に優れていると言って良いのではないでしょうか。
彼自身のKickStarter(を中心としたクラウドファンディング)についての考えは、ブログ(http://stonemaiergames.com/category/kickstarter/ )にたくさん書いてあるのですが、さすがに量が多すぎて(KickStarterについてのコラムだけで既に111回分あります!)私も全部を読んでいるわけではありません。英語で読むのも大変だし、ちょっと簡単に意見をもらえないかな、と聞いたところ快く回答してくれたので以下に訳出します。一部適当に補足したりざっくりと訳したり、というところはありますが、大意は捉えていると思います。
追記:Jameyのブログで以下の回答を元にした記事が作成されました。8割方同じ内容ですが、興味のある方はそちらの記事もどうぞ。
クラウドファンディングの利点
欠点
彼自身はクラウドファンディングの信奉者である、と自称していますし、クラウドファンディングに好意的な見解であるとは思いますが、それなりに説得力のある意見だと思います。もっと具体的な「クラウドファンディング/KickStarterでやるべきこと、やってはいけないこと」については上記のブログにたくさんの記事がありますので是非ご一読を。まあ、英語なんですけどね……(特定記事に興味がある、ということであれば、ご連絡いただければ和訳の検討をいたします)
とはいえ、彼の意見は基本的にアメリカ在住でKickStarterを使うことが前提ですから、そのまま日本ですべてが通じるわけではないと思います。以下は日本の状況を踏まえた個人的な意見を少し書いてみたいと思います。私は自分で同人作成をしたことがないので的外れな部分もあるかと思いますが、ご容赦下さい。
個人的には現状、国内のクラウドファンディングサイトを使うメリットは(ボードゲームに限らず)あまりない、と思っています。想定出資者層が限られていること、ターゲットに届く宣伝手段になり得ていないこと、相当量の手数料が取られること、を考えた場合、クラウドファンディングの外にコミュニティを形成する、あるいは外にある既存のコミュニティを利用する方が効率的ではないかと思います。とはいえ、だから「国内クラウドファンディングを使っているものは駄目だ」という気もありません。個人的な希望としては、プロジェクトの実現にどのくらいのお金が必要で、集まった金額をどのように使うのか(使ったのか)の内訳を明らかにしてもらえると判断材料となるのでありがたいです。KickStarterでもそういうプロジェクト結構見ますよね。
なんにせよいろいろな形で新たな試みが生まれるのは良いと思います。ということで。