青森の、とある港町であった船乗りの話し

数年前、たまたま立ち寄ったバーであった漁師から聞いた話~それは技術進歩による地方の衰退の話でした。  青森県のとある港町に出張で立ち寄り、夜は海鮮をいただきお酒をいただける二軒味のお店を探していました、飲屋街の裏路地にある一元さんお断りと言われそうな場末のバー〜本来なら地元のお客さんから常連客しか入れないイメージを醸し出している小さなお店でした。ですがあえてお店に入ってみると、男性のマスター1人と、カウンターの奥に男性客が1人・・・・。  私がお店に入りアウエイ感の重圧の中、水割りを飲みながら。そのカウンターの奥の男性に話しかけました。ニヒルなその男性は話しかけると快く私の問いかけに答えてくれました。  そのニヒルな男性に興味を持った私は気づくと水割りを片手に色々と質問をしていました。  話を伺うと、その男性は年に2回、ここのスナックに立ち寄るとのことです。ご自宅は静岡県のとある漁師町の漁師さんでした。半年かけて、日本の漁場をまわるので静岡の自宅に帰れるのは年に2回とのことでした。話をさらに聞いてみると、青森でとれたサバを冷凍して関東の漁港で水揚げをするとのことです。  東北で水揚げするより、関東までの燃料代を使ってでも関東で水揚げをした方がサバの単価も上がり利益が出るとのことでした。  数十年前は、冷凍技術がままならなかった頃は、青森の近海で撮れたサバが青森の漁港で水揚げされ港町も経済的に潤っていたと聞きます。今ではその港町は寂しく、昔の賑わいの想像がつく今では寂しさと虚しさが感じ取れる町並みと化しています。冷凍技術の進歩がピンポイントの話にはなりますが、技術の進歩には地方の経済や風情なども衰退させてしまうものなのかと、水割りを飲みながら考えさせられた場末のバーでした。


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