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読書感想文 愛なき世界

登場人物すべてが愛らしく素敵な人たちの日常の一片に食堂の男の子藤丸くんと大学で研究に励む女の子本村さんと植物の三角関係のお話を中心に何かに夢中になって知りたいと思う気持ちや研究者の生態が事細かくそして分かりやすく綴られていた物語でした。

事件らしい事件とかは起こらず日常の中にある心模様を藤丸くん目線と本村さん目線で交互に進んでいいきます。私は終始藤丸くん目線で読んでいて植物の細かいことは難しいけどなんとなく分かる感じが心地よかったし、出てくる人が皆良い人であったかい気持ちになりました。

藤丸くんはぼーとしてそうな口調だけど、ものの本質を見極め、理解する力に優れた素敵な青年で応援したくなる。そして応援しながら読んでました。
最後の方で藤丸くんがタイトルとなっている愛のない世界ついての考えがまさしく読み始めから感じていたことで、だよねぇ。うんうん。となりました。

本村さんは素直で頑固。素直と頑固は相反する言葉だけどどちらも持ってるバランスのいい人。表面的に見ると変わった人だけど、本村さん側から感情の動きを読むとそんなに変わった人でもなく真面目で真っ直ぐな子なのがよくわかる。そこを見抜いて好きになる藤丸くんはやっぱり見る目がある。

その2人を囲む研究室の人達も食堂の大将もいい人ばかりで、私生活が謎めいている先生の過去の受け止め方が科学者らしくて可笑しかったけどとても真摯な人柄が出てて、こんな研究室なら大変な研究もめげずに出来そう。実際にはなかなか無さそうだけど笑

もし、藤丸くんと本村さんの性別が反対だったらきっと…と思わなくもない結末。頑張る女性は究極の選択しがちというか…何十年後大将とはなちゃんのような関係性なら上手く行くのかなとも。お似合いだもの。

私は岩間さんの気持ち分かるなと思いました。

植物を枯らしがちな私も緑の手が欲しい。というかもう少し植物を見る見方を変えて接してみようと思いました。同じこの世に生きる生物として。

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