見出し画像

今週の新聞[2022.10.29-11.4]

挨拶は知っている人にするもの、あるいは私とある程度関係性のある人にするもの、と考えていた。ところが見知らぬ人にも挨拶することもあるようだ、と知ったのは、私が小学生の頃、母に連れられて祖父の田舎へ行ったときのことだった。母曰く「田舎の人は知らない人にも挨拶するのよ」

首都圏に住む私はそんな経験をすっかり忘れて成長した。

成人してアメリカに留学した時、在米歴の長い日本人の友人と町を歩ているとホームレス風の男性がこちらの方をじろじろ見る。私が目をそらせて通り過ぎようとするのに反し、友人はその男性に向かって元気に「Hi!」と挨拶をする。私はびっくりした顔で彼女の顔を見ると彼女はこういった。「私はあなたに注意を払っているのよ、っていう意味で挨拶したの。」

こんな経験から、「あいさつ」をテーマに朝日新聞の読者投書欄「声」に寄せられていた投書を興味深く読んだ(朝日新聞2022.11.2, p12)。挨拶をする基準は人それぞれだと感じたけれど、立命館大大学院教授の小川さやかさんのコメントが印象的だった。

「あいさつを単なる儀礼やマナーととらえると楽しくないのは当然です。あいさつは見知らぬ他者に対して敵意がないことを示し、関係を始める緊張を和らげるもの。挨拶を交わすこともささやかな贈与交換です。」

「どのタイミングで挨拶しよう」「人間違いかもしれない」などと、つべこべ考えず、緊張した空気を和らげたかったら挨拶すればいいのかも、と思わせてくれるコメントでした。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?