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最近の記事

ドローンを活用したネオ・ストリートフェスティバル

ドローンの新しい利活用アイデア:「ネオ・ストリートフェスティバル」  ドローンの用途として主に想定されることは、商品・医薬品の輸送や施設のスキャン・点検である。ここではもう一つの方向性として、「エンターテインメント×町の活性化」でドローンを活用できるシーンを検討したい。  フランスの地理学者オギュスタン・ベルクは『空間の日本文化』(筑摩書房、1994)で、日本において人々が集まり賑わうオープンスペース、すなわち西欧の広場にあたる公共空間とは、街路であると指摘している。実際

    • 森や海が書く本とは?(SFプロトタイピング)

       古代人が剥いだ木の皮に文字を書き始めてから現代に至るまで、本が「情報を書き読むもの」であることに変わりはない。しかし歴史を顧みるとその形態は多岐に渡り、人々は紙に限らず木や布や粘土板、(今世紀では)スマートフォンやタブレットまでも本として扱ってきた。  近年、生態学、特に音響生態学の調査から、人々だけでなく自然も”本を書き読んでいた”ことが分かってきた。私たち人間が気づかないうちに、自然も情報を記録し伝達していたのだ。本記事では、森と海で発見された”本”をそれぞれ紹介して

      • Other Sides of The Float -2070年の海上都市と下水道-

        時代背景の設定 温暖化による海面上昇で、土地不足が深刻化した世界。 対策として、日本各地で海上都市の建設が急速に進められる。 海上都市では、行政制度の整備が追いつかない代わりに自律分散型社会の構築が試みられ、下水道などのインフラにも分散型システムが導入される。 あらすじ 舞台となる海上都市「フロートI」は、9つの人工島で構成される。 下水処理システムは島の下に分散配置されており、互いにパイプで繋がれている。 そのシステムのトラブルをきっかけに集った市民たちが、フロートI

        • Other Sides of The Float 制作ノート

           「東京地下ラボby東京都下水道局 2021」に参加し、SFプロトタイピングという手法で、未来の下水道について考えた。およそ2ヶ月かけて都市と下水道の可能性を探り、「Other Sides of The Float -2070年の海上都市と下水道-」という作品を制作した。作品の内容は、以下のnoteやwebサイトに掲載されている。  東京地下ラボで行った成果報告会のプレゼンの様子はこちら。  このnoteでは、制作中に考えていたことを裏設定も含めてメモしておきたい。 コ

        ドローンを活用したネオ・ストリートフェスティバル

          ARが都市活動や建築ファサードに与える影響とは

           ARデバイスはある意味、現実空間と仮想空間を接続する境界といえる。従来の仮想空間は、インターネットに接続されたデバイス(PCやスマートフォンなど)の中だけに存在し、人間がいる現実空間とは明確に区別されてきた。しかし、ARデバイスは現実空間の景色に、仮想空間の情報を重畳することを可能にする。このAR技術そしてデバイスは、建築・都市計画に対して根本から影響を与えるようになると考えられる。  1.ARが変える都市計画の前提 たとえば今までは、街路に面する建築物のファサードやその

          ARが都市活動や建築ファサードに与える影響とは

          18世紀の幻想建築 〜ルドゥとブレ〜

           今日は前から気になっていた、西洋建築史におけるとあるムーブメントについて、紹介したいと思います。18世紀の新古典主義の一派である、幻想建築についてです。 1.西洋建築史における幻想建築の立ち位置 18世紀までの西洋建築史を大雑把にまとめますと、まず14~16世紀ごろに古代様式の再生を目指した、ルネサンスという文化運動がありました。その後の16~18世紀ごろではバロック(ロココ)と呼ばれる様式が誕生し、そして18世紀中ごろから再び古代を模範とした、新古典主義が現れます。

          18世紀の幻想建築 〜ルドゥとブレ〜

          神社における、この世とあの世の境界

           今日は日本建築史に関する、小話を書いてみたい。 *****  私が卒業論文を書いていたころ、「空間の境界」というトピックに興味が惹かれていた。特に、「俗世間と神域の境界は、どうやって表されるのだろうか」というファンタジーめいたことに興味があった。  たとえば、神社の入り口である鳥居。「ここから先は神社の敷地ですよ」と知らせる目印の役割はもちろんあるが、それ以上に”神域”への入り口を示す役割がある。鳥居の外と中では、空間の性質が違うのである。 ▲筆者が中学生のときに訪

          神社における、この世とあの世の境界

          宇多田ヒカルは結末をどこまで知っていたのか 〜One Last Kissの考察〜

          こんにちは、駅人です。久しぶりのブログ投稿なので、筆慣らしとして最近ハマっている曲について書こうと思います。 それは、今週公開された「シン・エヴァンゲリオン劇場版 :||」の主題歌、宇多田ヒカルさんの”One Last Kiss”です。 この記事では宇多田さんが、ヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズで手掛けたほかの主題歌にも触れながら、個人的な感想をつらつら書いていきたいと思います。(※少しネタバレあります。) 1.One Last Kissの歌い出し自分は、この曲の始まりか

          宇多田ヒカルは結末をどこまで知っていたのか 〜One Last Kissの考察〜

          中銀カプセルタワービルを一昨年訪れて。

          1. はじめに 2019年の4月、都内の有名建築を一目見ておこうと思い立ち、複数の建築を見て回った。その中で、銀座にある中銀カプセルタワービルも見学した。メタボリズムの代表的作品として何度か本で見かけたことがあり、また老朽化が進んで近々取り壊されるかもしれないという話を耳にしたので、行く機会を先延ばしにする理由はなかった。  中銀カプセルタワービルの最大の特徴は、やはりカプセルである。1つのカプセルが1つの部屋になっており、それらが中心軸を取り囲むように設置されていることで、

          中銀カプセルタワービルを一昨年訪れて。