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エディオンの萩ちゃん

2019年日本選手権女子1500m決勝のスタートラインには4月にエディオンに入社したばかりの萩谷楓の姿があった。年末の都大路を丸刈りの坊主で走った彼女の髪はそこまで、伸びてなく、引退した高校球児のように中途半端に短かった。

このときの日本選手権1500m決勝での下馬評は卜部、田中、高松の3名。この3名は直前に行われたアジア選手権日本代表。充実したシーズンインを迎えていたからだ。しかし、結果はそのとおりにはならなかった。1位卜部、2位田中。3位に飛び込んできたのが、萩谷だ。

このときの連続写真が手元にある。ラスト100m。どの選手も必死の形相で走るなか、ひとりずっと笑いながら走っていたのが萩谷だ。トップを走る卜部にピントを合わせると、後ろの萩谷が笑いながらこちらに向かってきたから、こっちも思わず笑ってしまった。そのときに「エディオンの萩谷」という名前を覚えた。

エディオンの萩ちゃん(と、勝手に呼んでる)萩谷楓選手の引退の報。東京オリンピック、そして世界陸上オレゴンの5000m日本代表選手の引退はメディアではあまり大きく報じられることはなかったかもしれないけど、駅伝・陸上ファンにとっては大きな衝撃があった。それは彼女がまだ22歳と若かったから。若いのだから、パリ五輪、そしてロス五輪まで彼女が成長しつづけるストーリーを周囲が勝手に描いていた。そのようにも感じる。

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