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それはね。コンセプトの違いだよ。の話。

1月2日。芦ノ湖でのこと。箱根駅伝の往路が終わってからひとつ用事があった。スイスのスポーツブランドOnの本国スタッフが箱根駅伝の視察に来ていたのだ。少しだけど時間がとれそうだから、お話しませんか?とお誘いをうけて、往路フィニッシュ後の熱がまだ残っている芦ノ湖のフィニッシュそばの貸別荘に向かった。

Onの狙いは大きく2つある。ひとつは日本でのシューズ売れ行きに強い影響がある箱根駅伝の熱狂を実際に目の当たりにし、実際にコースや走る学生たちを見ることで箱根駅伝に求められるシューズのヒント探すこと。もうひとつは、Onがサポートする駒澤大学佐藤圭汰選手とパリオリンピックを目指すにあたってどういうトレーニングをしていくか?そのアイデアのすり合わせをデイサン・リッツェンハインOACヘッドコーチとおこなうためである。

彼らも3区佐藤圭汰の走りはとりわけ注視していただろう。青山学院大3区太田蒼生がアディダスの最新シューズEVO1を投入したように、Onも佐藤圭汰に市販モデルではないプロトタイプシューズを用意したからだ。レースは箱根にピタリとピークをもってきた太田が箱根駅伝優勝を決定づける最高の走りを披露した。彼らも佐藤圭汰のポテンシャルを知ってるだろうから、こういう質問をした。

今日の青山学院大は素晴らしい戦いをした勝利だったけれども、一方で箱根駅伝だけに特化したチームと揶揄する声もある。佐藤圭汰のように国際試合やシニアとトラックで競いながら駅伝を走る選手もいる。日本では箱根駅伝の知名度がオリンピックや世界陸上よりも高い。この日本の状況をどう思いますか?

デイサンコーチはその質問をすると大笑いした。
いや、それ、アメリカも同じだよ笑 と。クロスカントリーレースにすごく力をいれるけど、トラックはそこまで重視しない大学もあれば、大学時代からオリンピアンを狙う大学もある。だからこそ、コーチが打ち出すコンセプトがとても大事になる。自分の才能に早くから気づきオリンピックを目指したいのであれば、駒澤大学のような場所を選ぶべきだし、駅伝を通じて自分の可能性を広げたいと思うなら駅伝で勝てる場所を選ぶだろう?と。ただ、圭汰に伝えたいのは、まだ彼は若い選手である。ということ。長期的にみたら、負けることやうまくいかないことはすべて過程であるということだと。選手個々によって眼の前の目標はあるだろうけど、選手たちが競技人生を長期的にとらえることが大事だと思うよ。

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