見出し画像

エカワ珈琲店の独断と偏見による『コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応/その3』

自家焙煎コーヒー豆の原料は、コーヒー生豆です。そのコーヒー生豆が、焙煎という熱加工処理を経て自家焙煎コーヒー豆に変換されて行く過程を間近で見ていると、まるで魔法をみているような不思議な気持ちになります。

コーヒー豆の焙煎は、数百年の歴史を経て作り上げられて来た技術・知識・経験の積み重ねによって成り立っているわけですから・・・。

年老いた珈琲豆焙煎屋は、生産用小型コーヒー豆焙煎機を使ってコーヒー豆を焙煎しています。

コーヒー豆は、その焙煎中に発生する 複雑な物理的・化学的な出来事によって、焙煎コーヒー豆に変換されて行きます。まるで、魔法が使われているように。

焙煎プロセスの進行に伴って、コーヒー豆(生豆)に含まれていた水分の大半は水蒸気となって放出されてしまいます。

コーヒー豆焙煎プロセスの初期では、コーヒー豆の水分が水蒸気となってコーヒー豆内部を蒸し始めます。これを、「蒸らし」と呼んでいます。

コーヒー豆焙煎プロセスが進行すると、水蒸気がコーヒー豆から放出されて、コーヒー豆の細胞組織は乾燥して脆くなります。これによって、焙煎したコーヒー豆の粉砕が容易となって、コーヒー成分の抽出効率がものすごく良くなります。

コーヒー豆(生豆)は、その焙煎プロセスで重量が12~25%くらい減少します。この減少量は、コーヒー生豆に含まれている水分含有量が関係していると考えられています。また、コーヒー豆が焙煎プロセスを経ることで、体積が膨張して密度が低下します。

コーヒー豆を加熱すると、最初の数分間~10分間くらいで黄色に変わり始めて、草のような匂いがしてきます。さらに加熱して行くと、糖がカラメル化して、あるいはメイラード反応が発生して、焙煎中のコーヒー豆の色が褐色に変化して行きます。

糖のカラメル化は、メイラード反応で形成されるメラノイジンとともに、焙煎コーヒー豆の褐色に貢献していると年老いた珈琲豆焙煎屋は考えています。

コーヒー豆に含まれているオイルですが、コーヒー豆の焙煎プロセスが進行して深煎りの段階になると、コーヒー豆の細胞組織に亀裂が入るので、コーヒー豆細胞内に存在していたオイルが焙煎コーヒー豆の表面に移動して来ます。(コーヒー豆内を自由に移動します)

コーヒー豆の変化プロセス

いつも飲んでいる1杯のコーヒーは、コーヒーノキに成る果実の種子を乾燥・精製処理して、小石のように堅くなったコーヒー豆を、焙煎という加熱処理を施して製造する焙煎コーヒー豆を粉砕して、その焙煎コーヒー豆粉砕物を熱湯(or水)と接触させて醸造した飲み物です。 

コーヒー果実の中の種子は、水分を含んで柔らくて弾力があったわけですが、精製処理して乾燥を終えたコーヒー豆は、小石のように固形化して堅くなっています。

水分を除去して堅くすることで、長期間の保存や輸送が可能になります。しかし、そのコーヒー豆を利用するとなると、固形化して堅いがゆえに、強い熱作用に頼る必要が出てきます。

固形化して堅くなっているコーヒー豆(生豆)の匂いを嗅いだとしても、焙煎したコーヒー豆が発するような匂いを感じることができません。しかし、この固形化して堅くなっているコーヒー豆を焙煎すると、コーヒー豆に含まれている成分が大きく変化して、1000種類にも及ぶ新しい化合物が生成されると言われています。

コーヒーは美味しい飲み物です。そして、その組成はどのようになっているのだろうか、また、化学がコーヒーの味や淹れ方、飲む人の健康にどのような影響を与えているのかについて考えることもあります。

ここから先は

5,994字
この記事のみ ¥ 500

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?