エカワ珈琲店の独断と偏見による『コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応/その2』

コーヒーの香り・風味は、コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応が作り出している

アグトロン社のCarl Staub(カール・スタウブ)さんは、1995年に開催されたSCAA大会の講演で、コーヒー豆の焙煎について、次のように語っています。ただし、英語が素人の年老いた珈琲豆焙煎屋の翻訳ですから、解釈や翻訳間違いがあるかもしれません。

コーヒー豆の焙煎工程では、多くの熱化学反応が発生します。脱炭酸(二酸化炭素を放出する)、キナ酸部分の脱水、分解蒸留、異性化、重合、ショ糖が関係する複雑な化学反応が発生します。
熱によって反応する主な成分は、単糖類とショ糖、遊離アミノ酸とトリゴネリンです。多糖類のアラビノースとガラクトースの両方は分解して、硫黄化合物とヒドロキシアミノ酸(コーヒーのタンパク質成分)に分解されます。
炭水化物は重合と分解を繰り返して、焙煎度合(煎り具合)に応じて、多糖類の20~30%が、熱的に不安定な単糖類に分解されます。

コーヒー豆焙煎中に発生する物理的・化学的反応は、数百に及ぶと言われています。しかし、その大半は完全に解明されていないようです。

コーヒーの香りや風味は、コーヒー豆に含まれるフレーバー前駆体成分が、コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応を経験することで作られて行きます。

コーヒー豆焙煎中に発生する化学反応として、コーヒー豆多糖類の加水分解、カラメル化反応、メイラード反応、クロロゲン酸の変化、褐色物質の生成などがよく知られています。

コーヒー豆の焙煎

コーヒー生豆に含まれていた約300の天然化合物が、加熱されて約1000の化合物に変わる過程がコーヒー豆の焙煎だと考えています。

コーヒー豆の焙煎は、熱を加えてコーヒー豆に物理的・化学的変化を引き起こさせて、焙煎コーヒー豆に特徴的な風味を付与する作業です。

コーヒー豆の焙煎とは、付加価値を持つ焙煎コーヒー豆という製品を作り出す作業だと考えています。

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