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心電図検定対策講座【問題4】

対策問題004 (出題: 2024/3/25)

86歳,女性。糖尿病とともに循環器外来に通院中。定期受診時の心電図を示す【図4-1】。ここ最近,動悸,息切れがきつくなったと訴えあり。脈拍不整,血圧165/95mmHg。

【図4-1】86歳,女性の心電図〈対策講座004〉

【問題4-1】心電図診断として最も適切なものはどれか。

 (a) 発作性上室頻拍
 (b) 洞頻脈
 (c) 心房細動
 (d) 心房粗動
 (e) 心房頻拍


【問題4-2】心拍数の数値として最も近いものはどれか。

 (a) 95/分
 (b) 125/分
 (c) 165/分
 (d) 205/分
 (e) 245/分


~ぜひとも応援よろしくお願いいたします~

★解答・解説の公開は3/28(木)を予定しています!
(当面はこのサイクルを予定していますので留意下さい)


皆さま,調子はいかがですか?こんにちは,えかげますたぁ|Dr.ヒロです。
3月から開始した『心電図検定対策講座』も今回で第4回,どうにか1ヶ月走り切ることになります。

今回は初心に返るわけではないですが,実際の検定を意識したような症例問題としました。今回は不整脈,それも“The king of arrhythmia”(不整脈の王様)である「心房細動」を扱いました。Atrial fibrillation,いわゆる“AF”(エイエフ)です。

そして,もう1問は前回までの知識で正解していただける心拍数の問題としました。今回でしっかりと勉強してしまいましょうね!


【解答4-1】 (c) 心房細動


この症例に関しては,1問目の本問だけX/Twitterで公開してアンケート調査してみました(https://x.com/ekagemaster/status/1772030975951978681?s=20)。気になる結果から示します(75名の方,ありがとうございました!)。

解答状況(X/Twietter):〈対策問題004-1〉

正解は(c)心房細動ですので,
65%と多くの方が正しく選んでいただいたようです。1級はいざ知らず,2~4級では,必ずと言って良いほど“AF”問題は出題されますので,絶対に落としてはいけませんよね。
これもフルに近いバージョンで心電図を再掲しておきます【図4-2】


【図4-2】86歳,女性の心電図〈対策問題004〉再掲

心房細動(AF)の診断はどうやるのでしょうか?
...思い出してみましょう。ポイントは以下の3つだけ。

【図4-3】AF診断は3つだけ!

なんか難しく感じますが,実は“レーサー・チェック”として紹介した(→【第1回】),3つのRがどうかチェックすれば良いのです。そう,R-R(間隔),Rate(レート:心拍数),そしてRhythm(リズム:〈基本〉調律)です。

これだけ聞くと,そんなに難しくないって思ってもらえるでしょうか。必要以上に構える必要はありませんよ。一つずつポイントだけ述べますね。

◆AF診断のポイント①~R-R間隔~

【図4-4】AF診断のポイント①:絶対性不整脈

R-R間隔はテンデンばらばらで,基本的にはどの2つのR-R間隔も同じところがないという点です。これを表現する,一つの言い方が「絶対性不整脈」です。英語だと,「absolute arrhythmia」となるでしょうか。

もう一つ知っておくべき表現は,“irregularly irregular”ですね。この表現は一見して「?」で,しかも二重に“irregular”が重なってしつこい感じです(笑)

これは,対をなす“regularly irregular”「でない」ということです。
たとえば何拍おきかに期外収縮が出るとか,R-R間隔は整でなくとも,定期的なパターンのくり返しとか,一定のルールとか決まり,規則が類推されるような“なんちゃって不整”のことを言います。

つまり,こうした“規則”に縛られることなく,上の階は“山火事”で(それぞれ,心房,細動の意),下の階も基本的にはランダム,まったく“気まま”にたたくドラム(絶対性不整脈)がエイエフの特徴になります。まさに“ほんまもの(or 筋金入り)”の不整です。

これは普通,目で見てすぐわかりますが,頻脈がかなり高度になると(R-R不整が)わかりづらいという特性も知っておきましょう。


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