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第1章:今日の芸術

どれだけの期間その存在によって影響を与えることできるかーーこれを文化活動の価値基準と置くならば、20世紀後期から21世紀前期における人類の代表作はフィンランドに存するオンカロとなるだろう。これは10万年の間、核廃棄物を管理する目的で建造された施設である。その圧倒的な時間感覚の前には、ピカソもウォーホルも、中世ヨーロッパや古代ギリシアの伝説の芸術家たちですら、余りにもちっぽけに思える。

『歴史に名を遺す』というゲームから脱け出して、今この時代において本当に意味のある芸術を描こうとするならば。今後2039年までの間、あらゆるメディアで喧伝されるあらゆる物語は、実質的には次の三つの道のいずれを選ぶのかを、われわれ人類のひとりひとりに迫るものである。

一つ、『人工的超知性にマインドの管理を委任する』

一つ、『生体科学技術によってマインドの強化を図る』

一つ、『人体にマインドを従属させる』

人類はマインドを授けられ、それによって他の生命と異なる役割を演じてきた。しかしながら、地球人類のマインドは迷走し、競争原理に基づき同じ種族同士いがみ合い、殺し合い、資源を略奪し、生態系を破壊している。悪意を持った特定の個人や組織によってそれらの行為が成されるのではない。この構造はわれわれ人類のマインドの集合同意ーー文明のカタチである。現行のマインドには何らかの問題がある。そこで人類は、より優れたマインドを人工的に生み出そうとしている。今この瞬間も、時代はわれわれに問うている。

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第2章:新しい競争

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