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■ 其の201 ■ 白水社の本棚

フリッパーズ・ギター / CODA / 登山 / キルギス語

紀伊國屋書店に立ち寄って、白水社のPR誌「白水社の本棚」をもらいました。紙媒体の文字は、内容が頭に入りやすく印象に残ります。だからか、電子文字よりも情報を得ている実感があります。
この本を読まなければ、知ることがなかった(であろう)話を抜粋します。

この二人に共通するのは、多くの視聴者はパクリ元を知らないまま作品を心底楽しんでいる点だ。ではなぜそんな作品を生み出せるのか。小沢はフリッパーズ時代、小山田圭吾と週七で中古レコード屋を回っていると語っていた。ニューヨークに行ってもパリに行っても、とにかく音楽音楽音楽だ。そういうオタク愛に、類まれなサンプリング力が加わったとき、はじめてパクリやコピペとは決して呼べない、オリジナリティあふれる秀逸なサンプリング作品ができるのだ。90年代はこういうサンプリング芸術が輝いた時代だった。〔P7〕

きこえない親のもとに生まれた、きこえる子ども Children  Оf  Deaf  Adults' 略してCODA(コーダ)。時として、手話と音声言語のバイリンガルとなること、幼くして親の通訳者の役割を担わされることが運命づけられもする。
周囲の無理解や他の家族との違いにうろたえ傷つき、母と娘、そして父と娘のあいだに生じる遠慮や無遠慮、家族への誇りと恥と怒りの感情を行き来する著者は、素直に家族への愛を表現できない。きこえない親を守りた、守られたい。わかり合えない苛立ち、わかり合えないけど感じる愛。〔P19〕

昭和の登山ブームは1956年の日本隊のマナルス初登頂から始まったとされるが、やがて1960年代になると、山ヤのあいだで「登山の行き詰まり」が語られるようになる。
集団就職で東京に出た若者たちが自らの思いをぶつけたのが谷川岳をはじめとする日本各地の山々だった。毎週土曜。谷川岳に向かう上野発22時12分の上越線鈍行長岡行きはぎゅうぎゅう詰めの超満員だった。 〔P23〕

「昔、日本人の祖先とキルギス人の祖先は兄弟で、魚の好きな方が東の海に去り日本人となった。肉の好きな方が山に向かいキルギス人になった」という有名な伝説をキルギス人なら誰でも知っている。
キルギス語は日本語と同じ語順で名詞につく助詞の役割も日本語と似ていて、ロシア人に比べると日本人はキルギス語の習得が早い(キルギスで生ま れ育ったロシア人でもキルギス語が話せない)。 〔P30〕


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