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MMTが通用する国、しない国

MMT(現在貨幣理論)が話題になったりする。その一番の過激な主張は、政府がいくらでも借金しても市場に影響がないということだ。これは、この言葉をそのまま解釈すると、そんなことはないと言わざるを得ない。だから、MMTはインチキだとなる。では、市場が混乱しないで、政府が借金できるのはいくらまでだろう。単純に言うと、返済できそうな程度だろう。しかし、もっと言うと、担保がある限りとなる。ただ、政府がそんなに資産を持っているとはあまり聞かない。しかし、代わりに誰かが払う予定になっていれば、その人の信用の範囲までは借りられるだろう。

 日本政府は、既に1300兆円程度借金がある。これが問題にならないのは、日本人全体の金融資産が2000兆円程度あるからである。つまり、それで信用を保証している。だから、2000兆円程度までは政府は借りられる。この事例から言うと、MMTのいくらでも借りられるは間違いである。しかし、いつまでも、政府負債より、民間金融資産の方が大きかったらどうだである。つまり、いつまでも、民間金融資産が保証するわけである。この場合は、いくらでも借りられるは正しいとなる。これは可能なのか。残念ながら、日本では、個人金融資産の伸びよりも、政府負債の伸びの方が大きい。つまり、いつか(おそらく10年後から15年後)は、追い抜いてしまうわけだ。だから、この状況が変わらない限り、日本ではいくらでも借りられるにはならない。しかし、欧米では、個人金融資産がこの20年でほぼ2倍になっている。つまり、政府負債より、民間金融資産の伸びの方が大きいから、いくらでも借りられるは正しいとなる。日本人も金融資産を年率3%で運用できれば(政府負債の伸び、毎年50兆円。民間金融資産の運用益、3%、60兆円)、いくらでも借りられるとなる(正確に言うと追い越さない程度にだ。)。日本人はそういう運用ができるであろうか。

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