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明治維新は幕府の財政破綻により起こった。

 現在の日本で、たまに、鎖国してしまえばいいといった感を受けることがある。そんなに贅沢しなければ、経済はうまく回るのではという期待だ。ただこれは難しい。例えば、江戸時代の生活に戻したとしても問題がある。それは、一つは、エネルギーである。石油は輸入でしか手に入らないので、製品をつくり、交易する必要がある。海外とやりとりがないと売れる製品はつくれないだろう。それでは鎖国は難しい。石油に頼らないとしたら、薪木と石炭だろう。ただ、薪木や石炭で走る車は今のところつくられていないから、ガソリン車はすべて使えないとなる。魚も捕れないから貴重品になろう。石炭で発電して、電車を走らせるのがせいぜいだろう。他の家庭用のエネルギーは、すべて薪木となる。しかし、これも問題だ。何が問題かというと、足りないのである。江戸時代に日本の人口が3000万人だったなどと言う。しかし、その数でも、薪木が足りなくなって、はげ山ができたと言う。今の人口は1億2000万人だから、まず、短期間で砂漠化してしまう。要するに、鎖国は無理なのである。
 もう一つの問題がある。それは、財政である。江戸時代の生活は良いと思われているかもしれないが、後期には、幕府の借金が膨らんだ。それは、支出の2/3が借金の支払いにあてられたと言う。つまりどういうことかというと、江戸幕府はできた当時は金があったが、後期になると、借金まみれになったということだ。つまり、この財政面からも鎖国は難しいと言えるだろう。ちなみに、江戸幕府は、明治の志士によって倒されたと言われるが、借金が膨らんで勝手に倒れたとも言える。その借金の清算のために、明治政府ができたのであろう。あまりこういうことは言われていないが、お金の問題はやはり大きいだろう(江戸幕府にお金があったら、志士たちを討伐していただろう。)。これは、今の日本の問題にもつながる。まだ行政府の財政に占める借金は1/2だが、これから年々膨らんでいく。また清算が必要かもしれない。

参考文献:
 養老孟司 数点
 堺屋太一『第三の敗戦』

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