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エムエムティは救命ボートになるか

最近、「政府負債をいくら増やしてもハイパーインフレが起きない。」という考え方が合衆国で考えられ、それを輸入して流行しているらしい(「MMTの前提条件が異なる日米ポイントは「国の借金」の考え方」、https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190621-00205940-diamond-bus_all、2019年6月24日閲覧)。ご存知のとおり、合衆国も日本も政府負債が世界有数の水準に達している。合衆国では、行政機関が停止し(予算執行を停止したのだろう。)、日本では、いよいよ負債の元本を減らせない自転車操業に陥っている。そこにあらわれたエムエムティの一説。これで助かったと思う人もいるだろう。実際に助からなくても(ハイパーインフレ等が起こっても)いいかもしれない。つまり、実際面でのたすかりと、ロジック面でのたすかりである。普通の人は、実際面で助からないと意味がない(ハイパーインフレ等が起こらない。)と考えるだろうが、精神面での支柱を求める人もいることは想像に難くない。だから、そのエムエムティの一説の2つの効用について考えたい。

 まず、この新しい説が流行するという点において、(合衆国の事情はここでは考えない。)日本(人ないし政府)が、財務的な助けを求めているという事実が見えるだろう。つまり、それが有効かもしれない説と思われているということだ(市場で、必要な製品や役に立ちそうな製品が売れるのと同じということだ。)。だから、同様な説はまた流行する可能性がある。また、そこには、合衆国製というブランド力もあるだろう。つまり、通常の合衆国製の品質は保たれているだろうという想いがあろう。しかしながら、製品にはたまに機能しなかったり、損害を与えるものもある。それを忘れてはならない。普通の製品はPL法という製造業者が品質を保証する規制がある。しかし、学問の説については、どれだけ著者が保証をするかはわからないが(資産の規模によるだろう。ただ学者が儲かっているという話は聞かない。)、まったく保証のない可能性がある。それなら、慎重に説を検査しなければならない。不良品で損害を与え、なおかつ補償がないでは困るからだ。

 しかし、その説が実証されたと聞かないし、反論も多いと聞く(わたしはトンデモ説のように思っている。)。つまり、新開発の治療薬のように思えるが、その効果は試されていないということだ。助けを求めない冷静な人は、そんな製品を買わないだろう(そして、1000兆円以上(日本政府の負債額)の損害が出る可能性を認識しているだろう。つまり、例えでいえば、死ぬ可能性があるということだ。)。しかしながら、どうしても助かりたい人は、それを飲んでみようとするかもしれない。自分が実験台になるという覚悟で。そういう意味では、少なくとも、その説には、人の精神的支柱にはなるのである。だから、流行する可能性がある。市場では、ある製品は、買う人がいれば、売れる。それだけだ。

 しかし、人がいくら助かりたいと言ったって、1000兆円以上の買い物をして良い訳ではない。自分の予算に見合った買い物をすることが一般的だろう。だから、いくら人気が出たといっても、その買い物が許可されることにはならない(一人前なら検討しようもあるだろう。エムエムティ債券でもつくればいいかもしれない。)。許可されるとすれば、その説に、1000兆円以上の保証が付けばだろう。これなら、その説が間違いだとしても、保証の1000兆円以上をひき出せば、損害は穴埋めされる。ただ、それでも時間を無駄にしたなどの損失が残る。だから、私は、その説そのものの良し悪しではなくて、資産運用的な面から、その説の導入をしない。高いリスクの製品だということだからだ。

 実際的な問題については説明しようと思ったが、経営的な観点から、その導入を否定できたのでそれでいいと思っている。製品としての魅力がないということだ。ただ、流行するかもしれないし、また、エムエムティ債のようなものでその説を導入することができるだろう(それだと、個人レベルでその説を導入できる。それぞれの家計の話なら、他の人や政府は介入しないだろう。しかし、いまのところ、それはできていないようだ。)。最近は、基本的に無料のサービスができているが、やはりそれを提供する側もどういう形であれ、収益をだしているわけだから(学者だって、少なくとも給料は得ているだろう。)、それは商売である。それぞれの取引に介入しようとはおもわないが、政府は公共財である以上、共同で運営する必要がある。だから私見を述べた。多分、その製品を導入することは、リスクが高いので見送られると思っている。また、政府の経営がギャンブルになってはいけないとも書き添えておく。

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