茅葺古民家の屋根修理
茅葺古民家の屋根修理について、感想文を書いたのでこちらにも掲載。
西和賀にわずか二軒だけ残った、
希少な茅葺(かやぶき)古民家。
八月後半、そのうちのひとつ、
小野家の屋根の葺き替えのお手伝いをしました。
昨秋には、
茅の材料であるススキを刈り取る手伝いをしており、
ひと冬干した茅をいよいよ使う時が来たのです。
茅葺屋根を葺き替えるには、
屋根の茅を全部取り替える方法と、
傷んだところだけを差し替える「差し茅(さしがや)」という方法があります。
小野家の葺き替えでは、差し茅を採用していました。
それでも、大きい家なので茅は大量に必要となります。
また、頼める職人さんも限られています。
だから数年かけて葺き替えるのです。
もし、全部一斉に取り替えるとなったら、
経費も材料集めも、とっても間に合わないでしょう。
使える部分の茅は引き継いで、屋根を直し整えていく差し茅は、
合理的な方法だと思いました。
お手伝い一回目:足場作りのお手伝い
茅葺屋根の修理がスタートした初日にお邪魔しました。
屋根の上に足場の杭や茅を上げたりします。
一口に茅と言っても、
職人さんは
ススキの穂の部分、
茎の部分、
ススキよりも固いヨシなどを使い分けていました。
また、茅を一定の長さに切り揃える人、
屋根の上で職人さんのサポートをする人…
人手があれば、その分作業の進捗は早くなります。
お手伝い二回目:屋根裏をのぞく
葺替作業も後半のある日、
正法寺の雲水さんたちが八人来るというので
ワクワクしながら参加しました。
大きな屋根の上に、
職人と合わせ十人が乗っている図は壮観!でした。
あまり手伝えることもなく、主に見学。
家の中から、屋根裏に登ってみました。
葺いた茅は、
紐で梁に縛って固定するのですが、
このとき、
屋根の外側と内側で、
大きな針のような道具を使って、
縫うように紐を渡し合うのです。
屋根裏は真っ暗で、
場所によっては不安定な木の板の上での作業となります。
屋根の外側よりも怖く感じました(自分は作業していません)。
お手伝い三回目:茅をふきかえながら掃除する
葺き替えの最終日。
この日は、ほぼ屋根の上で手伝いました。
傷んだ茅を抜き、
新しい茅を差し込んでは叩き込み、
長さを切り揃えていく職人さんの足元で、
いらなくなった茅を掃いて、
掃いて、
掃きまくりました。
最終日にして初めて知ったのは、
とにかくすごい量の茅が出る!ということ。
こまめに茅を除けていかないと、
職人さんの足元はすぐに茅で埋まり、
動きづらくなってしまうのです。
屋根の上で動き回る二人の職人さんの間を行き来し、
黙々と茅を掃き捨てながら、
こういう単純作業は嫌いじゃないな、と考えてると、
職人さんに、
「そうやって掃いてもらうだけで、本当にすごく助かります」
と声をかけてもらい、じーんとしました。
葺き替えは上部から出来上がっていき、
出来た箇所の足場を解体しながら屋根を降りつつ作業を進めます。
最後の仕上げでは、
軒の部分の茅をハサミで切り揃える作業もやらせてもらいました。
また、この日は、
強さんが古民家の脇の木を切ったため、
屋根からの見晴らしがよくなりました。
色づき始めた田んぼから吹いてくる風が気持ちよく、
屋根に登った人の特権だと思いました。
葺き替わった屋根は、
切り揃えられた茅の直線が美しく、
キリッと若返ったようでした。
今年の秋も茅を刈って、来年の完成を見届けるのが楽しみです。
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