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〜遺伝性の難病家系に生まれた苦悩からの〜普通お姫様とが武士とかじゃないの?

私にとって20代〜30代は、出口の見えない葛藤の渦に巻き込まれていた真っ最中でした。

私はとにかく救いを求めていました。
看護師は占い好きが多くて、当時は同僚の紹介で色々な占い師にみてもらいに行ったものです。

その中で最も面白かった体験は占いとは違いますが、退行催眠でした。

当時私が一番悩んでいたのは、子供を作るかどうかという問題でした。


私は「脊髄小脳変性症」という遺伝性の難病がある家系に生まれたため、親族にはこの病気を発症した人が多くいます。
(かなり前に、沢尻エリカさん主演で1Lの涙というドラマがありましたが、主人公の少女が発症した病気が脊髄小脳変性症です。)

当時私自身もこの病気の発症に怯えていましたし、この病気の遺伝子を持っているかもしれないことを承知の上で子供を作るということは、この恐怖や苦悩を次の世代に渡すことになるということですから、相当悩みました。

結論から言うと私たちは子なしの道を選んだのですが、今回のお話はその話がメインではありません。

当時私はこの問題を考え過ぎていて、自分は本当に子供が欲しいのかそうでないのか、自分の本心はどっちなのかすらわからなくなっていました。

そこで催眠下で自分の本心を聞きに行こうと思い、催眠療法を受けてみることにしたのです。

お世話になたのは確か、夫が精神科医で奥様がセラピストという感じで、ご夫婦で退行催眠の専門家みたいな方でした。(私の担当は奥様でした)

退行催眠といえば、エジプトのお姫様や戦国時代の武将みたいな前世が出てくるんじゃないかと思っていましたが、私の前世は自分の想像の域を超えたものでした。

最初に見えた前世の自分の足元は、粗末で汚れた布を、麻紐で適当にぐるぐると巻きつけたような靴とは言えないものを履いていました。

私は1800年代(当時私は詳しく端数まで言っていました。)のギリシャの村に住む精神遅滞の男性でした。
キロエと呼ばれていました。(あだ名?男性の名前っぽくないですよね)

明かりの消えた薄寒い一人の家の中で、カビの生えた硬いパンと腐ったような葡萄酒?を飲んでいました。

奥様に「見えたものを教えてください。」と言われても、ショックですぐには言葉が出なかったほどでした。

やっと出た第一声は、「え〜!前世ってみんなもっとかっこいいじゃ〜ん!なにこれ!」でした。

キロエは生まれつきの精神遅滞でしたが、両親からは深い愛情を受けて育ちました。
ところがキロエがまだ小さい時に両親は同時に事故で死んでしまいます。

その後キロエは村人たちに、死なない程度の情をかけられ、都合よく使われ、適正な報酬をもらうこともなく、騙され、からかわれ、馬鹿にされ、いつでもたった一人で生きていました。

隣家から漏れ聞こえる談笑の声に、孤独を深める毎日です。

悲惨すぎる。
お姫様じゃなくてもいいけど、せめて平凡な人生を見たかった!

そして誘導により私は前世の自分が死ぬ瞬間に移動しました。

キロエは馬車に轢かれて26歳で死亡しました。
私は空からキロエを見下ろしたのですが、肋骨がくっきりと浮き出て髭ズラ、まるでおじいさんのようでした。

道の真ん中に倒れるキロエを、数人の村人が邪魔そうに道の脇に投げ捨てそのまま放置。

悲惨な前世ランキングがあれば、いいとこまで行くんじゃないかと思います。

これがキロエの最後の瞬間でした。
馬車のタイヤはキロエの胸の上を通過して、肺と心臓を完全に潰していったのですが、この痛みと重みと苦しさまでがリアルに体感でき本当にびっくりしました。

実は私は幼少期に心臓の手術をしていて、その時術中覚醒を経験しているのですが、その時の胸の重苦しさとよく似ていました。
後で奥様に、前世で胸を潰されて死んでいることと、私が幼い頃に得た胸の傷(術創)には深い関係があるのではないかと言われました。

幽体離脱でキロエを見下ろす私に奥様が、「あなたが死の瞬間に考えたことを教えてください。」と言いました。次の世への抱負?のようなものです。

その時私は強く思っていました。

「次は絶対社会的に舐められない人生を送る!」

この思いが今世に強い影響を与えているというのです。

これには納得でした。
私は思春期を母子家庭で育ち、心無い大人の態度に傷つく経験をしていたことから、常に社会に対する反骨心的なものを抱いていたのです。

次に来世の自分に会いに行きました。

そこで見えたものも私を驚かせました。

奥様はまた言います「さあ、見えたものを、素直に、素直に話してください。」

私は・・・・また男。

どこかの南の島で黒い犬と二人暮らしでした。
白い砂浜、青い海、青い空。

ドレッドのロングヘアでビール片手に、砂浜で犬と寄り添っていました。

家は適当な作りの小屋で、変な旗を飾っていました。
仕事は酒が切れたらたまにする感じ、毎日サーフィンをしてかなりご機嫌に暮らしていました。
結婚はおろが、恋人もいない模様。

何かいけない葉っぱも吸っているようです。(だからご機嫌なのか)

「えっ・・・こんな・・・。」
「見えたままを教えてください。」
「まさか・・・こんなこと・・・自分の願望だとは思えないし、本当なのか・・・。」
「素直に見えたままを教えてください。」

私は見えたままを教えました。

専門家である奥様からも、混乱した様子が伝わってきました。

だって私は、子供を作るか作らないかの悩みで行ったわけです。
なのに、前世も来世もそれどころではないステージ。

なんだこりゃ。

催眠が終わった途端、私は大爆笑していました。

奥様からは、非常に興味深いケースなので継続して欲しいと言われましたが、その後行くことはありませんでした。

数日して、見てきた前世も来世も気に入っていることに気づきました。
面白かったんですよね、全ての経験が。
それで終わりでよかったんです。

あれから10年以上経った今、夫婦二人で生きています。
これも振り返ったら面白いに違いないのです。

そんなんでいいと思うんです。




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