2023/02/12 晴れ

子犬たちが元気でなによりだ。
彼らは日々わたしを和ませ驚かせ欺きそしてひたむきに愚かさを隠し通せもしないままわたしの前に立っている。
頭を撫でればそっぽを向き、おやつをやればにんまり微笑み、裏切れば音もなく消えてしまう、そんなか細く図太い愛すべき肉球たち。
もともと質より量の睡眠であるわたしの眠りはさらに浅く夢ばかりになっている。
君の腕の中でもそれは変わらず、薄いベールの先に聴こえるラヴィットの喧騒が心地良い。
他者、そして異空間と労働から見逃された睡眠ほど有難いものはなく、わたしは尚、ないものねだりの夢を見る。
子犬たちはたくましい。健やかで煌びやかな手足を目一杯に動かしている様は実に清々しい喜びで満ちていて、早くここからいなくなりたい気持ちで胸がいっぱいになる。
明日死にたい。
それでいい、それでも続く四季の折々。散る花、芽吹く花、あなたが見るものはそれであり、わたしではないのだという安堵。
ぜんぶ捨ててしまいたかった、そんな勇気もないくせに。ぜんぶやめてしまいたかった、ここを離れたら何も持たないくせに。
明日わたしのことを愛さなくなる君たちへ。