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【Wine ワイン】Pipoli Greco Fiano Basilicata 2018


果実味のある味わいはグレーコから。華やかなアロマはフィアーノから。柑橘系果実、白桃やトロピカルフルーツなど熟れた果実の香り。
程よい酸、しっかりとした旨味やボディを持った、バランスの良い白ワイン。

https://a.r10.to/hlwUmu

■Producer (生産者)
Vigneti del Vulture

■Country / Region (生産国 / 地域)
Basilicata / Italiy

■Variety (葡萄品種)
Greco 50%
Fiano 50%

■Pairing (ペアリング)
Lagane e ceci ラーガネ エ チェーナ
Ciammotta チャンモッタ
Baccalà con i peperoni cruschi バッカラコンイペペローニクルスキ(乾燥させた赤トウガラシを猫でた塩漬け鰭と合わせた料理)

Basilicata バジリカータ州

■プロフィール
イタリアの南部に位置するバジリカータ州は、北東はプーリア州、北西はカンパーニア州、南はカラブリア州と接し、西にわずかにティレニア海と接していて、南にはイオニア海が広がっている。古代にはルカーニアと呼ばれていて、今でもこの名前を使用する人も多い。ギリシャの植民地であった時代から、この地のワインは有名であった。その時代にギリシャ人によりアリアニコが持ち込まれたとされている。山岳地帯が多いために、ワインの生産量は少ないが、Aglianico del Vulture アリアニコ・デル・ヴルトゥレは、厳格なワインで、同じアリアニコで造られるカンパーニア州のタウラージと並んで南部を代表する長期熟成型赤ワインである。

■歴史
古代はマグナグラエキアとしてギリシャ人のもとで栄え、その後ローマ帝国に併合された。西ローマ帝国崩壊後は、東ローマ帝国、ランゴバルド族、ノルマンの支配を経て、ナポリ王国の一部となった。イタリア王国統一後も、バジリカータは貧しく、20世紀にも多くの移民が海外に出て行った。バジリカータは山によりに隔離され、地理的に孤立しているので、交通の便が悪い。長い間「忘れられていた州」で、経済発展が遅れている。ただ、その分、野生的な自然が残っている。

■文化
交通の便が不便で、他州から孤立していることもあり、独自の民族文化を発展させてきた。石灰岩に掘られたマテーラの洞窟住居は有名で、世界遺産に登録されている。バジリカータの人たちは、典型的な山の民族で、寡黙で、疑い深く、なかなかよそ者を受け入れてくれないが、一度友人になると、非常に義理堅く、深い情を持った人たちである。

■経済
農業が重要な産業楽で、小麦、穀物、ブドウ、かんきつ類などが栽培されている。近年パスタ製造などの食品産業も成長している。

■気候風土
山岳地帯が多い州で全体の47%を占め、丘陵地帯が45%で、平野は8%しかない。南側にはカラブリアとの境界となっているポッリーノ山塊があり、最高峰は2,267mに達する。北西部に太古に火山活動していたヴルトゥレ山がある。海岸部では地中海性気候だが、内陸部では大陸性気候で寒い。標高819mに位置する州都ポテンツァはしばしば最低気温を記録する。ヴルトォレ周辺も冷涼な気候だ。

■ワイン生産量
ワイン生産量93,299hℓ(2018年)、ブドウ栽培面積1,952ha(2018年)。ワインの生産量は多くない。

■主要ブドウ品種

[白ブドウ]
Malvasia Bianca di Basilicata マルヴァジア・ビアンカ・ディ・バジリカータ
バジリカータだけで栽培されているアロマティックなマルヴァジア。

Greco グレーコ
イタリア南部の重要な品種でカンパーニア州イルピニア県で広く栽培されているグレーコ・ディトゥーフォとカラブリア州で広く栽培されているグレーコ・ビアンコの2種類に分かれる。

[黒ブドウ]
Aglianico アリアニコ
イタリア南部、特にカンパーニア州、バジリカータ州で栽培されている重要な黒ドウ。色も濃く、タンニンが強い、雄大な赤ワインを生む。

Primitivo プリミティーヴォ
南イタリアで栽培されている早熟な黒ブドウ。
カリフォルニアのジンファンデルと同じ品種。アルコール度数が高く、濃厚な果実味と、ビロードのような味わいを持つ。

■地方料理と食材
[前菜]
Salame Pezzente サラーメ・ペッツェンテ(豚の内臓などを使ったサラミ)
Soppressata ソップレッサータ(粗挽きの豚肉のサラミ)

[魚料理]
Baccalàcon i Peperoni Cruschi バッカラ・コン・イ・ペペローニ・クルスキ(乾燥させた赤トウガラシを茹でた塩漬け鱈と合わせた料理)

[肉料理]
Pignata ピニャータ(羊肉、サラミ、トマト、ジャガイモ、玉ねぎ、赤トウガラシなどを陶器の鍋に入れ、粘土で密封して暖炉で煮る伝統的料理)

[チーズ]
Pecorino di Filiano ペコリーノ・ディ・フィリアーノ(D.O.P.、羊乳、半加熱圧搾)
Caciocavallo Silano カチョカヴァッロ・シラーノ(D.O.P.、牛乳、パスタフィラータ、洋ナシ形)

■土壌
ヴルトゥレ地区は火山性土壌南部は石灰土壌

■気候
ヴルトゥレは大陸性気候で夜は温度が下がる。南は地中海性気候で暑い。

■主要なD.O.P.(D.O.C.G。)ワイン
Aglianico del Vulture Superiore アリアニコ・デル・ヴルトゥレ・スペリオーレより厳しい規則を持つスペリォーレは2010年にD.O.C.G.に昇格した。


■主要なD.O.P.(D.O.C。)ワイン

Aglianico del Vulture アリアニコ・デル・ヴルトゥレ南部を代表する偉大な赤ワインの一つ。死火山ヴルトゥレ山の麓の標高200〜700mの丘陵地帯で栽培されているアリアニコは晩熟な品種。気候が冷涼なこともあり、収穫は遅く、11月になることも珍しくない。しっかりとした酸とタンニンを持つ、堅固で厳格なワインだが、味わいはみずみずしく、ミネラル分に溢れている。生産地区の西側にあるリオネーロ村、バリーレ村周辺の畑は標高550〜700mと高く、気候も冷涼である。溶岩が細かくなった土壌で、厳しい味わいのワインが生まれる。生産地区の東側にあるヴェノーザ村からプーリアとの州境にかけての高地は、標高400〜500mで、粘土が混ざる比較的豊かな土壌だ。こちらでは、より直載な果実味を持った親しみやすいアリアニコが生まれる。

Terre dell'Alta Val d'Agri テッレ・デッラルタ・ヴァル・ダグリ
ポテンツァ県でメルロ、カベルネソーヴィニヨンをベースに造られるワイン。

Matera マテーラ
マテーラ県でマルヴァジア・ビアンカなを使って白を、サンジョヴェーゼ、カベルネ・ソーヴィニヨン、マルヴァジア・ネーラ・ディ・バジリカータ、プリミティーヴォなどで赤を造る呼称。

Grottino di Roccanova グロッティーノ・ディ・ロッカノーヴァ
ポテンツァ県の白、赤、ロゼの呼称。

[バジリカータ州の主要D.O.P.]
Aglianico del Vulture Superiore D.O.C.G. アリアニコ・デル・ヴルトゥレ・スペリオーレD.O.C.G.
Aglianico del Vulture D.O.C. アリアニコ・デル・ヴルトゥレ D.O.C.
Grottino di Roccanova D.O.C. グロッティーノ・ディ・ロッカローヴァ D.O.C.
Matera D.O.C. マテーラ D.O.C.
Terre dell'Alta Val d'Agri D.O.C. テッレ・デッラルタ・ヴァル・ダグリ D.O.C.


■Basilicataの食とワイン

Basilicata「キリストはエボリにとどまりぬ」というレーヴィの小説がこの州の特徴を表している。カンパーニア州南端の都市エボリまでしか、キリストは福音をもたらさなかった。つまりバジリカータ州に幸いは届かなかったという意味である。古代はエノートリアの一部であったが、山岳地帯46.9%、丘陵地帯45.1%、平野8%という不利な地形に加えて、文明の入り口である海岸線は短く、湿地帯でマラリアの発生地であった。しかし内陸では古代から豚肉の加工技術が発達していて、今では北イタリア全体で広まっているルカニカ(もしくはルガーネガ)というサルスィッチャの原点がこの地であるとされる。この名前はバジリカータの旧名ルカーニアに由来し、古代ローマのアピーチョ(アピシウス)の料理書にも登場していることから、イタリアの加工肉全体に影響を与えたことが分かる。山の中に孤立した州ではあるが、それゆえに粉状にして調味料として使用するセニーゼのペペローネや硬質小麦を使ったマテーラのパンなど、他にはない食材が延々と受け継がれている。貧しさゆえに自州のアビールが出来ないでいたが、国の経済補助と共に工業化が進みつつあるので、新しい食材が発見される可能性がある。


■バジリカータ州のブドウ品種

[フィアーノ]
カンパーニア州、ブーリア州、バジリカータ州、シチリア州、サルデーニャ州などで栽培される白ブドウ。ギリシャからペラスゴイ人の移民によってもたらされたそうだ。古くはアービと呼ばれており、最初にもたらされた地とされるカンパーニアのアピア(現在のラビオ)に由来する説、甘いブドウにたくさんの蜂(アービ)が群がることからそのように呼ばれるようになったという説もある。12世紀には、プーリアのアンジュー王家により広く栽培され、13世紀にはシチリア王フェデリコ2世にも愛されたとのこと。彼のワイン発注書の中に、この品種が初めてフィアーノという名前で登場した。一時減少傾向にあったが、1970年代、アントニオ・マストロベラルディーノが歴史的な品種を守る提唱をし、絶減から救った。

[アリアニコ]
カンパーニア州(アヴェッリーノ、ベネヴェント)、バジリカータ州(ポテンツァ、マテーラ)、ラツィオ州、プーリア州、カラブリア州で栽培される黒ブドウ。ブドウの形状をみると、タブルノ(大きめの岐肩、中程度の着粒)、ヴルトゥレ(コンパクトな岐肩、小さめの果粒でやや密な着粒)、タウラージ(他の2つのタイプに比べ長さ、幅ともに小さく、密な着粒)、大きく3つのタイプに分類できる。紀元前6〜7世紀頃、ギリシャ移民によってティレニア海からもたらされたといわれ、古くはヘレーニコ(ギリシャの意)と呼ばれていた。古代ローマ時代、ホラティウスが称賛したカンパーニアのワイン「ファレルノ」はアリアニコ品種であったと伝えられている。現在も南イタリアでは最も尊敬されている品種であり、長期熟成可能な偉大なワインが造られている。参考文献土着品種で知るイタリアワイン(中川原まゆみ著/ガイアブックス)


■歴史の流れが読み取れる
Lagane e ceci ラーガネ・エ・チェーチ(ラーガネ・エ・チェーチ)
歴史を感じさせる料理である。紀元前8世紀、古代ギリシャ人によって初めてイタリアにもたらされたパスタをラガヌムと呼んでいた。その名称がイタリア語化したのがラーガネだ。合わせたチェーチ=エジプト豆も、レンズ豆と共に古代から使われていた。食材を見るといつの時代から作られていたのかうかがえるイタリア料理だが、この二つから起源の古いものだということが分かる。その後アメリカ大陸発見によって入って来たインゲン豆が使われる「ラーガネ・エ・ファジョーリ」というヴァリエーションも生まれた。唐辛子もその頃から加わった物だろう。

作り方
エジプト豆をたっぷりの水で茹でる。セモリナ粉で生地を作ってのばし、ラーガネの形、つまり幅広のタリアテッレのように切って、少し乾かしておく。フライバパンにラードと唐辛子を入れ、ゆっくりと加熱して香りを移す。ボウルにアルデンテに茄でたラーガネ、エジプト豆、ラードを合わせる。習慣的にチーズは加えない。

■野菜を揚げるのが特徴
Ciammotta チャンモッタ(チャンモッタ)
チャンボッタとも呼ばれる、方言が名称となった料理で、南仏から南イタリア全体に広がっている野菜の煮込みである。郷土料理にはその土地の季節の食材が使われるので、ペペローネやナス、トマトから夏の料理だということが分かる。南仏のラタトゥーユなど他の地方と違うのは野菜類を揚げているという点にあり、これは南イタリアを占領していたアラブ人の調理の影響ではないかと思われる。よくシチリアのカポナータと比べられるが、カポナータはナスが主体であり、シチリア西部ではワインビネガーと砂糖で味をつけた甘酢風味になっている。

作り方
切ったナスに塩をし、1時間ほど置く。切ったペペローニとジャガイモを用意し、すべてをオリーヴ油で揚げる。鍋にニンニクとオリーヴ油を入れ、ゆっくりと加熱してソッフリットを作り、野菜を入れてから、皮をむいて種を除いたトマトを加えて1時間ほど煮込み、最後に塩で味を調える。

■素焼きの壷が肉を柔らかくする
Pignata di pecora ピニャータ・ディ・ペーコラ(羊のピニャータ)
「ピニャータ」とは、現地で使われる素焼きのロ広の壷である。この中に材料を入れ薪釜の端に長時間於いて加熱し、間接加熱によって材料を柔らかく調理する。他にもこれを使って煮た豆は特別の味わいになるという。一般的にイタリアでは仔羊を使うが、料理名から見ると大人の雌羊を使っているのが分かる。これは大人の羊の味を好んだのではなく、おそらく子供を産み終えて固くなった肉質のものを、柔らかく食べるためのクチーナ・ポーヴェラ(庶民料理)の料理だったと思われる。サラミや唐辛子は味付けや臭い消しの役割を果たしていたのだろう。

作り方
羊の肉を同じ大きさに切る。ジャガイモの皮をむき、等分する。タマネギとセロリを薄切りにし、皮をむいて種を除いたトマトを粗く切る。全てをテラコッタの鍋に入れ、粗く刻んだソプレッサーダ(今回はヴェネト産のものを使用)、唐辛子少々、塩と水を合わせ、生地作った蓋をして、オーブンに入れる。

参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier

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