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【Wine ワイン】2019 Il Sarone


南、中部イタリアのマルチリージョンブレンド

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■Producer (生産者)
⁃ MGM Mondo del Vino

■Region / Country(地域 / 生産国)
⁃ Italy

■Variety (葡萄品種)
⁃ Negro Amaro
⁃ Primitivo
⁃ Montepluciano
⁃ Nero d'Avora

■Pairing (ペアリング) 

■生産地概要
Italy イタリア

■プロフィール
 イタリアはヨーロッパ大陸南部にあり、アルプス山脈の南側から地中海に突き出した長靴型のイタリア半島とシチリア島、サルデーニャ島などの島々からなる。 総面積30.1万 km²で、日本の約80%に当たるが、人口は6,000万人強なので、人口密度は日本と比べるとずいぶん低い。
 北側をアルプス山脈に守られ、残り三方を地中海に囲まれたイタリアは、温暖な気候で、日照にも恵まれて、ブドウの生育期にはほとんど雨が降らない。まさにブドウ栽培には理想的な環境で、古代からワイン造りが盛んで、古代ギリシャ人が「エノトリア・テルス」(ワインの大地)と讃(たた)えたことは良く知られている。
 イタリアワインの最大の特徴は「多様性」 である。 南北に 長く延びた国土の地形は変化に富み、 山岳、 丘陵地帯が 多いために標高、 傾斜なども異なる。 気候、 土壌も多様で、 栽培されているブドウ品種、栽培方法なども地方ごとに大き く異なる。 1861年まで統一国家でなかったために、それぞれ に地方の文化、歴史が大きく異なっていることも、 ワインに対 する感受性、 アプローチの違いとして表れている。 これらの 変数の多さが原因で、イタリアには特徴の異なるタイプのワ インが数多く生まれているのだ。
 ヨーロッパの他のワイン生産国と同様に、ピーク期と比べると生産量は減少したが、近年は下げ止まり、栽培面積も生産量も安定している。2020年の場合、 ワイン用ブドウ栽培面積は651,078ha、ワインの生産量は49,908,499hℓとフランス、スペインとともに世界の三大生産国の一角を占めている。

■2020 ヴィンテージ情報
 2020年の生産量は2019年とほぼ同じだった。 2019年11 月、12月に大量に雨が降り、土中に水分が保持された。 冬は温暖で雨が少なかったが、3月に一度温度が急激に下がり、一部霜被害が出た。4月、5月は温暖で生育サイクルは早めだったが、6月にかなり雨が降ったのでほぼ例年並みに戻った。夏は暑く、乾燥していた。8月末に雨が降り、地域によってはかなりの雹害(ひょうがい)が出た。 9月前半はおおむね良好で、 昼夜の温度差もしっかりとあり、良質のアロマが形成された。 9月20日以降はかなり雨が降ったので、その影響がワインの出来を左右するだろう。


■歴史
古代
 イタリアでは原始的なワイン造りはすでに紀元前2000年 以上前から行われていたが、 本格的なブドウ栽培を伝えた のはギリシャ人とエトルリア人である。
 紀元前8世紀からイタリア南部のシチリア、 カラブリア、 プーリアなどを植民地化したギリシャ人は、今日でも栽培さ れている多くのブドウ品種 (グレーコ、グレカニコ、アリアニコ など)を持ち込むと同時に、優れた栽培法、醸造技術を持ち込んだ。今日のアルベレッロの原型となった低い一株仕 立ての栽培法もギリシャ人が普及させたものである。
 ポー河以南からローマ北部に至るまでイタリア中部の広い範囲を支配していたエトルリア人は、起源がいまだに分からない神秘的な民族だが、建築製鉄などの高い技術をもち、紀元前8世紀から1世紀にわたり洗練された文明を繁 栄させた。 エトルリア人も本格的な栽培、 醸造技術をもっていたが、彼らの栽培方法は、ギリシャとは全く異なり、他の樹木にブドウの蔦(つた)を絡ませるマリタータと呼ばれる方法で、20世紀の初めまでウンブリア州などで見ることができた。エトルリ ア人は通商に優れた民族で地中海の広い範囲でワインの 通商を行っていた。
 ワイン文化も発展し、ヴェルギリウス、ホラティウスなど多くの詩人がワインを讃えている。 大プリニウスの有名な「博物誌」にもブドウ、ワインについての詳細な記述があるが、 それが具体的にどのようなワインであったかは想像に頼るしかな い。 どちらにしても今日のワインとは全く異なるもので、甘口が多く、スパイス、ハーブ、蜂蜜、松脂、海の水などを加えて飲まれることが多かった。
 当時人気があったワインとしてはFalernum ファレルヌム (カンパーニア州の今日のD.O.C. Falerno del Massico 地域で造られていた)、 Caecubum カエクブム(ラツィオの海岸地帯で造られていた)Mamertinum マメルティスム (シチリアの今日のD.O.C. Mamertino di Milazzoの原型) などが知られている。
 ワインの通商も盛んで、アンフォラに詰めて船で地中海全域に運ばれた。 北ヨーロッパでは木樽の使用も始まっていた。
 古代ローマの美食へのこだわりも強いものがあり、 美食家 アピキウスの 「料理書」、軍人であったルキウス・リキニウス・ ルクッルスの美食ぶりなどにそれがよく表れている。 ペトロニ ウスによって書かれたとされる小説「サテュリコン」の著名なトリマルキオの饗宴(きょうえん)のシーンの豪華な食事は絢爛(けんらん)かつ退廃的な食文化を伝えてくれている。

中世
 中世のワイン文化を支えたのが修道院である。中世の知識と技術の独占をしていた修道院では徐々に高品質のワインが造られるようになった。ただ、この時代のワインは信仰のためと薬用が中心であった。
 中世も末期になると、経済も発展し、ワインが庶民レベルにも普及した。農民でも品質はともかく、ワインを飲む習慣が根付き、ワインは食事の一部と考えられるようになり、それは現在まで続いている。

近世・近代・現代
 近世に入るとワインついての興味深い言及がみられるようになってくる。16世紀の歴史家、地理学者であると同時にローマ教皇パウルス3世のワイン担当者でもあったサンテランチェリオはソムリエの先駆けのような人で、モンテプルチャーノのワインを褒める言葉などを残している。16世紀末の医者哲学者で作家であったアンドレア・バッチはワインの薬用を示した著作をしたためている。17世紀末に医者、自然学者で詩人でもあったフランチェスコ・レーディの詩集「トスカーナのバッカス」 はワインについての言及が多くある。
 1716年にトスカーナ大公コジモ3世が Chianti キアンティ、Pomino ポミーノ、Carmignano カルミニャーノ、 Val d'Arno di Sopra ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラの生産地の線引きを行ったが、これは原産地呼称制度の最初の例で、これらの産地のワインがこの時代に既に高く評価されていたことが分かる。
 いくつもの国家に分かれていたイタリアはサヴォイア王家のもと1861年にイアリア統一を遂げ、近代国家イタリア王国が誕生する。その前後にイタリアワイン界にも品質向上への動きが出てくる。
 1863年に始まったヨーロッパのフィロキセラ禍によりフランスなどのワイン産地が壊滅的打撃を受けると、 極端なワイン不足に陥った欧州は、フィロキセラ禍にまだ襲われていなかったイタリアに殺到した。 多くのワイン商がイタリアから大量のバルクワインを購入し、イタリアワイン界は好景気に沸いた。
 20世紀に入ると今度はフィロキセラがイタリアの畑を襲い始めた。第一次世界大戦に大きな犠牲を払って勝利したにもかかわらず、大した成果を得られなかったイタリアは景気が悪化して、 ブドウ栽培で充分な生活ができずに、大都市や外国に働きに出る農民が増えた。そのためにフィロキセラで壊滅的な被害を受けたイタリアのブドウ畑は見捨てられ、荒廃した。残念ながらこの時代に多くの固有品種が失われ、長年の伝統も忘れ去られてしまった。
 大きく事態が動き始めたのは、1970年代末から意欲的な生産者の一団が、 従来の 「安くてそれなりに美味しいワイン」 という範疇(はんちゅう)から抜け出して、世界に通用する高品質ワインを生産しようとし始めてからである。 Antinori アンティノーリ 、Gaja ガイアなどが自発的に進めたイタリアワインの急速な近代化は、 後にイタリアワイン・ルネッサンスと呼ばれる動きとなって行く。具体的には畑での密植、摘房、低収穫量、フランスの最先端の栽培方法、 近代的醸造技術の導入、小樽熟成、外国品種の導入などで、従来の伝統の殻を破った革新的ワインが1980 年代に次々とリリースされ世界の注目を集めた。スーパータスカンが持て囃(はや)されたのもこのころである。 サッシカイア、ラッパリータなどのワインがブラインド試飲でボルドーの著名シャトーを破ったりしたことも、世界の消費者のイタリアワインに対する考え方を変えさせた。イタリアワイン・ルネッサンスには若さ故の行き過ぎや過剰があったことは否めないが、 イタリアワインのイメージを向上させたことだけは確実である。
 今は急速だったイタリアワイン・ルネッサンスへの反動から、固有品種、伝統的栽培・醸造の見直しが盛んに行われている。試行錯誤の中から本当にそれぞれの土地に適した、そこでしか生まれないワインが造られることが期待されている。


■気候風土
 イタリアは北緯35°から47℃の間とかなり北に位置している。首都ローマと函館は北緯41.5°程度で、 イタリア最南端のランペドゥーサ島が東京と同じ北緯35.5°程度であることを考えるといかに北に位置しているかがよく分かる。 それにもかかわらず温暖な気候であるのは、 他の西ヨーロッパ諸国と同じく、北大西洋海流(暖流) の影響によるものである。 北に屏風(びょうぶ)のようにそそり立つアルプス山脈が北からの冷たい風を防ぎ、アフリカからの熱い風が南から吹くことも、気候をより温暖なものにしている。特に中南部は日差しも強く、植物相も「南国的」である。 半島部は典型的な地中海性気候で、 雨は春と秋に集中しているために、ブドウの生育期は乾燥している。
 北はアルプスチロル地方から南はアフリカ近くまで 1,300km近く延びているイタリアには、アルプス気候、 大陸性気候、地中海性気候など非常に多様な気候が存在している。



2015 出典: OIV
[白ブドウ ]
品種名 面積(ha)
Glera グレーラ 26,571
Pinot Grigio ピノ・グリージョ 24,501
Catarratto Bianco Comune カタッラット・ビアンココムーネ 21,392
Trebbiano Toscano トレッビアーノ・トスカーノ 21,321
Chardonnay シャルドネ 20,056
Trebbiano Romagnolo トレッビアーノ・ロマニョーロ 15,112
Moscato Bianco モスカート・ビアンコ 12,456
Catarratto Bianco Lucido カタッラット・ビアンコ・ルチド 10,830
Garganega ガルガネガ 9,702
Grillo グリッロ 6,576
Malvasia Bianca di Candia マルヴァジア・ビアンカ・ディ・カンディア 5,990
Vermentino ヴェルメンティーノ 5,625
Ansonica アンソニカ 5,415
Grecanico Dorato グレカニコ・ドラート 3,725
Verdicchio Bianco ヴェルディッキオ・ビアンコ 3,213

[黒ブドウ]
品種名 面積(ha)
Sangiovese サンジョヴェーゼ 53,865
Montepulciano モンテプルチアーノ 27,434
Merlot メルロ 23,631
Barbera バルベーラ 18,431
Negroamaro ネグロアマーロ 17,504
Primitivo プリミティーヴォ 16,321
Calabrese カラブレーゼ 15,274
Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン 13,258
Aglianico アリアニコ 9,947
Corvina Veronese コルヴィーナ・ヴェロネーゼ 6,695
Syrah シラー 6,333
Cannonau カンノナウ 6,128
Nebbiolo ネッビオーロ 6,047
Dolcetto ドルチェット 5,453
Croatina クロアティーナ 5,258




























2015 出典: OIV

[白ブドウ ]
品種名/面積(ha)

Glera グレーラ/26,571

Pinot Grigio ピノ・グリージョ/24,501

Catarratto Bianco Comune カタッラット・ビアンココムーネ/21,392

Trebbiano Toscano トレッビアーノ・トスカーノ/21,321

Chardonnay シャルドネ/20,056

Trebbiano Romagnolo トレッビアーノ・ロマニョーロ/15,112

Moscato Bianco モスカート・ビアンコ/12,456

Catarratto Bianco Lucido カタッラット・ビアンコ・ルチド/10,830

Garganega ガルガネガ/9,702

Grillo グリッロ/6,576

Malvasia Bianca di Candia マルヴァジア・ビアンカ・ディ・カンディア/5,990

Vermentino ヴェルメンティーノ/5,625

Ansonica アンソニカ/5,415

Grecanico Dorato グレカニコ・ドラート/3,725

Verdicchio Bianco ヴェルディッキオ・ビアンコ/3,213

[黒ブドウ]
品種名/面積(ha)

Sangiovese サンジョヴェーゼ/53,865

Montepulciano モンテプルチアーノ/27,434

Merlot メルロ/23,631

Barbera バルベーラ/18,431

Negroamaro ネグロアマーロ/17,504

Primitivo プリミティーヴォ/16,321

Calabrese カラブレーゼ/15,274

Cabernet Sauvignon カベルネ・ソーヴィニヨン/13,258

Aglianico アリアニコ/9,947

Corvina Veronese コルヴィーナ・ヴェロネーゼ/6,695

Syrah シラー/6,333

Cannonau カンノナウ/6,128

Nebbiolo ネッビオーロ/6,047

Dolcetto ドルチェット/5,453

Croatina クロアティーナ/5,258


















地形
 北側にはアルプス山脈が東西に延び、 フランス、スイス、 オーストリアとの国境となっている。 その南にはプレアルプス、丘陵地帯が続き、さらに南にはポー平野が広がっている。 ポー平野が終わるあたりから、今度は地中海にイタリア半島が突き出ている。 最大の特徴はイタリア半島の真ん中を アペニン山脈が貫いていることで、そのことにより東のアドリア 海側と西のティレニア海側の気候が全く異なるものとなる。また、ただでも東西の幅が狭いイタリア半島 (最大で240km) の真ん中に山脈があることにより、 地形は海から平野、そしてすぐに丘陵地帯、山岳地帯と目まぐるしく変化する。それにより狭い範囲に非常に多様なテロワールが生まれるのである。イタリア全体では、山岳地帯が35.2%、丘陵地帯が41.6%、平野部が23.2%と非常に平野が少ないことが分かる。 海岸線は約7,500kmと長く、リグリア海、ティレニア海、アドリア海、イオニア海、シチリア海峡などそれぞれの海が独自の影響を気候に与える。

土壤
 ブドウ産地は石灰質土壌のところが多いが、砂、粘土などの割合は地方により異なる。火山性土壌が多いのもイタリアの特徴で、ソアーヴェ、タウラージ、エトナなどはその代表である。 北イタリアの氷河湖の南には氷堆石(ひょうたいせき)土壌が広がっている(フランチャコル、タルガーナ、バルドリーノなど)。 サルデーニャ島はイタリア半島より古い土地で、ガッルーラは花崗岩(かこうがん)土壌である。 ヨーロッパの他の国と比べると距離が短く急な河川が多いことも、土壌の変化に富んでいる原因の 1つである。

主なブドウ品種 
 中央アジアのコーカサス原産のヴィティス・ヴィニフェラは、ギリシャを経て、 イタリア南部に伝わり、そこからイタリア半島を北上して、ヨーロッパ各地に伝播(でんぱ)していった。その過程で、イタリア半島には多くの固有品種が残り、今でも貴重な財産となっている。
 政府公認ブドウ品種のうち、栽培面積の大きいものは例年、黒ブドウではSangiovese サンジョヴェーゼ, Montepulciano モンテプルチャーノ、 Merlot、 メルロ、Barbera バルベーラ、 白ブドウではプロセッコ人気を反映してGlera グレーラがトップで、 Pinot Grigio ピノ・グリージョ, Catarratto Bianco Comune カタラット・ビアンコ・コムーネ、 Trebbiano Toscano トレッビアーノ・トスカーノ, Chardonnay シャルドネと続く。


■栽培方法
 イタリアでは栽培方法も実に多様である。それぞれの地方が独自の栽培文化をもっていた。ただ、1960年代に当時急増していたワイン需要にこたえるために大規模な改植が行われたときに、多くの地方が機械化しやすい垣根式の仕立て法に植え替えた。1980年代のイタリアワイン・ルネッサンス期にはha当たり1万本近い密植の試みなども行われたが、フランスと違って雨が少なく暑い気候にイタリアには余り適していないことも分かってきて、近年はha当たり5,000~6,000 本の植樹が主流となってきている。 一時は大量生産の象徴とされ蔑視(べっし)されていたテンドーネやペルゴラなどの棚仕立ても、近年の温暖化現象の中で、その良さ(ブドウの葉が、房を直射日光から守る。 アルコール度数が高くなりすぎないなど) が見直されてきている。
 イタリアでは長い間、経験を重視したブドウ栽培が行われてきたため、固有品種のクローン選抜、台木、栽培方法などの研究が遅れていた。1980年代から各地でこれらの研究が進められ、特に新しく選抜されたクローンは目覚ましい成果を出している。
 1960年代に大量生産向けに植樹された畑が、時代にマッチした高品質を目指したクローンや植樹法で次々に改植されつつある。これらの畑の樹齢が高くなったときには、イタリアワイン全体のさらなる品質向上が期待される。


■ワイン法と品質分類
1. ワイン法の歴史
 イタリアにおけるワインの法的規制のはしりはトスカーナ大公国のコジモ3世が1716年に自国の著名なワインを保護するためにChianti キアンティ、Carmignano カルミニャーノ, Pomino ポミーノ、Val d'Arno di Sopra ヴァル・ダルノ・ディ・ソプラのワイン生産地の線引きをして、その範囲の外でのこ れらのワインの名の使用を禁じたことである。その後、19世紀には醸造業者たちによってキアンティ・ワインの産地が定められ、20世紀には1920年代にBarolo バローロなどのワイン産地の指定が行われるなど、個々のワインについての原産地呼称制度への動きはあったが、国全体としての統一的な立法はなされなかった。
 1963年に政府はイタリアでは最初の原産地呼称法として 「ワイン用ブドウ果汁とワインの原産地呼称保護のための 「規則」を公布し、この法律の中でワインは、ブドウの収量、ワインの収量、アルコール度などが厳しく制約された、より上級なワインに許される 「統制原産地呼称」 (Denominazione di Origine Controllata, 略してD.O.C.)、さらに制約が厳しく、 出荷に際して国の検査を必要とするワインに与えられる 「統制保証原産地呼称」 (Denominazione di Origine Controllatae Garantita、略してD.O.C.G.) に格付けされることになった。

2.品質分類
 イタリアでは、2008年のEU新ワイン規則 (Regolamento 479/08) に合わせて改正した新しいイタリアワイン法 (D.Leg 61/2010) 2010年5月から施行されていて、それによりイタリアワインは管理されている。

(ワインの格付け)
 現在EU ワイン規則では、ワインの格付けは次の3段階になっている。 上から「保護原産地呼称ワイン」(Vino a Denominazione di Origine Protetta, 略して D.O.P.)、「保護地理表示ワイン」(Vinoa Indicazione Geografica Protetta、略してI.G.P.)、「ヴィーノ」(Vino) で前の2者は 地理 (産地) 表示を伴うもので、 その呼称が公式に認定されているもの。 後のものは地理表示のないものである。なお、D.O.P. ワインは2009年7月までのD.O.C.G., D.O.C. ワインに、I.G.P. は I.G.T.に、 Vino ヴィーノ はVino da Tavola ヴィーノ・ダ・ターヴォラに代わるものである。 IG.P. は 「ワインの85%以上がその土地で造られたもので 「ある」と定義されている。
 EUレベルでは、 D.O.P., I.G.P. Vinoの3カテゴリーになるわけであるが、イタリアワインに関しては従来通りの D.O.C.G., D.O.C.、I.G.T.などの表示も認められている。

3.個別の規定
 弱発泡性のヴィーノ・フリッツァンテ (Vino Frizzante) のガス圧は20℃で1~2.5バール。 消費に供する際の既得ア ルコール度は7%以上でなければならない。 またリキュールタイプのワインのヴィーノ・リクオローゾ (Vino Liquoroso) に ついても、総体アルコール度 17.5%以上、 既得アルコール 度15%以上、 22%以下と定められている。
 ヴィーノ・ノヴェッロ (Vino Novello) に関しては単独の立法で、 1.ヴィーノ・ノヴェッロはD.O.P.(D.O.C.G., D.O.C.) ワインとI.G.T. にのみ認められる、 2.醸造期間は醸造開始後10日以内でなければならない、3.炭酸ガス浸漬法 (Macerazione Carbonica、略してMC法)で造られたワインが40%以上含まれていなければならない、 4.消費に供するときに総体アルコール度11%以上、残存糖分は10g/ℓを 超えてはならない、5.ブドウを収穫した年の12月31日までに瓶詰めしなくてはならない、6.瓶のラベルにブドウの収穫年を記載しなくてはならない、7.10月30日零時1分より前に消費に供してはならない、などと定められている。

■特殊ワイン及びその他
 ワインは一般ワイン (Vino Normale) と特殊ワイン(Vino Speciale) に分けられるが、 ブドウを最も一般的な方法で発酵させて造るのが一般ワインで、発泡性ワイン、リキュールタイプのワイン、アロマ付きの香味ワイン/混成ワイン(Vino Aromatizzato) は特殊ワインである。白ワインに薬草を混合して造る混成ワインの中ではニガヨモギなどの生薬を混入したピエモンテ州のVermut di Torino ヴェルムート・ディ・トリノがベルモットとして有名。辛口と甘口があり、辛口は食前酒 (Aperitivo)、甘口は食後酒 (Digestivo) として飲まれている。また、ワインではないが、カンパーニア州のソレント半島とその周辺でレモンの皮で造るリキュールのリモンチェッロ (Limoncello) やブドウの搾り粕(かす)を原料にした蒸留酒のグラッパ (Grappa) などは人気があり、後者は原料ブドウの香りが強く、樽で熟成したものは豊かな香りの中に甘味を感じさせる。

グラッパ
 ブドウの絞り粕 (ヴィナッチャ)を固形蒸留したイタリア独自の蒸留酒。イタリアだけがこの名称を使用することができ る。イタリア北部 (ヴェネト、フリウリ、トレンティーノ、ピエモン テ) で伝統的に飲まれてきた蒸留酒だが、1980年代以降に著名ワインのグラッパがトスカーナを中心にブームになったのに伴い、生産、消費とも全国に広がった。樽熟成をしな い透明なグラッパ(グラッパ・ビアンカ) が伝統的だが、 最近は長期樽熟成をした複雑なグラッパも人気が高い。

ヴィン・サント
 イタリア中部 (トスカーナ、 ウンブリア)を中心に造られる陰干しワイン。 マルヴァジア・ビアンカ、トレッビアーノなどの白ブドウを陰干し (2~5ヵ月)してから、カラテッリと呼ばれる小樽で発酵熟成させる。 ヴィンサンタイアと呼ばれる屋根裏部屋で発酵熟成させるため、夏は暑く、冬は寒いといった環境 で3~10年ほど熟成する。 カラテッリの上に少し空間を空け ておくので、緩やかに酸化しながら熟成して、複雑なワインとなる。 黒ブドウ (サンジョヴェーゼなど)で造られたものはオッ キオ・ディ・ベルニーチェと呼ばれる。

参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier  

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