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【Wine ワイン】Casale Vecchio Montepulciano d'Abruzzo 2017

【Wine ワイン】Casale Vecchio Montepulciano d'Abruzzo 2017

ファルネーゼのモダン・モンテプルチアーノ!
相変わらずインパクトも強いが、樹齢も上がって奥深さも出てきた。


https://a.r10.to/hzIqr7

■Producer (生産者)
Farnese

■Country / Region (生産国 / 地域)
Montepuluciano / Italy

■Variety (葡萄品種)
Montepulciano 100%

■Pairing (ペアリング)

[前菜]
Mortadella di Campotosto モルタデッラ・ディ・カンポトスト(真ん中に四角柱形のラードが入っているサラミ)

Ventricina ヴェントリチーナ(胡椒とオレンジの皮で味付けされたキエーティ県の豚肉のサラミ)

[パスタ]
Maccheroni alla Chitarra マッケローニ・アッラ・キタッラ(鉄線を張ったギターのような機械でカットする角の立ったパスタを牛、豚、羊のミックスしたミートソースで和えた料理)

[魚料理]
Brodetto di Pesce alla Pescarese ブロデット・ディ・ペッシェ・アッラ・ペスカレーゼ(ペスカーラ風魚介のスープ)

[肉料理]
Porchetta ポルケッタ(豚の丸焼き。他州と違って子豚ではなく大きな豚を使用するのがアブルッツォ流で、昔はローマ法王庁が注文するほど人気があった)

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Abruzzo アブルッツォ州

■プロフィール
イタリア半島中部に位置するアブルッツォ州は、北はマルケ州、西はラツィオ州、南はモリーゼ州に接している。アブルッツォは東のアドリア海と西のアペニン山脈に挟まれていて、その間に丘陵地帯が広がっているが、それは州土の34%にあたる。残りの65%が山岳地帯で、平野はわずか1%しかない。山岳が多いこともあり人口密度は低く、「人間よりも羊の方が多い」とよく揶揄される州だ。アドリア海から内陸に入るとすぐに丘陵地帯となり、30〜50kmで山岳地帯となるため、ほとんどのブドウ畑は海と山の両方の影響を受ける。地中海性の温暖な気候と、日当たりのよい丘陵地帯でブドウはすくすくと育ち、山からの冷涼な風により良質のアロマが形成される。非常に恵まれた州で、それほど努力しなくてもそれなりに良いブドウが栽培できるため、長年にわたり質より量を重視したブドウ栽培が行われてきた。Montepulciano d'Abruzzo モンテプルチャーノ・ダブルッツォはしっかりとした果実味を持つ濃厚な赤ワインで、かなりの量を生産しても、薄いワインにはならない。少し前までは州外にバルクワインとして大量に売られ、イタリア北中部のワインの補強に使われていた。今は品質も向上して、それぞれの地区の特徴も徐々に明らかになってきている。モンテプルチャーノで造られるロゼワイン、Cerasuolo d'Abruzzo チェラスオーロ・ダブルッツォは、チェリーのアロマとスパイシーさを持つワインで、スパイスを効かした地元料理と絶妙にマッチする。Trebbiano d'Abruzzo トレッビアーノ・ダブルッツォはフレッシュで爽やかなワインで、海岸地帯で魚料理と合わせて消費されているが、比較的シンプルな個性のものが多い。最近は固有品種であるペコリーノやパッセリーナで造られた白ワインにも注目が集まっている。

■歴史
アブルッツォの地元民族は、激しい抵抗の末に、古代ローマの同盟となった。ゲルマン大移動後は、スポレート公国、ノルマンの支配を経て、ナポリ王国の領土となり、1860年にイタリア王国に統一された。

■文化
アブルッツォは中央イタリアに位置しているが、歴史的にも文化的にも南部に近い。やや閉鎖的だが、素朴で、地元に誇りを持っている、親切な人が多い。

■経済
経済の発展が非常に遅れていて、戦前までは最も貧しい州の一つで、多くの移民がドイツ、スイス、ベルギーなどに出て行った。1960年代以降、首都ローマとアブルッツォを結ぶ高速道路が完成したこともあり、経済が順調に成長して、今日では工業化が進んでいる。農業も重要で、果実、野菜、ブドウ、オリーヴなどの栽培が盛んである。羊の放牧も非常に重要で、昔はTransumanza トランスマンツァと呼ばれる移動放牧が盛んで、季節の風物詩であった。アドリア海の漁業も盛んである。近年は観光業も伸びていて、スキー、海水浴と多くのヴァカンス客が押し寄せる。

■気候風土
西のアペニン山脈と東のアドリア海に挟まれた帯に、南北に丘陵地帯が伸びている。アブルッツォのアペニン山脈は非常に高く、グラン・サッソ山塊のコルノ・グランデの2,912mはアペニン山脈最高峰で、マイエッラ山塊のモンテ・アマーロも2,793mと高い。丘陵地帯は粘土石灰質士壌が中心で、ブドウ、オリーヴが栽培されている。129kmに及ぶ海岸線は北の方では砂浜が多く、海水浴向きだが、南の方は野生的な自然が残されている。地中海性気候で、夏は暑く乾燥していて、冬は温暖で雨が多い。内陸部に入ると標高も高くなり、気候は冷涼になる。

■ワイン生産量
ワイン生産量3,309,833hℓ(2018年)、ブドウ栽培面積32,187ha(2018年)。赤ワインの生産量が62%である。

■主要ブドウ品種

[白ブドウ]
Trebbiano Abruzzese トレッビアーノ・アブルッツェーゼ
アブルッツォ州で広く栽培されているトレッビアーノ。軽くて爽やかな白ワインを生む。

Pecorino ペコリーノ
マルケ州とアブルッツォ州で栽培されている白ブドウ。酸が堅固な力強いワインを生む。

Passerina パッセリーナ
マルケ州とアブルッツォ州で栽培されている白ブドウ。柑橘類やトロピカルフルーツを感じさせる華やかな香りとフレッシュな飲み口を持つ白ワインを生む。

Trebbiano Toscano トレッビアーノ・トスカーノ
フレッシュな早飲みのワインに適した白ブドウ。生産量が多いので、1960年代に大量に植樹された。ヴィンサントにも使用される。

[黒ブドウ]
Montepulciano モンテプルチャーノ
アブルッツォ州、マルケ州、ウンブリア州、プーリア州で栽培されている中部イタリアで最も重要な黒ブドウの一つ。濃厚でアルコール度数も高い、カ強い赤ワインを生む。

■地方料理と食材

[前菜]
Mortadella di Campotosto モルタデッラ・ディ・カンポトスト(真ん中に四角柱形のラードが入っているサラミ)

Ventricina ヴェントリチーナ(胡椒とオレンジの皮で味付けされたキエーティ県の豚肉のサラミ)

[パスタ]
Maccheroni alla Chitarra マッケローニ・アッラ・キタッラ(鉄線を張ったギターのような機械でカットする角の立ったパスタを牛、豚、羊のミックスしたミートソースで和えた料理)

[魚料理]
Brodetto di Pesce alla Pescarese ブロデット・ディ・ペッシェ・アッラ・ペスカレーゼ(ペスカーラ風魚介のスープ)

[肉料理]
Porchetta ポルケッタ(豚の丸焼き。他州と違って子豚ではなく大きな豚を使用するのがアブルッツォ流で、昔はローマ法王庁が注文するほど人気があった)

Pecora alla Cottora ペーコラ・アッラ・コットーラ(大きな銅鍋でスパイスとハーブを効かせて長時間煮込む羊肉料理)

[食材]
Zafferano ザッフェラーノ(アブルッツォのサフラン。イタリアで最も高品質で有名だが、州が貧しかったため他州に販売されていたので、地元料理に使用されることはあまりない)

■土壌
石灰岩、粘土、砂が混ざる。

■気候
地中海性気候で温暖。アぺニン山脈に近いところは冷涼。

■主要なD.O.P.(D.O.C.G.)ワイン

Montepulciano d'Abruzzo Colline Teramane モンテプルチャーノ・ダブルッツォー・コッリーネ・テラマーネ
全州で造られるモンテプルチャーノの中でもテラモ丘陵地帯で造られる力強いモンテプルチャーノは2003年にD.O.C.G.に昇格した。

■主要なD.O.P.(D.O.C.)ワイン

Montepulciano d'Abruzzo モンテプルチャーノ・ダブルッツォ
モンテプルチャーノはしっかりとした果実味があり、喜ばしいワインだが、タンニンも豊富なので、注意深く抽出しないと、攻撃的なワインになってしまう恐れがある。シンプルでフルーティーな早飲みのワインから、長期熟成能力を持つ複雑なワインまで、様々なタイプのワインができることも魅力である。テラモ県のモンテプルチャーノは、凝縮感があり濃厚で長期熟成向きなことで知られていたが、ペスカーラ県ではロレート・アプルティーノの美しい丘陵地帯で造られる調和の取れた優美なモンテプルチャーノが造られている。キエーティ県は大量生産で有名だったが、昼夜の温度差が激しいマイエッラ山塊近くの産地では、凝縮感のある雄大なモンテプルチャーノも生まれている。アクイラ県はフレッシュなチェラスオーロで知られるが、近年は厳格なモンテプルチャーノでも注目されている。

Trebbiano d'Abruzzo トレッビアーノ・ダブルッツォ
軽めで爽やかで比較的シンプルな白ワイン。

[アブルッツォ州の主要D.O.P.]
Controguerra D.O.C.コントログエッラ D.O.C.
Montepulciano d'Abruzzo D.O.C.モンテプルチャーノ・ダブルッツォD.O.C.
Montepulciano d'Abruzzo Colline Teramane D.O.C.G.モンテプルチャーノ・ダブルッツォ・コッリーネ・テラマーネD.O.C.G.
Trebbiano d'Abruzzo D.O.C.トレッビアーノ・ダブルッツォD.O.C.
Terre Tollesi / Tullum D.O.C.テッレ・トッレージ/トゥッルムD.O.C.


■Abruzzoの食とワイン

Abruzzoイタリア半島の背骨アペニン山脈の中でも最も高い山のあるアブルッツォ州は、風光明婿な国立公園がある観光地として有名であるが、山岳地帯65.1%、丘陵地帯34.9%、平野0%という厳しい地形のため、ここに住む人々の生業は古代からもっぱら羊を飼うことであった。そのためこの地の肉料理はほとんどが仔羊肉を使用し、ほかの土地ではあまりない内臓料理や羊のサラミも見かけられる。羊乳チーズと共に、羊と共に生きてきた人たちの生み出した文化である。イタリア料理の理解のためのキーワードにニンニクと唐辛子の存在がある。ニンニクの使用量は南に多く北に行くほど少なくなり、一方の唐辛子はどこでも栽培できるため、南でも特に調味料を使えない貧しい地方で重宝されていた。この二つはアブルッツォ料理でも欠かすことのできないもので、少ない食材で最大限のおいしさを引き出したクチーナ・ポーヴェラの傑作「アリオ・オリオ・エ・ペペロンチーノ」は、この地の生まれだとされている。近年になって農業開発が進み、ニンジンやカリフラワー、セロリの生産がイタリア市場のかなりの部分を占め豊かにはなったが、それでもこの州の基本はやはり羊飼いの生活を基盤としたシンプルな料理である。


■アブルッツォ州のブドウ品種

[トレッビアーノ・ダブルッツォ]
アブルッツォ州、プーリア州、ラツィオ州、マルケ州、エミリア・ロマーニャ州で栽培される白ブドウ。別名、ボンビーノ・ビアンコ、パガデビットなど。起源については、イベリア半島から持ち込まれたとされる説、カンパーニアのカセルタが起源とされるTrebulanumがアブルッツォに辿り着いたという説があるが、不明。19世紀にはローマ郊外で多く栽培されていたそうだ。ブドウ品種学者Molonは1906年に、トレッビアーノ・ダブルッツォとトレッビアーノ・カンボレーゼ(粒がやや大きい)について記した。以前はドイツにブレンド用として多く輸出されていた。滑らかでバランスのとれたワインとなるが、やや個性に乏しい。(土着品種で知るイタリアワイン)別文献によると、この品種はアブルッツォ州とそれに接する限られた地域のみで栽培され、アブルッツォ州で栽培される全トレッビアーノ種の僅か20%であり、トレッビアーノ・トスカーノやボンビーノ・ビアンコと混同されているということだ。(Vitigni d'Italia)

[ココッチオーラ]
起源は不明であるが、1909年に出版されたViala e Vermorelではアブルッツォで盛んに栽培されてたと記されている。その多くはアブルッツォ州、特にキエーティ県で栽培され、一部プーリア州北部でも栽培される。トレッビアーノにブレンドされることが多いが、最近は単一品種でマーケットに出てきている。フルーティーでフローラルな早飲みタイプのワインに造られることが多い。(Vitigni d "Italia)

[ペコリーノ]
マルケ州、アブルッツォ州で栽培される白ブドウ。名前の起源については、羊(Pecora)がその実を好んで食べていたこと、アぺニン山脈に住む羊飼いがチーズを町に売りに行く際にペコリーノの苗木も売って歩いたなど、諸説ある。1980年代のワインブームの際にはより多産の品種に改植されてしまい消滅しかけたが、近年はそのポテンシャルが見直され、注目され盛り返してきた。熟した果実とスパイスのアロマを持つしっかりしたボディの白ワインを生む。

[モンテプルチャーノ]
アブルッツォ州、マルケ州、モリーゼ州、プーリア州で栽培される黒ブドウ。起源はアブルッツォのトッレ・デパッセリまたはべリーニャ盆地周辺とされる。20世紀初頭、アブルッツォ州とマルケ州南部に広がったようだ。16世紀半ば、ローマ法王パオロ3世の御用醸造家サンテランチェリオは、Bottiglia di Papa(法王のボトル)なるワインを、トスカーナのモンテプルチャーノ村で収穫・醸造していた。このワインのボトルにはモンテプルチャーノと表記されていたが、中身はサンジョヴェーゼだった。このことが原因で長い間の混乱を招いた。中期熟成に向く品種で、ロゼワインも多く造られる。(土着品種で知るイタリアワイン)参考文献:土着品種で知るイタリアワイン(中川原まゆみ著/ガイアブックス)Vitigni d'ltalia(Slow Food Editore)


■豚脂を加えた冬に喜ばれるズッパ
Zuppa di lenticchie abruzzese ズッパ・ディ・レンティッキエ・アブルッツェーゼ(アブルッツォ風レンズ豆のズッパ)
レンズ豆はエジプト豆と共に5000年以上前から食べられていた豆で、イタリアでは中南部でよく使われている。山の荒地でも育ち、粒は小さいが、その方がおいしいというので中部アペニン山脈では特産品としてよく栽培されている。栗は高地で育つので、小麦の育たない地域で人々を飢えから救った食材である。収穫されると粉にしてパスタを作る地方もある。豚脂はラルドと呼ばれ、豚の背脂を塩漬けしたもの。このズッパは、これらの秋から冬の食材を暖炉でコトコトと煮込んで作った冬の料理である。ちなみに日本のようなラードはストゥルットと呼ぶ。

作り方
前夜から水に浸しておいたレンズ豆を、月桂樹を入れた水から茹でる。油と香草の葉を入れた鍋に、小さく切った栗と豚脂を入れ、豚脂がキツネ色になったら、水に溶いたトマトソースを注ぎ、塩、コショウする。レンズ豆に火が通ったら、茄で汁と共に鍋に入れる。熱したオリーヴ油でパンの切り身を揚げ、それぞれの深皿に並べて、その上にレンズ豆のズッパを注ぐ。

■アブルッツォの定番パスタと定番ラグーのコラボ
Maccheroni alla chitarra al ragùdi agnello e peperoni マッケローニ・アッラ・キタッラ・アル・ラグー・ディ・アニェッロ・エ・ペペローニ(キッタッラの仔羊とペペローニのラグー和え)
キタッラは、四角い箱に何本もの針金を通したもので、生地をその上に乗せ、麺棒で押さえて断面が四角いパスタをつくる道具である。何本もの針金を張った形がギターの弦に似ているというので、ギターのイタリア名キタッラと名付けられた。パスタ名は「キタッラ風のマッケローニ」。この場合のマッケローニはパスタという意味である。多くのリチェッタでセモリナ粉と卵で作るとあるが、アブルッツォはちょうど軟質小麦と硬質小麦の地理的生産分布の境目で、時に軟質小麦を使った物もある。ラグーはアブルッツォらしく仔羊肉を使っている。

作り方
鍋にオリーヴ油、ニンニクと月桂樹の葉を入れて火にかけ、細かく切った仔羊肉を加える。ワインを注ぎ、アルコール分が蒸発したら、粗く切ったトマトを入れてしばらく煮込み、最後にせん切りにしたペペローニを入れて2時間ほど煮る。セモリナ粉と卵で生地を作り、キタッラを使って切る。塩をしたたっぷりの湯でパスタを茹で、ラグーと和える。

■暖炉でゆっくりと煮上げる
Agnello brodettato アニェッロ・ブロデッタート (仔羊のブロデッタート)
アブルッツォの数多い仔羊料理のひとつ。このような煮込み料理は、暖炉を使う冬によく作られる。春に生まれる仔羊はその頃には成長して肉が固くなるが、長時間煮込むために柔らかく仕上がる。またあまり部位を選ばず、脂の多い肩ロースや固いすね肉でも充分に美味しいものが出来上がる。「ブロデッタート」は「ブロードで煮た」という意味で、濃いソースに仕上げるところから出ているのだろう。最後にレモン果汁と卵黄でトロミをつけて仕上げるが、この方法は他の地方の料理にもあり、ふつう「フリカッセーア」とも呼ばれる。

作り方
ラードと粗みじんの生ハム、タマネギの薄切りを入れた大き目の鍋を火にかけて低温で妙め、コショウをしてナツメグーつまみで香りをつける。切った仔羊に、たっぷりと粉をし、ソッフリットの中で妙めてからブロードを注いで、2時間ほど煮込む。肉を取り出して、煮汁にレモン汁と卵黄を合わせたものを混ぜる。肉にそのソースを渡してかける。

参考資料 日本ソムリエ協会教本、隔月刊誌Sommelier

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