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副業(ダブルワーク)と時間の使い方

ここ1、2年のトレンドワードに「副業解禁」がある。ニュアンスは違うが、非正規雇用で働く現場には「ダブルワーク」で働いているという人も当たり前にいる。

自分自身もフリーランス、業務委託、非正規、日雇い、取っ払いという、扱いはその都度異なるが、いずれも不安定な状態での仕事をもう何年も続けていて、サバイバルライフといえば聞こえはいいが、現実は明日のメシをどうするか、財布の中の硬貨(!)の数を数えて暮らす日々が続くことがある。そんな暮らしでは昼間は定時の仕事をして、夕方からネットで古本屋をやったりとダブルワークのようなことをすることも多い。それなりに忙しく、充実しているような気がするが、こと収入に関してはなかなか「ダブル」という訳にはいかない。

副業といっても、本業を持つ人が別の仕事に充てるまとまった時間を確保することは難しい。無理して昼夜とダブルワークしてみても体力が続かない。ほとんどの人は複数の仕事にチャレンジしてみても、なかなかうまくいかないのが現実ではないか。

1日は24時間しかない。これは万人に共通だ。8時間働いて、8時間休み、残り8時間を自分の時間として過ごす。おそらく現代人の平均的なライフスタイルはこんな感じだろう。そのなかにさらに副業分の労働時間を組み込んで、たとえば16時間働いて、4時間休み、4時間を自分の時間にする。こういうやり方では無理があるのは当然だ。

いまの副業、ダブルワークの考え方は、この平面的な時間の捉え方がベースになっている。「あなた自身の時間に関してはとやかく言わないので、好きにしてください。その代わりこっちの仕事に穴は空けないでね。」という意味での副業解禁なのだ。この考え方がベースにある限り、副業はうまくいかない。複数の仕事は出来るかもしれないが、劇的な成果をあげることは難しい。当たり前だが1日の時間には限りがあるからだ。

副業解禁で私たち自身が目指すものは何か?いまの日本では夢のような言葉かもしれないが、それは経済活動における個人の生産性の向上だ。個人の時間当たりの成果(収入)を劇的に上げることが必要なのだ。そのために必須なのは「時間を畳む」という考え方である。簡単にいえば「ながら」仕事を増やすこと。一つの仕事時間の上にもう一つの仕事を重ねる。複数の仕事を同じ時間軸の上に配置し、同じ時間の中で複数の収入を生み出せるような働き方をする。マルチタスクである。そのようにして時間を畳み、副業を重ねていくことで指数関数的に時間あたりの成果(収入)を伸ばすことができる。それが本当の意味で価値のある副業だ。

現在の平面的な時間の中では副業を成功させることは難しい。しかしこの立体的な時間の捉え方は、企業・雇用側に、労働に対する根本的なパラダイムシフトを要求する。副業解禁を声高に謳いながら、自社での仕事中にこうした働き方を容認する企業が果たしてあるだろうか?データもないのでなんとも言えないが、まだまだ相当に難しいのではないか。

副業によって収入を増やそうと考える人は、そもそも自分の本業が副業に適しているかどうか?という根本から見直す必要があるように思う。

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