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元マーチャンダイザーの備忘録-MDの基本は販売計画-

現在はフリーランスのWEBライターとして活動しておりますが、以前小売店や商社などの企業に属しているときには、主に家具や雑貨のマーチャンダイザー(MD)として従事していました。

ワタシがMDとして活動していたころから、ビジネス環境、情報の環境、ツールなどがどんどんアップデートされ、便利になっていると思いますが、基本的なところは変わらないと思い、その業務の基本について備忘録を作っておきたいと思います。

これが、必要な方に届けばと思います。

そもそもマーチャンダイザーってなんぞや!?

マーチャンダイザー(Merchandiser)とは、企業が実施する、商品計画をコントロールする人のことを言います。分かりにくいですね...。

世の中で販売されている商品を、どこでいくつ作り、いつ、いくらで販売し、どれくらいの売上げ、利益を獲得するのか。その時の在庫はどのようになっているのか。商品の販売をするためにどのようにプロモーションするのか、といった「商品を販売するために行う、企業の行動のすべてをコントロールする人」がマーチャンダイザー(以下MD)です。

商品の作り手である工場やメーカー、流通会社、倉庫、売り手と、商品を販売する流れの中で、すべてのポジションの人と、円滑にコミュニケーションをとることが必要とされるのがMDの仕事です。

いつの時代も基本は「販売計画」

時代の変化により、ツールや方法、考え方など様々なことが変化してきていることは重々認識しておりますが、MDが商品を販売していくうえで、最も基本とすべきものは、いつの時代でも「販売計画」です。

何が売れているのか、何が今後売れるのかというマーケティングをもとに、いつ、どの商品を売り、それによっていくらの売り上げと利益を得るのか、その際のコストはいくらか。

そうしたことを考えるための基本になるものが「販売計画」です。

作り方は、簡単に言うと以下の4段階なのですが、これが結構難しい。

1:年間の売上、利益、仕入、在庫、コスト計画を立てる
2:1を期毎や月毎に落とし込む(業種によってはシーズン毎)
3:販売するアイテム数、型数など詳細を決め、期毎のアイテム毎の販売計画を出す
4:商品毎に、計画に基づいた発注、生産、物流、プロモーション計画を出し、期毎の金の流れを明確にする。

書くのは簡単。行うは難し。計画に付随する様々なコストなども加味する必要があるので、ハードルはさらに上がります。

例えば「在庫」については、販売計画を実行、クリアしていくために、以下の各事項も織り込まなくてはなりません。

・消化率は?(いくつ仕入れて、いくつ販売されたか)
・在庫がなくなるまでの期間は?(在庫消化期間)
・減価償却費?(日を追うごとに目減りする商品の価値)
・消化を促進するために発生するコストはいくらか?
 (セール、商品移動物流費など)
・倉庫保管費用は?

こうした加味すべきことが様々あるので、そのハードルの高さが分かるのではないでしょうか。

ただ、計画がないまま商品計画を進めてしまうと、企業の売上や利益が安定しなかったり、不要なものを仕入過ぎてしまったり、在庫がとてつもなく膨らんでしまったりといったことにつながります。企業が倒産してしまう危険さえあります。

そうしたことがないように、あらかじめ「販売計画」を立てるのです。
様々なことがアップデートした今日においても、企業が商品を販売している限り、「販売計画」はMDの基本であると言っても過言ではありません。

計画通りに進められる人の2つの資質

MDが「販売計画」通りに進める必要があるということ。それをクリアしていくのが、とても難しいことであるということがお分かりいただけたと思います。

ホンネでは、「未来のことなんて、絶対当てられない!分かるわけないじゃん!」と思っているMDもいるかもしれません。

ただ、約15年MDをやってきて、この高いハードルを越えていく人を何人も見てきました。

ここでは、そうした方々が持っている共通の資質について、少し触れたいと思います。

【資質①:クヨクヨしない/思いっきりがよい】

成功した(計画をクリアする)MDに共通している特徴が、「あまり過去を振り返らず、常に前向きでガツガツ。」というのがあります。

失敗した(売れなかった)商品は、反省し速やかに退場させていきますが、失敗にクヨクヨせず、どんどん新しいものにチャレンジし、トライアンドエラーを繰り返します。

市場の動向に対して、どん欲に情報収集をします。

当然トライした数が多いと、ヒットも多くなるので、最終的にはリターン(売上や利益)が多くなり、当初の販売計画以上の結果を出せるというわけです。

【資質②:数字の大局を見れる】

販売計画は、細かい数字の積み上げで成り立っている計画なので、細かく見ようと思えば、いくらでも細かく見ることができます。

例:アイテム別日別の売上、利益、在庫計画を検証。
(※数字が細かすぎて、この数字を見ても、期毎、年間の販売計画をクリアするための施策は出てきません。)

販売計画をクリアできる人は、商品ごとの計画はあまり気にせず、月毎、カテゴリー毎など、ある程度大きな進捗の数字を見て、施策を打っていきます。

そもそも計画の時点でも、しっかり計画を作りこまず、ある程度大雑把に決めている節さえあります。

かつての上司に言われた言葉で、今でも覚えている言葉があるのですが、

「販売計画をずっと見ていると、必要な数字が浮かび上がってくる」

です。

計画には、その数字にのみ対応すれば、クリアできるという数字があり、計画を深く見ていくと、その抑えるべきポイントが分かってくるということなのですが、販売計画をクリアするMDは、大体その感度がとてもよかったと思います。

まとめ

あらかじめ未来の計画を立て、それをクリアするために動いていくMDのシゴトですが、決まっていない未来を自らの策でクリアしていけるという楽しみがあると思います。

そうしたMDの行動のベースにあるのが販売計画であることは、いつの時代でも変わりません。

フリーランスになった今でも、計画にコミットしていくことはとても大切なので、MD時代に学んだことを備忘録として残した次第です。

今後MDの業務の一部である、商品開発などについても備忘録を作成できればと思います。

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