手紙ヒコーキ:紙飛行機でささやかなやり取りをするだけの話
たまに散歩をするのですが、途中に古びた病院があります。僕はその病院についてよく知りません。名前すら気に掛けたこともありません。
その日も病院の前を通りかかると、道端に紙飛行機が落ちていました。鮮やかな水色のそれを拾ってみると、折り込まれたところに文字の端っこが見えました。開くと几帳面な字で、「はやく家に帰りたい。いちごタルトが食べたい。病院飽きた。遊びたい」と書いてありました。病院を見上げると3階の窓が開いていて、そこからまた紙飛行機が飛び出して、風に乗って遠くへ飛んでい