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九州北部いろいろ巡礼旅行2023年夏の記録【前篇】~一宮と三柱神社、νガンダム~

今夏の旅行の記憶を私的な記録のためにまとめておきたい。すでに記憶が揮発しているので写真が頼りだ。


出発まで

長崎にいる友人に会いに行くという口実で久しぶりに札幌を出て旅をしたらおもしろかろうと、旅の数か月前に思いついた。ついでにライフワークの一の宮参りをして、御朱印を集めることもできる。九州は日本民族の神話的な故地なので足を踏み入れてみたかったという事情もある。

日程:2023/08/24(木) -  08/31(木)
目的地:札幌→福岡→久留米→佐賀→柳川→長崎→雲仙→熊本→福岡→札幌
目当て:友人との邂逅、一の宮参り、西国無双の立花宗茂公の国である柳川市を訪問する。

「九州北部巡礼の旅」というすばらしいアイディアを形にするべく、安い航空チケットを予約したらこの日程になった。航空チケットの相場が旅のスケジュールのテンプレートを左右する。
家族に旅行のことを伝えたら、この猛暑のさなかにわざわざ南国に行く男の気が知れないという顔をされた。本記事の執筆時点ではすでに喉元を過ぎたが、2023年の夏は例年に勝るとも劣らぬ猛暑で日本中がうなされていた。

08/24(木)一日目 札幌-新千歳空港-福岡空港-福岡市


福岡に到着後に最初に撮った写真。
持参の扇子がさっそく活躍した。

新千歳空港で飛行機に乗って、二時間半後の13:10に福岡空港に着いた。チケット代はたったの1万80円である。これだけで札幌から九州まで来れるなら、もっと前に来るべきだったかもしれない。人類の文明はすばらしい。

初日は福岡市内の一宮とガンダムパーク福岡を訪問してから、博多駅の近くのカプセルホテルに宿泊する。福岡空港に着くなり、地下鉄で博多駅へ、そしてJRに搭乗して、筑前国一宮『筥崎宮』に参拝した。

筑前国一宮『筥崎宮』


福岡市内にある、二社の一宮の一社。

晴朗な天気が陽気をいざなってくれて、想像通りの南国九州の土を踏んだ感慨があった。

日に焼けた敷石と木漏れ日のコラボレーションがいい。
「敵国降伏」の文字をみて、昨今のウクライナ戦争を思い出した。

噂に名高い「敵國降伏」の額が、蒙古襲来の故事は現世のことなりしと、迷いこんだストレンジャーを威かすように教えてくれた。ここは史跡なのだ。もちろん、わたしは事前に下調べなどしていなかったので「ああ、ココがアレなのか」と心の中で知ったかぶりをした。

こんなに青天が眩しい日に初日の参拝ができた今回の旅は恵まれている。

社務所に御朱印帳を預けてから参拝した。なにを祈ったかは覚えていないが、「敵國降伏」以外のことだろう。

こういう屈折した字体は好きだ。

博多駅にもどって、福岡の名物博多ラーメンを食べるためにラーメン屋に入った。

博多ラーメンの店に入ったが…
ラーメン屋くらい、少しは調べておけばよかったかも。問題はなかったが。

妙に窮屈に仕切られたブースで食わせられたが、コロナのせいだろうか。並んだ割にはラーメンのことを覚えていない。博多ラーメンは札幌でも食べられるし。ふう。

筑前国一宮住吉神社

食後は、博多駅から徒歩で、筑前国一宮住吉神社に行った。駐車場から入ったような記憶がある。街中にあっても、閑静で落ち着いた境内だった。

小さい社がたくさんあって、賽銭用の小銭が足りない。
程よくひと気があった。
うつくしい。最後の画で主張する字体。

社務所で小判を買った。高かった気がするが、旅は財布のひもを緩める。「これ小判 たった一晩 いてくれろ」とぼやいた故人の分まで大切にするつもりである。

住吉神社福分小判。鯉が龍神になる図を意匠にしているらしい。

ららぽーと福岡等身大νガンダム参拝

その後は、ららぽーと福岡にある等身大νガンダムに参拝するために、博多駅から徒歩でららぽーとへ向った。地図では近そうにみえたが、実際に歩くとやはり大変だった。土地勘のないところで徒歩の移動をするのは賢明でないが、異郷を自分の足で探査するのも観光だと自分に言い聞かせた。

博多駅からららぽーとへ行く道中のどこか。
この看板が見えたらもうすぐだ!

ガンダムのまわりにはたくさん人がいて、おなじように見上げていた。都市のモニュメントとして圧倒的な存在感を発揮している。札幌にも等身大のモビルスーツが欲しい(個人的にはエルガイムを希望したい気持ちもあるが)。

νガンダムは白と黒だと記憶しているのでνガンダムに見えないが、
迫力は十分である。
ビームライフルか?わからん。

ららぽーとの中でアイスを買って暑さに耐えながら、夜の演出をすべて拝ませてもらった。ああ、逆シャアで百年先の日本人も身が震える体験をしているのだろうか…札幌にも早くガンダムを(そればっかり)。

こんなところで逆シャアを見るためにわざわざ札幌から来たのだ。
右腕が上がった。シャアの球を握るように。

08/25(金)二日目 福岡市-久留米市-佐賀市

早朝から、電車で久留米市へと発った。今日は三社も回らねばならない、今旅行の難所だった。

久留米駅でバスに乗って、肥前一宮の千栗八幡宮にむかった。

久留米市もかなり発展した都市に見えた。西日本は北東北よりも栄えている都市がはるかに多いと聞いていたとおりである。

肥前国一宮千栗八幡宮

バスが少なくて帰りに困りそうなところまで来た。
旧国幣小社。肥前一宮千栗八幡宮。
"ちりく"と読むので注意。

長い石段があって、神社モノのノベルゲームでよくみる風景そのものだった。神社の気骨を感じる。

上った先にはきっと、美少女の巫女さんが…
嗚呼、このわびとさびが堪らない。質実剛健なお社だ。
ご神木もたくましい。

帰りのバスがすぐに来るので、ご朱印をもらったら足早に立ち去らざるを得なかったのが申し訳なかった。どうして参拝者のゆとりを考慮してダイヤを組んでくれないんだ!?

ほかの御朱印よりも字が小さい。御朱印まで質素なのか。

筑後国一宮高良大社


久留米駅にもどって、今度は筑後国一宮高良大社に行く。「こうらたいしゃ」と読むそうだが、「たからたいしゃ」と読みたくなる。久留米大学前駅で降りて徒歩で向ったが、これが大冒険になった。

最初の鳥居。ここからが長かった。
道中でもっと写真を撮っておけばよかった。
写真がないと、なにがあったか説明することができない。
この鳥居から山登りパートが始まる。
こんな野趣がある石段を上った。
ぬかりなく持ってきた登山用の杖が威力を発揮した。
四本足は二本足に勝る。
何度言っても足りないが、この夏は日本中がまれにみる猛暑におそわれていた。
登りきったときにはこの千冬ちゃんみたいに座り込んだ…

俺も車で来たかったよ。運転免許は何年も前に失効してるけど。ふだん車に乗る必要がないから、失効した免許はほったらかしになっている。

甲羅大社。癖がない字体に品格がある。

帰りは、来た道をまた徒歩でもどった気がする。交通機関がないところだから仕方がない。飲み物の消費がはかどった。

肥前国一宮與止日女神社


久留米大学前駅からJRで佐賀駅に行った。次は肥前国一宮與止日女神社(よどひめじんじゃ)に参拝する。

佐賀駅とのアクセスは少なめのバスしかないところだった。帰りのバスを逃すと佐賀駅付近のホテルに帰れなくなるおそれもある。
與止日女神社でおりしも開かれる花火大会を見物したかったが、帰りの交通手段が確保できないので見送った。

風格がすごい。
縁日の準備が進んでいた。

社務所のおばちゃんと「北海道から来たんです。この暑いのにわざわざ南国に行くなんてと家族に言われたんですよー、ハハハ」と会話をした。境内に地元の人が集まっている、にぎやかな日に来られてよかった。普段はひっそりしている神社のはずだ。

抹茶かき氷でなごんだ。
神社も御朱印もなんだか可愛い。

余裕があれば佐賀城を見物するつもりだったが、そんな余裕はなかった。
サガシティホテルというカプセルホテルに宿泊した。夕食はバイキング形式だったので、たっぷりと詰込んだ。いやあ、食べ物は量だよ兄貴。

08/26(土)三日目 佐賀市-柳川市-長崎市

佐賀駅でバスに乗って、西鉄柳川駅に降り立った。ここは今回の旅でもっとも重要な巡礼地である、立花宗茂公の故地、柳川藩の柳川市である。

これで宗茂公の事績を学んだ。

生涯不敗、西国無双の英雄である宗茂公の記憶がのこる土地にこられて感無量である。名物の川下りを体験し、三柱神社に参拝して、旧立花大名家の屋敷である御花を観覧しよう。

が、ここでまずはうどん屋に入った。西日本の汁が澄んだうどんが食べたかったのだ。

これはうまかった。こういう雅な料理を毎日食べたい。もしも柳川にまたいけたら、立花うどんを再訪したい。

立花うどんの前の自販機で、大河ドラマのネタとして宗茂公を誘致していた。たぶん朝鮮出兵が難物になるが。

三柱神社

水路を横目に見ながら、宗茂公を祭る三柱神社に向かった。

ついに来ました、三柱神社。戸次道雪公、立花宗茂公、誾千代さまの三人がお祭りされている。西国無双の立花家のファンの聖地たるべきお社である。
気持ちだけ威儀を正して足を踏み入れたら、ガイドのおじさんがやってきて、参道にある曲がった松の写真を撮るようにすすめてきた。

これを教えるためにガイドのおじさんが待ち伏せていた
加藤清正公もいるのが憎い。

いろいろなものが境内にあって、撮影にいとまがなかった。三柱様に会うまで、待たせてくれる。

手水場にはたくさん風鈴が懸かっていた。
涼風に揺られて常にからからと鳴る。
さらにたくさんの風鈴の下をくぐって拝殿へ歩む。
せっかくなら自分も短冊をかけておけばよかった。
拝殿はすぐそこだ。地元企業からの篤い崇敬が伝わる。
『戦国サラリーマン奮闘記』ってなんだ、
と思ったが、宗茂公が登場する新聞小説らしい。

立花公が、道雪公が、あまたの人々がまさにここにいる気がした。生涯無敗の伝説を残した人々の面影がここにある。柳川の人々によって記憶が語り継がれている僥倖に謝したい。

拝殿の中に三柱の肖像画が!誾千代さまがお姫様みたいで違和感があるが。 

この風鈴のゆらめきとさざめきが、立花家の伝説の息吹のようだった。

風鈴だらけで、夏らしい趣向を楽しませてくれた。境内中を見て回ってから、御朱印をもらって御花へ向った。

美しい。

まさかこの神社に参拝できる日がくると信じていなかった。
三柱の神のお導きがあったにちがいない。

柳川名物川下り

三柱神社の近くの船着き場から、柳川名物の川下りを体験する。計画の当初は男一人でこんなものに乗る必要はないとも考えたが、三柱神社から御花へ行く交通手段でもあるので、乗らせてもらうことにした。

自分は進路の先頭に乗った。船頭さんが棒で舟を操って、市街地を走る水路をゆっくりと進む。

船頭とお客さんがかぶっている笠は、数百円でレンタルしてくれる。自分もかぶっていた。

ところどころで鬱蒼としたジャングル観を出してくるが、ふつうの市街地である。船頭さんが一所懸命に「左に見えるのは〇〇です~」などとガイドらしい解説を入れてくれる。

ときおりこういう橋の下をくぐる。客は一斉にかがんで、長い漕ぎ棒を持つ船頭は橋の上にあがって(!)通過する。
ここで一時停止した。
さあ、イチゴアイスでお金を落とそう!

川下りの名物アイスクリーム屋さんが途中であらわれた。商売がうまいのはいいことである。売りのあまおうのアイスクリームを素直にいただいた。

少々小さいけど、甘酸っぱいイチゴ果汁がたっぷりで美味い!

御花(立花伯爵邸)

舟を降りると、そこは御花だった。元柳川藩主の立花伯爵家の邸宅にして今はホテル、料亭、資料館として経営されているスポットである。柳川観光の核だ。

明治に柳川伯爵家の屋敷として建てられた邸宅を観覧した。

入ってすぐのところに、「さげもん」という吊るし物がたくさんあった。柳川の習俗らしいが、三柱神社にあった風鈴もこれか。

ああ、ゴテゴテしていていいなあ…
こういうもので家を埋め尽くしたい願望がある。
伯爵家の所蔵品だろうか。見事なひな人形もあった。

噂の黄金の桃形兜が屋敷の一角の欄間に大量に展示されていた。ここで目を引いたのはこの兜くらいのものだった。

すばらしい。ありし日の輝きを保った状態でみたい気もするが。

煙草の箱で作ったらしい、駕籠のミニチュアのレプリカがあった。柳川たばこ組合の有志の努力に頭が下がる。

鰻のせいろ蒸し


御花を出て、近くにある鰻屋に入った。

柳川の名物らしい鰻のせいろ蒸しを注文した。4000円くらいしたが、値段に比して物足りなかった。
悪くはないが、ものすごく美味いものを食べた感もない。量もぜんぜん足りない。1500円ならこれでも納得できただろうが、一泊分のホテル代のような値段で食べても、正直なところ後悔が残った。

後付けだが、柳川はうどん屋と三柱神社だけでもよかった一日になった。次に来たときには、いらないところを省いてもっといい旅行ができるということである。

そして長崎市へ…

鰻を食べてからバスで西鉄柳川駅にもどり、さらに佐賀駅まで戻って、特急と新幹線で二時間もかからずに長崎駅に到着した。十年前に青春十八きっぷで旅をしたときには考えられなかったスピードである。旅は拙速を聞く。

長崎駅。あちこちが工事中のようだった。

中華街の近くのカプセルホテル『ファーストキャビン長崎』に二十九日まで泊まって、長崎市に三泊四日することになる。続きは次回に書こう。



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