嘘つきと作文
文学少女は、うそつきである。
かつて遠藤周作が「日本うそつきくらぶ会長」を名乗っていたように、得てして文学とは嘘つきだ。
文学少女だった私は、文学的表現を盾にして、嘘を散りばめながら作文を書いていた。それを嘘というのか、誇大表現というのか、見方によって変わるわけだ。
小さな鼻にもかからないような出来事を、崇高な文学へ。
なんでもないように感じていた気持ちを、感動的な逸話へ。
結果として美しく成り立てば、それは芸術なのである。
そういう私が母親になって、子どもたちに言う。
「小指くらいのことを両手いっぱいぐらいのことにしてに書かなきゃ、作文と言えんよ。センセ−は読者なんだから!」
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