盲目になれない理由

最近、私にアプローチしてくれる男性がいる。顔に関して言えばハーフみたいに綺麗な顔をしていて非の打ち所がないと思う。背も平均より高い。ちゃんと働いている。友達が多い陽キャである。

こんな人がこんな私にアプローチしてくれているのに、何がご不満なんだろうか。正直、私じゃなくても相手なんかすぐ見つかると思う。見つかると思うから、もうアプローチしてこないで下さいと思っている。

なんでこんなに気持ちが冷めているのか、恋が始まらないのか、ちゃんと言語化すれば理由がわかる気がした。とにかくひたすらに、胸が高鳴らないのだ。相手自体を悪く言わない程度に、あくまで言動や私の気持ちにフォーカスして書いてみることにした。

まず一番嫌なのが、「付き合ってないのに付き合ってるかのように振る舞ってくる」というのがある。例えば、彼はよく「◯◯は俺の女だから」と言ってくる。
…どういうつもりでそういうことを言うのか、本気で理解できない。好きな人に言われてもキツい。好きでもない人に言われて思うことはただ一つ、私はお前の女じゃないー。「俺」「の」「女」、全ての単語が嫌である。
私はこういう、付き合ってないのに彼氏ヅラしてくる系がとにかく苦手だ。ただご飯食べに行っただけなのに「デート」とか言う。隣を歩いてたら触れようとしてくる。初対面でやたら恋バナを仕掛け、「俺はアリか」探ってくる。
本気でやってるなら小学校からやり直してこいと思うし、本気じゃないなら何のためにやってるの？あなたは何をされてる方なの？ってため息が出る。
男は追いたい、女は追いかけられたいとか言うけど、女だって「釣った感」が欲しいのだ。そういうアプローチは、釣りにも行ってないのに玄関開けたら生魚がピチピチ跳ねてるみたいな気持ち悪さと同じだ。

そしてもう一つ思うのは、彼のサービス精神というか、ギブが少ないと感じる。要するに、会っても私のメリットがあんまりないと思ってしまう。

胸が高鳴っていないにしても、例えば私の話に興味持ってたくさん聞いてくれるとか、逆にちゃんと自己開示してくれるとか、気遣いや優しさを見せてくれるとか、嫌われないように振る舞うとか、私の行きたいところに連れてってくれるとか、とにかく私の求めているものを考え、与えようとしてくれるようなペルソナを装ってくれていると感じたら、徐々に好感は抱くと思う。

というか、私だったらそうする。別に恋してなくたって、人と会うならなるべく「こいつと会って良かったな」と思って帰ってもらいたいと思う。実際思ってもらってるかはさておき、好きな相手だったら尚更、もうできる限り魅力的に映るように振る舞う。
そういうあらゆるサービス精神を、彼に対して感じたことがない。人は鏡だから、もしかしたら私の方が足りてないだけなのかもしれないけどね。

そういった理由で、全く恋ははじまらない。本気で好かれてない、バカにしてるだけならそれでもいいので、もう全部厳しいから全部やめて欲しい。しんどい仕事の合間にLINEを開いて、好きでもない人から来た「俺かっこいい？」の文字列を見た私の疲労感とかを、一瞬でもいいので想像してほしい。

彼に言ったらもしかしたら変わってくれるのかもしれないけど、99%の確率で変わらないと思う、私じゃ変えることはできないと思う。過去の経験からしか言えないけど、男性が指摘されたことを変えてくれるのは最初のうちだけだ。
欠点も含めてそのままの君が好きって言ってくれる人を見つけた方が早い。恋愛って、そんなものだから。

おしまい