No1『両利きの組織をつくる』
脱皮できない蛇は死ぬ。
今必要な組織経営論
「成功の罠」とは、目の前のことで精いっぱいで、新しいことには手が出せないこと。組織としてこれまで慣れ親しんだやり方を変えることができないこと。これまで成功してきた組織には、「慣性の力」がはたらくという運命。過去の経営環境に過剰適応してしまった結果、環境が激変する局面では適応できず、衰退する法則。特に大手成熟企業に多く見られる現象。PDCAサイクルをベースとした効率性の追求という罠にはまるケースが多い。
本当に組織を変えるつもりなら、まず組織の何を変えるのかゴール・イメージを持つ必要がある。
組織論と戦略論の両面からの「組織経営論」による深い洞察と実行力が必要。存在目的のために「戦略論」があり、その戦略を実行するために「組織論」(何のために、何を、どうやるのか)があるためだ。両方をバラバラに語っても意味がない。組織能力とは、組織内の人のつながり方、機能の組み合わせによって生まれる、組織の実行力のことである。
組織が進化するためのステップ
1) 自社の存在目的を再定義する(組織アイデンティティ)
2) どの領域で自社は生き残るのかを見極める(戦略的ポジショニング・位置取り)
3) それをどう実現するのかを決める(実行するやり方)
上記を実行するために「両利きの経営」が必要。
① すでに持っている強み(ブランド力・技術力・生産能力・顧客ベース・販売チャネル・人材等)を軸足として生かしつつ、「守りの経営」
② 新たな事業領域の探索「攻めの経営」
これらを実現するためには、組織カルチャー等が邪魔をするので、以下3点が必要。
① 既存事業を深堀する
② 新しい事業機会の探索
③ 相矛盾する2つの能力を併存させる
組織カルチャーとは、ある組織内で想定されている(期待されている)「仕事のやり方」であり、「仕事に対する姿勢」のこと。
経営者にとって、これはSocial controlの機能をもつ。経営者がその気になれば変えることができるものであり、組織カルチャーこそが最も真似されにくい競争力の源泉である。
変革とは、経営者によるトップダウンとミドル・若手からのボトムアップがミートするところで起きる。
① 経営者が新しい経営のメッセージを提示
② トップのメッセージに一部の若手・ミドルが反応し、具体的な行動が生まれる
③ 経営者は自らのメッセージを体現している人を探しだし、スポットライトを当てる
④ 組織内で新しい行動事例が共有され、周りに波及し、新しい行動パターンが定着する。
■既存事業:深堀に適した能力(いわれたことを確実にやり遂げる)
■新規事業:探索に適した能力(失敗を恐れずに様々なアイディアを試して学習していく。とりあえずやってみないと始まらない。)
※異なる組織能力を持った組織は互いに対立しうるし、カニバライゼーション(共食い)もありうる
これから2つの相矛盾する組織能力を併存させる組織能力。
各々の能力形成を可能とする組織カルチャー(仕事のやりかた)をマネジメントすることが重要。
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