見出し画像

人生をプロトタイプする、というすゝめ

転職、起業、独立、移住、結婚…
大きな決断をする時って、すっごく悩む。いや、そこまで大きな決断じゃなくても、悩むものは悩む。行動しなきゃって思ってても、一歩目を踏み出すのに、躊躇しちゃう。
そんなときにお勧めしたいのが「人生のプロトタイプ」という考え方です。かつては頭でばかり考えてしまっていた私にとって、一気にガラガラガラッと壁が崩れて視界が開けるような、根底から生き方を変えられるような発見だったので、皆さんにも是非知ってもらいたいと思ってまとめてみました。

***

先日、スタンフォードMBAに応募したときのエッセイを公開したのですが、悩みながらもオープンにした理由は、「ゴールは仮置きでいい」ということをお伝えしたかったからでした。

私の場合、数年前に描いていた「英語教育を改革したい」というゴールが、MBAやその後のキャリアの中でどんどん形を変えていった。でもだからといって、教育関連の活動をしてみたことは無駄だとはまったく思わなかった。むしろ、前進できたという感覚でした。

ゴールは仮置きでも全然いいんだ。そんなことを、「キャリアゴールをみつけなきゃ」とプレッシャーを感じている方々にお届けしたかったわけです。(そのnoteはこちら

ただ、その記事ではあまり触れられていないもう一つの重要ポイントがあって。それが今回紹介する「プロトタイプ」という考え方なのです。

留学当初仮置きしていた英語教育というゴールが「違うかも」と思うようになった理由や、その後、英語教育からは程遠いランサーズ株式会社への転職に至った理由。それは、「人生のプロトタイプ」をたくさん繰り返した結果だったのです。

…と、言われても、ピンとこないという方がほとんどだと思います。
まずは、そもそもプロトタイプって何よ?というところからお話していきますね。

プロトタイプってそもそも何?

プロトタイプは、日本語訳的には「試作品」です。
それ自体は特に新しい言葉ではないのですが、ここでいうプロトタイプは、「モノ」というよりもどちらかというと「考え方」に近い。
シリコンバレーを発端とする「デザイン思考」や「アジャイルイノベーション」などといったコンセプトを説明するうえで欠かせないマインドセットです。

一言でいえば、完璧な計画をたてるよりもまずは小さく行動し、改善を繰り返していくことが重要だ、という考え方。

例えば、車を作るとき。ありがちなのは、まずは設計図を作り、部品を一つずつ用意し、設計図通りに組み立てていく、というパターン。

でも、もし設計図に欠陥があったら?それがそもそもユーザーが求めているものではなかったとしたら?それに気づけるのは、最終工程が終わってからなんです。相当なタイムロスですよね。

画像1

それに対して、「プロトタイプ」の考え方というのは、とにかく小さく動いて試行錯誤を繰り返すという進め方です。
達成したいゴール(=車)に対して、まず一番簡単で、低コストで、小さいステップで何かを作るとしたら何?というのを考えてみる。

まずはタイヤを二つ板でつなげてみたらどうだろう。
でもそうすると安定しないから、ハンドルを付けてみよう。
それだとスピードが出ないから、足でこげる形の自転車にしてみよう。
もっと早く行きたいからエンジンをつけてみよう。
もっと安定感が欲しいから4輪にしてボディを付けてみよう。

画像2

そんな感じで、試しに何かを作ってみる→試す→改善→試す→改善、を繰り返していくのです。

これこそが「プロトタイプ」思考。ポイントは、何かを作ったら、実際にユーザーにぶつけてみて、改善すべきことを見つけているということ。それがあるから、スピード感をもって、より良いものを作れる、というわけです。

プロトタイプという考え方に興味を持っていただいた方はこちらの動画を、最初の3分だけでも良いので是非見てみてください!(日本語字幕付き)

でも、「人生」をプロトタイプするって…?

ここで、本題に入っていきます。(いつも前置きが長くてすいませんw)

冒頭にお伝えした通り、留学当初、私は「日本の英語教育を改革したい」というゴールを設定していました。そしてそのゴールに近づくためにできることはやってやろうと、気合十分でスタンフォードでの留学をスタートしたわけです。

ただ…「英語教育の改革」っていっても、それを実現する手段ってたくさんあるよね。じゃあ、自分が本当にやりたい仕事って何だろう?自分に合っている仕事って何だろう?

そんな風に迷っていた私に、スタンフォードが教えてくれたこと。それは、とにかく行動せよ、ということでした。色んな場に足を運んで、色んな人の話を聞いて、色んな体験をしてみれば、きっと何かが見えてくる、と。

そこで、「教育」というキーワードをもとに思いつく限りの行動をしました。具体的には…

・ミャンマーのインターナショナルスクールでインターンをして、先生として教えるということに向いているかどうか、試してみた。
・ペルーのNGOで働いてみて、非営利団体のビジネスが自分のやりたいことなのか、試してみた。
・サンフランシスコの教育系ベンチャーでインターンをして、起業家を目指したいのかどうかを、試してみた。
・シリコンバレーの最先端の学校やスタートアップ企業を訪問して、ビビッと来るものがあるかどうか、探ってみた。
・教育改革にかかわっている人の話をとにかくたくさん聞いてみた。
・教育経済学、言語学、など幅広い授業を受けてみた。
・一時帰国中も、日本の教育系ベンチャーなどの話を色々聞いてみた、等。

「自分には先生は向いていないかしら」とか「海外と日本とは事情が違うから意味ないかしら」とか、ごちゃごちゃ悩んでる暇があったら行ってみる。
それで違ったら、別にいいじゃないか。

そんなシリコンバレー流マインドセットをもとに行動していたら、その都度その都度、新しい発見や気づきがあったんです。これは好きだなとかこれは得意じゃないなとか、少しずつ自分の皮が向かれていくような感覚。それは、頭だけで考えていたら絶対に得ることのできなかったであろう感覚でした。

その一つ一つの行動が、教育分野でのキャリアにむけたプロトタイプだったわけです。そうして、プロトタイプを繰り返していった結果…

「私が今やりたいことって、教育じゃないのかも…」

そんなことに気づいてしまったのです。
詳細は前回のnoteに書いた通りなのですが、結論として、私は子供ではなくまずは大人がもっと生き生きとしている社会を作りたいんだ、ということに気づき、ゴールを軌道修正することにしました。

その「進化」を遂げることができたのは、間違いなく、たくさんの「プロトタイプ」を経験してきたからこそでした。

大きなジャンプをする前にまずは1cmだけ進んでみる

とある知り合いの知り合いで、
長年の夢だったレストラン経営をするために、それまでにコツコツためていた貯金を使い果たし、何十年も仕えた会社を辞めたという方がいて。
満を持して開業をしてみたら、実際は全然レストラン業なんて向いていないっていうことにあとから気づき、数年後には閉店することになった、なんてお話を聞いたことがあります。

その方は、「レストランを経営する」ということについて、何にもプロトタイプせずにいきなり大ジャンプをしてしまったんですよね。
そうじゃなくて、まずは1cm動くだけでいいんです。例えば、他のレストランオーナーの話を聞いてみたり。バイトしてみたり、弟子入りしてみたり。土日だけ間借りレストランをやってみたり。そんなプロトタイプからはじめていたら、途中で気づけていたはずなんです。「自分には向いていないや」って。

大きなジャンプをするのには勇気がいるけれど、それくらいだったら、できそうな気がしませんか?

ちなみに、プロトタイプって実は結構身近で。皆さんも普段からやっていることなんです。
一番分かりやすい例は、好きになった人といきなり結婚するのではなくまずはお付き合いをするっていうやつ。だめだったら別れるし、上手く行ったら結婚するし。まさにプロトタイピングですよね。

人生のプロトタイプをする理由

そんなわけで、人生をプロトタイプするという考え方についてお伝えしてきたのですが、改めてそのメリットをまとめてみました。

その1.行動しやすくなる
いきなり結婚は無理だけど、付き合うならOK。
いきなり車を作るのはむずいけど、スケートボードならOK。
つまり、ダメ元でいい。最初から完璧じゃなくていい。最低限の何かさえできればいい。そんな気楽な気持ちで出来るからこそ行動しやすくなります。

その2.その道が良いのかどうかを見極められる
私の場合、教育関係のキャリアに進む気満々でしたが、プロトタイプをしたおかげで、少なくとも今自分がやりたいのはそれではないということに気づきました。大きなジャンプのまえにプロトタイプをすることで、決心しやすくなるんです。

その3.その道に自信をもてる
色々やってみた結果、やっぱりこれをやりたい。色々やってみた結果、実はこっちのほうが向いている。そんな経験則に基づいた意思決定ができるようになるからこそ、自信をもって進めます。そして自信があるからこそ、成功させてやるぞ、という気持ちも強まるわけです。

その4.より良い形にするための改善を繰り返せる
行動してみると、「もっとこうしたほうがいいな」「こう工夫してみたらどうかな」という風に、さらに改善するためのアイデアが見えてくるようになります。頭で考えていたら絶対に気づけないような改善点も多く発見できるはずです。それらを繰り返していくことで、より良いソリューションにたどり着くことができるんです。

プロトタイプのすゝめ

私もかつては、「Just do itってよく言うけれど、行動するのってそんな簡単じゃないよ」と思っている慎重派でした。
でも、プロトタイプという考え方を武器にした瞬間に、一気に体が軽くなったんです。できそうなことからやればいいだけなのか、って。

皆さんには、ありませんか?
本当はやってみたいけど、なかなか勇気がでないこと。
自分なんかには無理だ…と躊躇してしまっていること。
やるべきなのかどうか、迷っていること。

せっかくの機会なので、プロトタイプ的に試してみれることがないか、考えてみてはいかがでしょうか。そして、是非考えるだけでなく、1cmの行動をしてみてはどうでしょうか。

1.自分一人でできること:
 ネットで調べる
 経験者をツイッターでフォローする
 お店や場所に足を運ぶ
 類似サービスを購入・試してみる
2.誰かを巻き込む
 誰でもいいから相談してみる 
 経験者に相談してみる
 自分のやりたいことやアイデアをSNSにアップしてみる
3.小さく実践してみる
 まずは1日・1回できることをやってみる
 副業でも、パートタイムでもいいのではじめてみる、など。

***

終わりに

現在、12名くらいの若手社会人・学生を対象に、「人生プロトタイプワークショップ」という取り組みを進めています。自分のチャレンジしたいことを見つけ、実践し、フィードバックしあって、改善を繰り返す、というプロジェクトです。これ自体が私にとってはプロトタイプなので、今後どんなふうに進化していくかわからないのですが…

でもきっと今後も何かしらの形で「ゴールの仮置き」や「プロトタイプ」を実践できるような場づくりを進めていきたいと思っています。ご興味のある方は、是非コメントやDMなど、お送りください^^
随時発信していきますので、私のツイッターもフォローいただけると嬉しいです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?