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ビレッジ構想がついに始動|はなみちのビジレザ経営日記#12(バックナンバー)

<2020年2月23日に書いた記事です>

ビジネスレザーファクトリー(以下、ビジレザ)の「はなみち」こと、原口瑛子です。

今回は、ビレッジ構想について。創業当初から私たちが考えていた構想が、ついに動き出したのでみなさまにもその裏側をお伝えしたいと思います。

一歩一歩ではありますが、理想をひとつひとつ実現していく、そんな私たちの姿を見守り応援してくださると嬉しいです。

ビレッジ構想とは?

私たちビジレザの事業目的はバングラの雇用創出です。ソーシャルインパクトは自社工場の直接雇用者数。この直接雇用者数を増やし続けるために、私たちビジネスレザーファクトリーは存在しています。

2014年、たった2人からのスタートでしたが、2020年2月現在、630名の仲間たちを迎え入れています。工場では、他の会社のOEMも承っているので、全体では約800名以上の仲間たちが働いています。

彼ら彼女らが安全で安心できる労働環境で働き、安定的な収入を得ること。そしてやりがいや誇りを持って働くことができること。それが私たちの理想です。

そして働く場を創ること自体は、少しずつ実現することができるようになりました。しかし私たちは、もう少し先の理想像をずっと描いていました。

これが最初の工場、ゼロからのスタート

働く × 生きる = ビレッジ

私たちが描く理想像。それは、働くだけでなく生きることも同時に実現できる、ひとつのでっかい村のようなビレッジを創ること。

食堂があって、住む家があって、学校があって、病院があって。そんなビレッジをみんなと共に創りたい。これが私たちが描く理想の社会、ビレッジ構想です。

ちなみに、この理想像は日本でイメージする福利厚生ではありません。工場で働くメンバーたちのこれまでの人生が大きく影響しています。

バングラ工場の上空写真

例えば…なぜ食堂なのか?
工場メンバーたちの多くは、これまで貧しい生活を続けており、一日三食を食べられずに生きてきたメンバーばかりです。だから彼ら彼女らは、慢性的な栄養失調の状態になっている場合も多いのが現実です。

体感温度は40度を超える工場で、栄養価の高い食事を摂取してきた私たちなら、なんとか働くことができますが、彼ら彼女らは働いている途中で、急にフラっと、時にはバタっと倒れてしまう。

特に女性は、本当にバタバタと倒れるところをみてきました。働き始めて収入を得ても、まずは子どもや家族の食事を優先して自分は食べないという選択をすることも多いからです。

私がバングラで働いてた時に一番驚いたのは、この事実でした。だから、彼ら彼女らが永く健康的に働き、生き続けるには、健康的な食事が必要です。だから、工場に食堂をつくりたいと考えていました。

工場で働くラインのメンバー

例えば、なぜ教育なのか?
工場には、シングルマザーのメンバーが多く働いています。彼女たちは旦那さんに逃げられたり、家族に暴力を受けたりしてきました。

彼女たちが村から首都ダッカに来て働く場を探す場合も、身寄りがないため子どもを預ける場所がなく、働きたくても働くことができないという状況に陥ります。だから、工場には託児所が必要なのです。

例え、子どもが小学校に行くようになっても、女手一つで育てるシングルマザーが働く時間は、子どもたちは一人で留守番をしなければなりません。バングラでは、子どもへの暴力やレイプの危険性も存在します。

だから、工場に日本で言う学童のような、アフタースクールが必要なのです。もちろん教育の観点で、質の高い教育を提供する学校も大切です。だけどその前に整えていきたい労働環境があるのです。

志をともにするマスンさん(左)とファルクさん(右)

そういう状況下、バングラ工場のメンバーがひとつひとつ、実現してくれた労働環境があります。

一つ目は、2017年に完成した託児所です。

工場内にできた託児所

二つ目は、先日2020年2月に完成したアフタースクールです。

工場近くにできたアフタースクール

こうして、これまで働くことと生きることに必要な労働環境をひとつひとつ、整えてきました。そしてこれからはコミュニティーまで拡大し、ファミリーのようなコミュニティービレッジを創っていきたい。

アフタースクールの子どもたち

非効率でも、共創にこだわる

2019年9月、BCT(Bangladesh/BLF Co-creation Tour)担当のあぜとたばこに「BCTを通してビレッジ構想を始めよう」と伝えました。でも次は何をビレッジに創ろうか?

彼らと話し合い、バングラと日本のメンバー全員からアイディアを募ることにしました。効率を考えると、代表の私とバングラのマネジメントチームで「えいや」と決めてしまってもいいのかもしれません。

だけど私は「それは私たちらしくないなぁ」と感じました。やっぱり一人じゃなくてみんなで共創したい。例えそれが非効率でも、それが私たちのあり方です。

最初のアイディア出し

日本とバングラのみんなから出てきたアイディアは、私一人では考えられないような、多様なアイディアがありました。それぞれのメンバーがビレッジに必要だと思う渾身のアイディア。

絞って選ばれた、9つのアイディアはこちら。
(1)食堂(2)宿舎(3)図書館(4)託児所(5)IT教育ルーム(6)植林(7)太陽光発電(8)浄水場(9)女性専用施設。

そのアイディアに対して、全員一票を投票する総選挙を開催しました。これまた非効率な方法かも。だけどやっぱり、みんなで決めたいから。

そして総選挙を開催した結果は…
過半数以上の支持を得て「食堂」に決定しました!

コンパスMTGでの店長たち

食堂プロジェクト始動

みんなで決めた食堂プロジェクト。ですが、外部要因で、食堂という物理的なインフラは今はまだ作ることができませんでした。

そこで今回のBCTでは、未来の食堂で使う道具を作ることと、栄養価の高い食事をとる目的をメンバーみんなが知る機会に作ることにしました。

テーブルを作る私(笑)

最終的に、食堂用のテーブルといなり寿司&卵焼きを作ることに。食事は日本の食文化かつ栄養価が高く、現地でも食材が手に入ることを考え決定。材料をスーツケースにいっぱい詰め込んで、いざ出発。

800人分の食事を作るのはもちろん初めて。時間も限られミッションインポッシブル。お米を炊きたいのに水が蒸発してお餅になるし、卵焼きを作りたいのにフライパンが2個しかない。アクシデント連発でした。

生産リーダーのウディンバイも手伝ってくれてる

普通ピリつく場面もビジレザのみんなは違います。楽しそうに歌いながらものすごいスピードでつくっていく。大変な状況をめちゃくちゃ楽しんでしまってまそた。こういうとこがみんなのいいところ。

とはいえ、最後は本当に間に合わない状況になったので、代表ファルクさんも工場長マスンさんもみんな総出で食事を作りました。完璧なファミリーワーク。そして、準備はギリギリで完成!

卵焼きを作るマスンさんとバングラメンバー
渾身のファミリーワーク

そして、みんなでつくったいなり寿司と卵焼きを、ラインのメンバー一人一人に「ドンノバード=ありがとう」と言いながら配っていきました。

はじめての食べ物に恐る恐る口に運ぶみんな。でも「モジャ=おいしい」と笑顔で食べてくれました。第一回目の食堂プロジェクトは大成功(だと思います)。

おいしそうに食べるメンバー

理想を実現してく、みんなとともに

これから毎年、日本メンバーはバングラへ渡航しますが、BCTメンバーがバトンパスをしながら、食堂プロジェクトを実現していきます。

食堂プロジェクトが完成したら、また次のプロジェクトを始動。まだまだ実現したい理想像がある。食堂ができたら、食材はビレッジの畑で安全な野菜を作りたいし、卵やお肉もいるから養鶏などもやりたい。

日本メンバーやお客さまも泊まれる宿舎もあったらいいし学校も病院もあったらいいな。子どもたちのために公園も図書館も作りたい。全てのエネルギーを供給できる再生可能エネルギーも。全部全部実現しよう。

笑顔のマスンさん

いつかある先輩の経営者の方が、教えてくれました。
「経営者の仕事は、理想をひとつひとつ実現していくこと。やると決めたことを必ずやること」

私もそうありたいなと考えています。遠い夢だと思っていたことを、理想だと思っていたことを、一つ一つ実現していく。一歩一歩かもしれないけど、必ず実現する。いや、実現させる。

あわせて、私はこの言葉がとても大好きです。

早く行きたいなら一人で行け
遠くへ行きたいならみんなで行け

やっぱり私は、理想の社会には、一人じゃなくて、みんなと行きたい。みんなとならば、もっと遠くにいける気がしているからです。

これからビジレザは、社会のロールモデルになっていきます。こんな工場がこうやってみんなが楽しく働くことができる社会が、当たり前になるように。

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