足の裏を舐める男

「足の裏舐めるのが好き」
そう言い放った男は、世田谷経堂に住む俗に言うハイスペだった。

某ハイスペックマッチングアプリでいいねを送った。
その1分後いいねが返ってきてマッチングをし、
マッチングアプリ内で1日三通づつメッセージにやりとりをしたのち、lineで毎日連絡を取り
華金ザギンデートをしたのであった。

19:00にファサード銀座で待ち合わせ
1分遅れて彼が来る。


随分と行けためんこい顔のアイコンのマッチングアプリの写真。
休憩中に先輩に「絶対加工してるからここまでのは来ないわ!」と言った自分が彼氏に少し申し訳なるくらい
イケメンで、めんこい、背のすらっとした、いいスーツの男が現れて「ごめん!お待たせしました。」と。

店へ向かう途中ナビを見ている彼は「方向音痴で笑」という。
私のタイプは方向音痴じゃない男だ。
顔はいい。


予約してくれた、小洒落た地下の店
日本酒と焼酎が並んでいる。

彼がマスクを外すと、写真のまんまのイケメンが出てきてしまい「綺麗な顔してんねえ〜」と地方のババアみたいなことを言ってしまい早速ミス。

最初はとりあえずビールを頼み乾杯をする。

結婚がしたくてマッチングアプリをやっている私は、この顔を見た瞬間結婚してではないなと確信した。
何で結婚したいかと聞かれると、
恋愛がめんどくさい
居心地がいい人と一緒にいたい
わがままを言っても多少は許されたいし
何も言わずにハグをして欲しい
一緒に猫を育てていきたい
そのくらいしかないので、

コンサルの男たちはじゃあ結婚じゃなくてもいいじゃんと言ってくる。
お前らは確証が好きなんじゃないのか?
結婚は確証でもあるだろ…
と心の中で殴りながら言う。
前だったら口に出してしまっていたことも心の中で消化できるようになって、自分でも驚いている。

そして、
飲んだ帰りはラーメンが食べたくなるけどスーツが汚れるのを恐れてコンビニでラーメンを買って家で食べる話

兄がいて、思春期に母の呼び名に困り
「お母さん」と呼べないまま大人になり
今も「ねえ」「なあ」としか呼べてないお兄さんの話
などを聞かせてくれた。

そして
結婚はいいかな、彼女でと言う彼は
急に
「足の裏を舐めるのが好きなんだよね」
と言い放った。

「え?」

「裸よりも恥ずかしいじゃん?だから好き。」

いやわかるけど…え…?

以前セックスをしているときに舐められたことはあるが、そこまで興奮しないしいい気分にもならず
どう言った反応をしていいかわからなかったぼで余計に反応に困る。

そしてカウンターの席でキスをされた。
完全にSONがwakeのUPだ。

多分この人は「好き」とか「愛してる」とか「愛おしい」と言う感情を「お母さん」と自分は呼べるようになってから
引き換えに忘れてきてしまったのではないかと
日本酒を飲みながらぽわ〜っと考えていた。

彼は思ったよりもお酒が弱かったらしく、終盤は私一人で日本酒を飲み
彼は焼酎の水割りをちょびちょび飲んでいた。

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