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科学者は指導者としての教育を受けていない。それは問題だ!

毎週土曜日は科学雑誌ScienceのCareerニュースを日本語訳して、英語の勉強をしています。

本日の記事は「Scientists aren’t trained to mentor. That’s a problem」。ざっくりに日本語訳すると「科学者は指導者としての教育を受けていない。それは問題だ」と言った感じ。「確かに日本の大学の先生も指導者としての研修とかないのでは?」と思ったので、アメリカではどんな感じかを知るためにこの記事を読んでみることにしました。

今日は第三回目。(第一回と第二回の記事は一番下にリンクを貼っておきます。)

この記事を書いたのは、Adam Rudenさん。

プリンストン大学で分子生物学で学士を取得し、Gregory T Pope ‘80賞(サイエンスライターやエディターに贈られる賞)を受賞しました。ジョンズ・ホプキンス大学で生物学の博士号を取得し、同時に「Expository Writing(解説文を書く)」講座の非常勤講師も務めました。
お笑いやトークもできて、Food Network, Weather Channel, Discovery InternationalやTravel Channelに出演しています。Science Channelでは「Outrageous Acts of Science(とんでもない科学の振る舞い)」と言う番組のホストも務めています。

アメリカの科学の伝道師として活躍されている方のようです。では、読んでみましょう。

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◇ 研究室の教授は指導者ではなく助言者

大学院にいた頃、私は研究室の運営に関わっている人たち(教授や准教授など)にとっていかに重要でないかと言うことを痛感することがよくありました。アドバイザーと親友関係になるとは思っていませんでしたが、まさか自分が研究費消費メンバーに数えられているとは思いもしませんでした。研究室の日常はこんな感じ。

私:(心は開いている)私はあなたの教育担当です。科学的な考え方を教えてください、そしてあなたの方法で私の真のガイドとなってください。

アドバイザー:これは雑誌の記事の山です。では、一週間後に。

アドバイザーとは、言葉の意味では「助言を与える人」のことです。私のアドバイザーは指導もなく、教えるでもなく、ただアドバイスする人。

言い換えれば、私たちは時々”research adviser(研究の助言をする人)”と”mentor(指導者)”が同じであると思ってしまうことがあります。多くのアドバイザーは優れた指導者ですが、研究室を運営するために必要な条件ではありません。

◇アメリカには優れた指導者を育てるプログラムがある

しかし、研究室を運営するためには優れた指導者が必要です。私はテキサス州立大学の理系学部生のためのプログラム「HSI STEM Impact」の講座で基調講演を行いました。これは本当に素晴らしいプログラムです。学生が初めて研究室で実験をする経験をサポートするだけではなく、研究室を運営する教授たちの指導者としての訓練プログラムもあるのです。

なぜ、このプログラムが素晴らしいのでしょう?
ほとんどの大学では、ほとんどの教授が指導者としての訓練を受ける時間が0分だけしかないからです。つまり、あなたの研究責任者(PI)はあなたをどうしたら良いかわからないと言うこと。

講演会場を見渡すと、研究に参加したがっている学生もいますし、学生が研究を促進することを喜んでいる教授もいました。私がこの講演で見出した最も重要なことは、大学側が資金を提供し推進しているプログラムがあることと、それを教授たちが参加することを許可していることです。これは教授たちに「大学側はあなたに指導者になってもらいたいと考えている。あなたがそうなるように私たちがサポートします」と言うメッセージです。

このようなプログラムは様々な種類の指導者訓練を行っています。もちろん他の機関にも存在しますが、まだまだ一般的ではなく多くの大学では行われていません。なぜこの種のプログラムのために時間を割くことをしないのでしょう?

◇大学が「指導者」を育成しないわけ

大学の科学研究の生命線は学生の幸せではなく「研究費」です。教授は、学生と一緒に仕事をすることにエネルギーを割きすぎると、本来の役割である研究費を得ることができなくなってしまいます。結局のところ、研究費は大学の理系学部にとっては目に見える必要な燃料ですが、指導能力は定量化できません。

良い指導に対する動機がずれているだけではなく、一部の教授は学生への指導に全く関心を持たず、研究に集中し、日々の学生の世話をポスドクの誰かに任せています。また、良い指導者になりたいと思っても、どうやったら良いかわからないし、それを助けてくれる訓練の機会がない教授もいます。

この状態が長く続いています。次の世代の学生のためにも、十分な指導を受けた研究者がより良い研究を生み出して良き指導者になるためにも、変わる時が来ているのです。今こそ、科学の指導者研修を一般的なものに、あえて言うなら必須にする時です。

簡単に言うと、学生の運命を自分の手で握っているPIは指導者訓練を受けるべき。科学者を育てるためには科学者が必要なのです。そして、大学はニコニコしながらも厳しく研究費をもらうようなことをせずに、公式に教授を後押しして育成する必要があります。教授の仕事の中で最も重要と言うわけではないかも知れません、でも学生にとってはそれが全てなのです。

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さすがコメディアンというだけあって、笑いの要素に溢れた例え話をしている段落もあったのですが訳すのが難しかったので割愛しました。

この記事、私が高校生の時に疑問に思っていたことをズバッと書いてくれているのです。小学校や中学・高校の教諭になるためには教育免許は必要なのに大学教授になるために免許がないなんて変だと思っていたんです。免許がいらないから、変な人も教授になれて素晴らしい研究ができるのかもしれません。でも、学生の立場に立った時に大学は教育機関では?と思うことも多々ありました。

また、今私と一緒にいる大学院生はきちんとした科学的な指導を受けていないのでかなり不安です。日本の大学の教授や准教授なども学生をどう指導したら良いかわからないからとりあえずM1はB4を指導してM2はM1を指導して、博士課程の学生がM2を指導するみたいな構図になっているのです。指導というかこの記事の言葉を借りると「アドバイザー」ですよね。

学生同士で教え合うのも良い点がありますが、やはり科学的な思考過程や論文の選び方、書き方などはきちんと指導してもらった方ができるようになります。これからの時代は、なんとなく先輩のことを聞いて、見て盗む時代ではなく、大学がきちんとサポートしなければならない時代になってくるのかもしれません。

それでは、また!


※個人の勉強の範囲で書いた記事なので誤訳なども含まれる可能性があります。ご了承ください。


第一回:「20年ぶりに研究の世界に戻ってきた女性研究者の話

第二回:「科学界は現実を見よう!生活は正常に戻らない

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