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優れた女性研究者の贈られる「猿橋賞」ってなに?

Science and everyday life cannot and should not be separated.
(科学と日々の生活は分けられないし、分けるべきではありません)

言葉から科学への愛が滲み出ていますね。この言葉を残した科学者をご存知ですか?

DNA二重らせんの構造解明の重要なデータ、X線回折写真を撮影し多大な貢献をしたと言われる研究者、ロザリンド・フランクリン。

ワトソンの『二重らせん』にはダークレディと揶揄され、女性というだけで差別を受け不遇な運命を辿った女性研究者です。(こんなに科学への愛が溢れているのにもかかわらずです!!)

ロザリンド・フランクリンだけではなく、すっごく優秀で、業績を上げているのにもかかわらず表舞台に出てくる女性研究者って21世紀になった今でも少ないと思いませんか?

単に女性が他の男性研究者よりも優秀ではないからでは?という意見もあると思います。でも、研究の世界では根強く男女の格差があります(日本では特に)。

そんな不遇な境遇の女性研究者にスポットライトを当てるべく、自然科学の分野で顕著な業績を収めた女性研究者に贈られる賞があります。

その名も、「猿橋賞」。毎年5月に発表され、今年(2020年)は今年はニュートリノの性質を解明した市川温子先生が受賞されました。

「猿橋賞」について少しまとめておきましょう。

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◇ 猿橋賞はなぜ創られたのか?

「猿橋賞」の名前の由来でもある創設者の猿橋勝子先生は、気象研究所在職中にアメリカによるビキニ環礁核実験の死の灰の分析などの卓越した研究を行いました。

1980年4月に気象研究所を退官し、その退官パーティーには250人あまりが集まったと言われています。この時、同僚や友人、先輩などから500万円の寄付金が集まり、このお金を基金として「女性科学者に明るい未来をの会」を創設。

この会は、「女性が故に低い地位に置かれている女性科学者の未来に一条の光を当てる」ことを目的としています。優れた研究業績をあげた自然科学分野の50歳未満の女性研究者に学術賞を授与する活動を毎年行なっています。

おそらく、猿橋先生は女性が故に不遇であることを肌身で実感された研究者だったのではないかと思われます。
というのも、この年代で第一線で活躍できる女性はまだまだ少なく、研究の世界は男社会。男社会の中に女性一人入り込んでいくのは、相当風当たりが強く辛かったのではないかと予想できるから。
今は猿橋先生たち先人たちが切り拓いた道があって、女性科学者たちも活躍できる場が増えてきています。が、いまだに見えない差別はあるように感じます。(個人的な意見)

◇ 歴代の受賞者ってどんな人がいるの?

歴代の受賞者を見てみると...

第一回は太田朋子先生。国立遺伝研究所の先生で、「分子レベルにおける集団遺伝学の理論的研究」で受賞されています。

その他に私の知っている先生では、第十三回は黒田玲子先生(現在は東京大学の名誉教授)。「非対照な分子の左右やDNA塩基配列の識別のしくみの研究」いわゆるキラリティの研究で有名な先生です。

第二十三回の受賞者は深見希代子先生。東京薬科大学の先生で「生命現象におけるリン脂質代謝の役割」という題で受賞されています。

とまぁ、女性科学者の端くれならどの分野(自然科学分野に限る)でも有名どころの女性科学者が受賞している賞なのです。


この賞が毎年発表されて、メディアが女性科学者に注目を集めるのは良いことではないかと思います。第二のロザリンド・フランクリンを出さないためにも!

来年はどんな女性科学者が受賞されるのか楽しみです。

それでは、また!


参考文献


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