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画像認識技術で社会を変える「視覚に優れた人工知能(AI)」

日経サイエンス2018年3月号「世界のイノベーション10」特集で気になった記事。3回目(最終回)の今日は、すでに世の中を変え始めている「画像認識に特化した人工知能(AI)」です。

なぜ世の中が「AI、AI」言っているのかわからなかったのですが、そこには技術の発展が多大な貢献をしていました。

さて「人工知能(AI) 」と言えばなにを思い浮かべますか?私は将棋やチェスで人と戦う人工知能を真っ先に思い浮かべます。

人口知能は膨大なパターンの記憶だと思っていたのですが、最近の人工知能は単なるパターンの記憶だけではなくなってきているようなのです。

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◇ 「画像認識に特化した人工知能」ができることとは?

最近のAIの技術進歩は凄まじく、コンピューターが様々な種類の画像を人間並みあるいはそれ以上に識別できるようになってきています。

この技術はすでに世の中で広く実用化されてきています。

・歩行者を認識する能力が高いもの→自動運転の安全性を高める
・事故車の損傷を評価する→損害保険会社がこの技術を導入
・群衆の行動を把握する→監視カメラなどに実装し公共の場の安全確保に役立つ
・収穫量の予測、水量を監視する→農業分野で活躍
・病害の早期検出→医療現場での診断が迅速化できる

特にこの画像認識AIが活躍できる場所として、医療の分野で注目を集めています。

X線写真、CTやMRIなどの検査画像や病理染色像などから専門医が画像を解釈するのを迅速化できるし、専門医がいない地域にも、コンピュータやスマートフォンがあれば、検査結果の診断、病状の監視、治療効果の判定まで様々医療を提供することが可能になります。

2017年には米食品医薬品局(FDA)がアーテリーズというベンチャー企業が開発した、心臓血流を可視化して心臓病の診断に役立てるシステムを認可したり、スタンフォード大学院のThrunらは、皮膚がんを専門医と同様に識別するシステムをNatureに報告しています。

現在人がやっている様々な仕事をAIが代行したり、補佐したりする時代がすぐそこまできています。


◇ 画像認識AIが爆発的に進化したわけとは?

この画像認識AIが進歩した一つの理由は「畳み込みニューラルネットワーク(CNN)」という深層学習手法の進歩です。

人は犬と猫の違いを簡単に見分けることができます。今までの「ニューラルネットワーク」(パターン記憶)では、今まで見たことがある画像だったら強いのですが、初めて見るものの識別は非常に難しかったのです。

「畳み込みニューラルネットワーク」は人間の視覚認識をモデルに考案されました。

人はどのように物体を見るのか?

物体から反射された光が網膜に像を結ぶ

視神経を通じて脳に刺激が行く
(像の限定された領域(局所受容野)ごとに像をスキャンする)

物体がなんであるかを認識する
(脳に到達した電気信号によって視覚関連のニューロンが反応する)

ニューロンには2種類あって、特定の形状に反応する単純型(畳み込み層)と形状の空間的ずれを吸収する複雑型(プーリング層)に分かれます。

単純型で画像の形状を認識して、プーリング層でそのズレを修正していくのです。難しくて一読では理解できませんでした。

詳しくはこちらを参照してください。

このネットワークを構築して学習させることを、「深層学習(ディープラーニング)」と呼んでいます。

パターン認識のように膨大な画像データからパターンを学習するようにプログラムする必要はなく、「特徴を自分で特定するように教えておく」と学習訓練が終わってから「初めて出会う画像」に対して非常に精度良く認識できるようになるそうです。


ニューロン構築の考え方だけではなく、「畳み込みニューラルネットワーク」の実用化を大きく押し進めたのは、“グラフィックプロセッサーと並列処理が格段に進歩したから”だそう。

よくわかりませんが、コンピューターの性能がどんどん良くなているから膨大な処理も非常に早くこなすことができるようになっているということなのでしょう。

このディープラーニング、学習など人工知能構築を扱うプログラミング言語としてPhythonがかなり流行っているようですね。(やりたい、やりたいと思って、環境構築だけはしています)

研究分野での画像解析も人工知能進出によって、かなり変わってくるのでは無いかと思います。


今回はイノベーションを起こす技術ではなくて、すでに(実用化されて)イノベーションを起こしている技術でした。

それでは、また!


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生命科学系分野で必須の画像解析ソフト

↑ImageJ FijiはJython(Java+Python)を実装できるので学習を組み込めるのでは無いかと期待しています。

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