#4 再訪したい西田幾多郎記念哲学館(石川県かほく市)
西田幾多郎(1870-1945年)は哲学者、京都学派の創始者。石川県かほく市(旧河北郡宇ノ気村)に生まれたことから、故郷に記念哲学館がある。
西田幾多郎とは
西田幾多郎は、第四高等学校を中退、東京の帝国大学哲学選科を修業。四高や学習院を経て、京都帝国大学で哲学を教える。
1911年(41歳)に出版された「善の研究」は、主観と客観を対立させて捉えてきた西欧の近代哲学とは異なる主客未分の「純粋経験」の立場を明確にした名著。自覚、場所などをキーワードとし、それぞれの対立を包み込む独自の思索は、西田哲学として世界にも名高い。
求道者と悲哀
記念哲学館で印象に残ったのは、日記。日記が始まるのは1897年(27歳)、坐禅の修行を本格的に開始した時期に符合する。特に金沢にいた三十代までの日記は「参禅日記」とも言われ、坐禅修行の記録となっている。
日記は亡くなる75歳まで49年間書き続けられた。
表面的には順風満帆に見える人生も、内面には苦悩の連続があった様が窺える。家族の病臥と死が度重なっていた中で、思索が深められていた。
哲学の動機は動機は驚きではなくして深い人生の悲哀でなければならない。 西田幾多郎「無の自覚的限定」より
人は人 吾は吾なり とにかくに 吾が行く道を 吾は行くなり
この二節について考えさせられる訪問となった。