ライブソナーについて②

第二章 ライブソナーの効果
 ライブソナーが、水中を垂直断面的に、リアルタイムでプロッター画面上で確認できるものであることは「第一章 1」で簡単に触れた。本章「1 ライブソナーの直接的な効果」及び「2 ライブソナーの間接的な効果」についてはそのこと等に詳細に触れていきたい。特に「2」は、あまり語られることが少ないという認識であり、ライブソナーを使うアングラーにとって、副次的な利点であるので、この際言語化するものである。

1 ライブソナーの直接的な効果
 ライブソナーはプロッターの画面上は、水中を水面から垂直に輪切りをし、振動子の前方の対象角度音波反応をほぼリアルタイムで更新し続けるものが表示される。他方、2D魚探のプロッター画面上は、ほぼリアルタイムで更新されるホワイトライン部分で表示された音波反応を、時間経過的に左方向に流し繋げたものをプロッターの画面上で表示したものである点で大きな違いがある。後者を言い換えれば、ほぼ真下の過去の情報ということになる。
 ライブソナーが前方をリアルタイムで表示していることについては、直接的に言い換えれば魚の状況を直接確認しながら釣りができることである。このことは、魚の泳層であったり、魚のルアーへの反応、捕食行動(バイトシーン)もわかるもので、未来予測という観点含め、釣果に直結するバイトの確度を必然的に上げることに寄与すると言える。

2 ライブソナーの間接的な効果
(ⅰ)バスの生態理解の向上

 まず、バスに観点を置くが、直接的に確認できることとなったため、今まで明らかにされなかったバスの生態をアングラー側に知らしめた。具体的に述べていくと、特筆すべきは、沖のスクールや単体個体の存在である。次に、スクールの進行速度は、フィールドによって違いはあれども、早くて9㎞/時程度で回遊していることや単体個体はスクールより移動スピードが遅くなることである。サイズについては前者は、一定個体のサイズがまとまっており、フィールドの中でも最上級ではないが、クオリティの高い2番手、3番手のバスがまとまっており、後者は最上級のクオリティのバスである確率が高くなるというそれぞれの筆者の経験則である。
 なお、ライブソナーを使い慣れると、プロッター画面上で、魚種の判別やサイズを確認できるようになり、また、今般のU-30ドリームトーナメント中で解説された黒田プロが述べられていたように、特に頭の良いバス、大型のバスが「対象の情報を得るために、バイトシーンを演じることがある」といった生態の確認は、ライブソナーのもたらした効果といえる。それらを認識するためには、ライブソナーの使い方を用途に合わせていく必要があり、セッティングやテクニックが求められるが、これらは「第三章 各論」で述べる。
 これらようにライブソナーは、バスを観点に置くと、沖の表層や中層をねらったパターンフィッシングを確立させたことや今まで把握されていなかったバスの生態の発見など、それらはライブソナーの登場まで基本としたバスフィッシングのセオリーであるシーズナルパターンを一部覆すものとなった。

(ⅱ)フィールド状況の理解スピードと理解精緻化の向上
 次に、バス以外に観点を置くと、「第一章2(1)」で触れたが、アングラー側のフィールド状況の理解スピードと理解精緻化が格段に向上した。フィールド状況の理解とは、水中の地形などのフィールドによる外的要因や生物学的な直接要因のことである。
 前者については、例えば、インビジブルストラクチャについて、2D魚探では、多様な角度で、断面的に対象物を輪切りするよう魚探掛けをする必要があり、その対象物の構造については、アングラー側の想像でマージするなどの必要があった[1]ところ、ライブソナーを用いては、当該ストラクチャの近辺で、船を動かすことなく、ライブソナーを数回転させる[2]だけで、プロッター画面上で明確に立体的かつ網羅的に見ることができ、対象物のエグレや立木の枝ぶりの状況を明確に確認できるようになった点である。
 後者については、主にバス以外の水中生物の関連である。具体的に述べれば、ベイトフィッシュはワカサギ、オイカワや鮒等に代表され、また、大型の鯉やヘラブナなども確認できる。また、それだけではなく、ライブソナーの感度調整によっては、淡水赤潮、アオコ、水中微生物の状況も確認でき、また、生物ではないが水中の粒子の状況も確認できるため、湖沼学用語だが、流入フロントの位置や、ボディーウォーターへの貫入の程度[3]、サーモクライン(水温躍層)、極端に言えば、カルマン流も確認できるのである。後者で述べたそれらは、2D魚探の場合、前者と同様、時間をかけて魚探掛けをする必要があったが、船を動かすことなくライブソナーを数回転させる[4]だけで、スポットの全般的に確認することが可能になった。
 本章で特筆したいのは、ほんの一瞬で、水中生物のスクールの形、匹数、それらの状況を把握することができることはさることながら、あまり語られることはないが、水中微生物や粒子が確認できることにより、フィールドの状況を、先に明らかにされた等深線(地形)と併せてフィールドの全容を明らかたらしめ、逆算的にバスの状況も推測できるようになり、当該バスも結果的に見つけることができそれも直接プロッター上で明らかにされるという状況を生み出したという点で結果的に各段にフィールド状況の理解スピードと理解精緻化の向上に寄与したことである。 

第三章 各論 セッティング、テクニック等に続く

 【参考】
[1] さらには、エグれについて、「ゴースト」などと呼ばれる2D魚探の画面表示事象を、アングラー側の頭の中で想像するしかなかった
[2] 「第三章 各論」で本テクニックの詳細を述べる
[3] 別名水の壁
[4] 「第三章 各論」で本テクニックの詳細を述べる

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