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祭りnote

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僕の祭りへの想いや撮影のノウハウをまとめていきます。このnoteを読んで少しでも祭りの撮影に興味をもっていただけると嬉しいです。
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#日本の祭り

ヨサコイに魅せられて

7月の「あばれ祭」から毎週のようにあった祭りが落ち着き、2022年の祭りの写真を振り返る時期になりました。今年は石川や富山を中心に、とにかく一つでも多くの祭りを撮りたくて北陸を駆け回る日々でした。たくさん祭りを撮りにまわった中で、今回は「ヨサコイ」に焦点をあてて、写真をまとめたいと思います。 これまでもヨサコイを撮ったことがありました。夏に開催される「富山まつり」や能登・和倉温泉で開催される「能登よさこい祭り」などは、毎年楽しみにしているお祭りです。そんな中、今年初めて撮っ

神々を湯でもてなす「遠山の霜月祭り」

2022年も年の瀬を迎えようとしています。能登の祭りシーズンを終えて、最近の僕は金沢や富山などでスナップを撮ることが多かったのですが、12月に入り、久しぶりに祭り遠征に行ってきました。今回のnoteでは、長野県飯田市で行われた「遠山の霜月祭り」を紹介したいと思います。 飯田市街地から車で約1時間。「遠山郷」は南信濃の山あいに位置します。4年前に初めて行ったときは、辺りが暗くなった時間帯に移動していたので、いったいどれだけ山中へ入っていくのだろうと不安でいっぱいになった記憶が

新年の厄除け神事「面様年頭」

年始の大寒波が過ぎ去り、道路の雪も一気に溶けてきました。一時は車で外出することも躊躇うほどでしたが、今は平常運転に戻ってきています。週末の天気予報にまた雪マークが出ていますが、今度はどれだけ降るのやら。 先週の「弥栄太鼓初打奉納」を撮ってから約1週間経ちました。今日は石川県輪島市の伝統神事「面様年頭(めんさまねんとう)」を撮影してきたので、今回も写真中心に紹介したいと思います。 面様年頭は、輪島市の輪島崎町(輪島崎神社)と河井町(重蔵神社)で行われます。2018年に「来訪

深夜、港町に鳴り響く「弥栄太鼓初打奉納」

2021年一発目のnoteです。気付けば「令和3年」ということで、月日の流れを感じます。このnoteでは、今年も写真日記を中心に日々の備忘録を書いていければと思いますので、よろしくお願いいたします。 さて、1月7日あたりから「数年に一度レベルの大寒波」が押し寄せて、北陸や新潟などの雪のニュースを見られた方も多いかと思います。石川県も地域によって差はありますが、僕の感覚ではここ数年では一番といって良いくらい本当にたくさん降りました(まだ降ってます)。今は家の周辺を雪かきするの

フォトグラファーが祭りと向き合ってみる。

はじめて見た能登の祭りがあまりにも衝撃的でした。 僕は祭りを追いかけるために勤めていた会社をやめて、石川県・能登へ移住しました。はじめて見た能登のお祭りは『あばれ祭』。「お祭り半島」とも呼ばれている能登にあって、夏祭りの先陣をきって行われるキリコ祭りです。 「キリコ祭り」はあまり聞きなれないかもしれませんが、日本遺産にも認定されている祭りです。巨大な燈籠(キリコ)を担ぎ出し、威勢の良い掛け声や太鼓・鉦の音に合わせ、町内を練り歩きます。大松明の周囲を激しく乱舞する光景は、ま

祭りの写真だけで食べていけますか? part.1

よく聞かれる質問だ。 僕は独立して能登へ移住してから一旦収入がゼロになった。当時27歳、会社やめる前の手取りはぶっちゃけ17万円、貯金はほとんどなかった。今振り返ると「よく思い切ったな」と思う。 現在の話にもつながるので、僕がいつ祭りの写真を撮り始めたのか掘り下げて書いていきたい。 僕は東京の大学を卒業後、IT企業に就職した。ITといっても様々な業種があると思うが、僕はソフトウェア開発へ進んだ。小さい頃から「ものづくり」に対する興味が強かったことと、リーマンショックなど

祭りの写真だけで食べていけますか? part.2

「祭りの写真は安売りしない」 売れないフォトグラファーが何を言っているんだと思われるかもしれない。それでもこれは祭りを撮り始めた頃からずっと大切にしてきたことだ。 僕は2014年にフリーランスとなり、石川県・奥能登の片隅で広告事務所を立ち上げた。仕事内容としては撮影・デザイン・WEBなどになるのだが、今年(2018年)に「祭りの写真」で果たしてどれだけお金を稼ぐことができたのか確認してみた。すると石川県内の同世代(30〜34歳)男性の平均年収の4分の1程度だった。年間80

過疎化の能登で絶滅危惧種の祭り写真家の話

「地方創生」という言葉がある(あった)。 奥能登の田舎で生きている僕にとって、それは未来に希望がもてる言葉だった。しかし何年かたって、状況は変わっただろうか。おそらくお金は動いている。きっと国がどれだけお金をかけて施策したとしても、現地(田舎)で生きている人間が創生を実感することは、まだまだ先の話なのかなと思う。 以前、奥能登のとある宿泊施設の方と雑談していると「お客さんが来ない」ことを嘆いていた。どうやら僕が生まれる前に「能登ブーム」というものがあったようで、全国から能

あばれ祭中止に思うこと。

次々と祭りの中止が決まっていく。 新型コロナウイルス感染が拡大してしまっている現在は「不安」しかなく、当たり前のようにあった日常が戻ってくるのかもわからない。この状況で奮闘されている医療従事者の方々には、心から感謝の気持ちを伝えたい。本当に終息を願うばかりだ。 能登を代表する祭り 「あばれ祭」が中止に。 僕は今年の3月から、祭りや神事の撮影を自粛しているため、結局もっそう祭り(2月16日)を最後に撮ることはできていない。世の中の状況から少なくとも春から夏にかけて、祭りは

祭りと組写真について考える。

「写真で伝えるストーリー」 写真を撮る楽しさと、組み立てる楽しさ。祭りを撮ったあとは、どれだけ遅くに帰っても、朝がくるまでにチェックする。レタッチするのも好きだし、フォトセットを作るのも好き。 祭りにおいて、目の前にある出来事をどう捉え、どのように撮っていくか。表現というと言葉は大袈裟かもしれないけど、写真を組み立てていくことで「祭りのストーリー」が完成する。ストーリーを考えながら撮影することに加え、アウトプットする写真を組み立てるという一連の流れは、僕にとって祭り写真の