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コロナ病床使用率 新聞報道と現場感覚のズレ

・病床使用率50%ではまだ受入余力があると誤解する
・地域によっては医療崩壊は実はもう起きている?
・非コロナ患者の受入不能も大きな問題に

新聞報道ではまだゆとりがあるように見えるけど

最近新聞報道でよくみる病床使用率。こちらのニュースもそうですが、病床使用率50%と報道されると、半分は空いている。コロナにかかっても軽症で済む場合がほとんどだし、会食制限とかしなくてもいいじゃんとなります。

病床使用率はどのように算定されるか?

そもそも病床使用率50%という数字はどのように算定されているのでしょうか?

病床使用率= 現在患者数 ÷ 新型コロナ対策病床数

算定式はこのようになっているのですが、分子、分母ともに実態把握の上では問題点があります。

まず、分子の「現在患者数」はコロナの陽性患者数であり、コロナ疑いの検査待ちの患者数は含まれません。病床使用率が50%となっていても、肺炎などコロナ疑いの患者も入院しているため、救急搬送時に受入拒否されてしまうことがあるわけです。

分母の「新型コロナ対策病床数」は、すぐに対応できる「即応病床」と念のため確保している「準備病床」の合計になります。「準備病床」を空けるためには医療従事者の確保が必要など文字通り準備の時間を要するため、患者側からするとすぐにアテにはできない病床となります。

病床使用率と現場感覚に大きなズレ

2020年11月18日現在の全国の病床使用率。これを厚生労働省がホームページで公表しています。しかし、この病床使用率と医療現場の肌感覚は相当ズレています。

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新型コロナウイルス感染症患者の療養状況 病床使用率 厚生労働省
https://www.stopcovid19.jp/mhlw-beds.html

実際、日本医師会の中川会長は、「特に北海道、首都圏、関西圏、中部地方で状況が深刻化している」としています。

でも、病床使用率的には

北海道 38%
東京都 33%
大阪府 41%
愛知県 33%

とかなり余裕があるようにみえます。

北海道全体のコロナ病床数に対するコロナ陽性患者の割合ですから、札幌限定でみた場合は相当逼迫しているはずです。また、名古屋市においても名古屋記念病院などを運営されている太田先生のFacebookによると、相当厳しい状況であることが伺えます。

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むしろ問題は非コロナの救急患者の受け入れ

病床が埋まってくると問題になってくるのは、急性心筋梗塞や脳卒中など時間を争うような救急患者の受け入れが難しくなってくること。平常時であれば救われていたような命が救われなくなります。

経済優先で、観光や飲食を盛り上げたい気持ちは分かりますが、今相当医療現場は逼迫しています。

まさに今が正念場です。

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